転移したらダンジョンの下層だった

Gai

百三十三話・・・・・・眩しいな

ミレアナは殆ど会話に入らず、ソウスケと執事だけで会話をすること約二十分、ようやくトーラスが経営している商会のへとたどり着いた。

馬車から下りてトーラスが経営する本店の大きさを見たソウスケは、日本にいた時に多くのデパートを見て来たためそこまで驚きはしなかったが、外見は中世なためソウスケにとっては珍しく感じて興味深そうに眺めていた。

ミレアナはソウスケと違ってあまり大きな建物を近くで見た事が無かったので、目を大きく見開き口をポカーンと開けて驚いていた。

「それではトーラス様の元へご案内しますので付いて来てください」

「分かりました」

「わ、分かりました!!」

ミレアナはまだ店の大きさに圧倒されていた為、ギクシャクと堅い動きでソウスケの後を歩いた。
特に外見にそこまで驚く事は無いソウスケは商人ギルドへ入った時と同じように、絶対に自分達の存在がアウェイになると予測していたのでオロオロしない様、気を引き締めて執事の後へ付いて行った。

店に入ると、二人は仲の様子が別世界の様に感じられた。
騒がしさは外と大して変わらないが、雰囲気がまるで別物の様に二人は感じた。

ソウスケのポーカーフェイスは崩れてはいないが、内心ではまるで宝石店や高級ブランドを売っている店の様だなと思いながら店内に置いてある商品を見渡していた。

一階は主に洋服やアクセサリーが売ってあり、中には冒険者にも用途がある商品も少なくなかった。

「・・・・・・他の商会がどれほどのレベルなのかは知りませんけど、トーラスさんが経営している商会が中より上だという事が何となく分かりました」

「そう言ってくれると執事の私も嬉しいですね。王都に本店を構える商会等に比べると劣るかもしれませんが、それが以外の商会と比べたらかなり上位に位置すると私は思っています。ただ、店の商品を見て中の上と言う辺り、もっと高ランクの商品を取り扱う商会を知っているみたいですね」

執事は伊達に長生きしている訳でなく、ソウスケが身に付けているローブが普通のローブでない事には気が付いていた。

ソウスケは今身に付けているローブを買った店の店主の性格を考え、適当にはぐらかす事にした。

「どうでしょうか・・・・・・ご想像にお任せします」

「そうですか。気になりますが無理には聞きません」

執事と話しながら未だにポーカーフェイスが崩れていないソウスケだが、ミレアナは完全に小学生がトランペットを眺めている表情になっていた。
ソウスケはミレアナの気持ちが分からなくもなかったので、注意はするが後でにしようと思い、その場では何も言わなかった。

そして二階、三階と上がっていき、四階に着くとそこは店ではなく社員が利用する階となっていた。

奥へ進んで行くと、明らかに他の部屋とは違う外見の扉があり、ソウスケは直ぐにその部屋にトーラスがいるのだた分かった。

扉には綺麗な装飾が施されており、貴族の部屋の扉と言ってもばれないのではと思うと同時に、自身の考えとしては金の無駄遣いにも思えた。

「ソウスケさんにはこの扉の宝石による装飾等はやはり無駄遣いに思いますか?」

執事からの言葉にソウスケは読心術でも使えるのかと思いながらも、今回ははぐらかす必要が無いため正直に答えた。

「そうですね・・・・・・冒険者の自分からすれば金の無駄遣いに思えますけど、商人にとって力を見せつける意味では正しい金の使い方なんでしょうね」

「・・・・・・ソウスケさん、やはり数年ほど色々と学んでから商人になりませんか?」

ソウスケの考えを聞いた執事は先程聞いたソウスケの敵対する者への容赦の無さを覚えていながらも、もう一度ソウスケに商人にならないかと尋ねた。

「なりませんよ。俺に商人なんて終始頭を使わなければいけない職業は向いていませんよ。なぁ、ミレアナ」

「・・・・・・確かに終始多くの事を考える職業はソウスケさんには向いていないかもしれませんね」

自分に話を振られたミレアナは正直ソウスケが商人として、もしかしたらやっていけるのではと少し思っていた為に返答が直ぐには返せなかった。

「そうですか、それは残念ですね。さて、この部屋の中にトーラス様がいます。トーラス様はあまり言葉使いを気にしないのでリラックスしていてください」

そう言うと執事は扉を二回ノックして中にいるトーラスに声をかけた。

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