転移したらダンジョンの下層だった
八十話笑みが怖い・・・・・・
「そういえば、俺が帰ってからミレアナを買おうって人は来ましたか?」
おそらく来てはいないだろうとソウスケは思っていたが、気になっていたので一応聞いてみた。
「ああ、おったぞ。貴族の三男坊か四男坊だったか、そ奴が護衛と一緒に来てミレアナを買おうとしたぞ」
「えっ、マジですか!? でも・・・・・・貴族とはいっても、三男や四男じゃ金貨三十五枚も出せないんじゃないですか」
ソウスケはその貴族の子息の爵位は全く知らないが、長男でもない子供がそこまで大金を持っているとは思えなかった。
「お主の言う通りじゃよ。持っていた金貨の枚数はお主が出した枚数の半分、二十五枚じゃったよ。ミレアナの容姿に一目惚れしたのか、まだ十歳にもなっていないのに下手な交渉を始めて流石の儂も困ったわい」
お爺ちゃんは本当に困った顔をしながら話を続けた。
「お主が儂に金貨を五十枚預ける前ならば金貨二、三枚ならばまけてやらんでもなかったがのう。流石に金貨十五枚はちとな・・・・・・儂だけでなく護衛の人まで困った顔をしておったわい」
「は、ははは・・・・・・それは、何ともいえない光景ですね」
想像出来なくもなかったが、場所が普通の店ではなく奴隷の店というのがソウスケは何ともシュールに感じた。
(子供がそこまで我儘を言うと言うことは、お爺ちゃんの言う通り完全に一目惚れなのかもしれないな)
ソウスケは何となくまだ子供の時に日曜の朝にやっていた、戦隊モノのドラマに出てくるヒロインが何故か物凄く可愛く見えた事を思い出した。
(おそらくその時の感覚に似ているんだろうな。まぁ・・・・・・だからと言って渡すつもりは全くないけどな)
それから前回と同じく、ミレアナが入っている檻の前へソウスケは着いた。
「ほれ、これからお前さんの主となる方がやって来たぞ」
お爺ちゃんの主という言葉にソウスケの頭の中に桃色の妄想が浮かんだが、ソウスケは頭を横に振って打消し、ミレアナに声を掛けた。
「どうも、これから君の主になるソウスケだ。宜しくな」
「えっと・・・・・・ミレアナです。種族はハイ・エルフです」
お互いにペコリと頭を下げて挨拶をした。
「お主、本当に変わっておるのぅ。奴隷に普通は頭を下げたりはせんぞ」
お爺ちゃんは本当に不思議そうにソウスケを見た。
「あーー、昨日言ったと思うんですけど、俺は最近までお祖父ちゃん意外と殆ど関わってこなかったんですよ。だからそういった常識にも疎くて」
「そういえばそんな事言っておったの。ならば仕方ないかもしれんのぅ。じゃが、自分の奴隷に感謝の言葉を言うのはまだ良いが、他人の奴隷にそういったへりくだった態度は取らない方がいいぞ」
お爺ちゃんはソウスケのこの先が心配になり、少しだけ助言をした。
お祖父ちゃんからすれば、ソウスケは余りにも常識を知らなすぎるように思えた。
(こやつの祖父ももう少し常識を教えてやれば良かったのにのぅ。いや、世間から離れておれば常識を忘れてしまう可能性もなくはないか)
ソウスケの常識の無さは色々と今後問題を引き起こすと思ったが、お爺ちゃんは敢えて全て助言をするような事はしなかった。
「忠告有難うございます」
「さて、それじゃ上に行くぞ」
お爺ちゃんは腰から鍵を取り出し、錠と鍵の番号を確認してから檻のカギを開けた。
ミレアナはずっと運動をしていなかったからか、フラフラと歩きながら檻から出て来た。
「・・・・・・お爺ちゃん、その首に着けている鎖の影響でお爺ちゃんに危害は加えられないんですよね」
「そうじゃのぅ。基本的に儂が掛けた約束を破ることは出来んの。それがどうかしたのか?」
「戦闘奴隷とかは今のミレアナみたいによろよろになっていたら、直ぐに仕事をこなす事は出来ないだろうから、少しトレーニングが出来る器具を渡してあげたらどうかな。勿論ノルマをこなすように首輪に約束を加えて」
ソウスケの提案にお爺ちゃんは目を丸くして驚いたが、直ぐに納得がいった顔をした。
そして口端が少し吊り上がっており、温和な顔から商人の顔に変わっていた。
「なるほどのぅ、確かにそうすれば他の店と差が大きくつける事が出来るかもしれんのぅ。ふっふっふ、その案は是非採用させてもらおう。お主、常識に疎い代わりにそういった事は思いつくんじゃな」
「何というか・・・・・・あれですよ。どんな名剣でも砥がなければ錆びてしまうじゃないですか。それと一緒ですよ。それと、トレーニング内容は程ほどにしてあげてくださいよ」
お爺ちゃんの商人としての笑みに、若干冷や汗を流したソウスケは自分とは全く関係ない奴隷の事が少し心配になり、お爺ちゃんに無茶はしないであげてと伝えた。
「そういう匙加減は分かっておるよ。さて、奴隷紋を体につける儀式はこっちの部屋でするぞ」
部屋の中には殆ど物は置かれておらず、最低限の物しかなかった。
「奴隷紋をつける場所はどこにするんじゃ」
「・・・・・・背中の中心でお願いします」
「分かった。制約はどうするんじゃ」
ソウスケは一分程考えてから制約の内容をお爺ちゃんに伝えた。
「一つ、俺に、これからできる俺の仲間や友人に手を出さない。二つ、俺が不利益になる情報を他人に伝えない。三つ、自害をしない。四つ、どんな状況であっても生きる事を諦めるな。この四つでお願いします」
ソウスケからの制約の内容に、今度はお爺ちゃんだけでなくミレアナも驚いた顔をしていた。
「お主は、本当に可笑しな冒険者じゃのぅ」
可笑しなと言いながらも、お爺ちゃんの顔は良い意味の笑顔になっていた。
「さて、ミレアナ。お主の背中に奴隷紋をつけるから服を脱いで後ろを向きなさい」
「は、はい」
当たり前のように服を脱ぎだしたミレアナを見て、ソウスケは慌てて目を閉じた。
「・・・・・・お主色々な意味で面白いのぅ」
お爺ちゃんは小さく笑いながらミレアナの背中へ奴隷紋をつけた。
「んんっ!!」
奴隷紋を体につける時少しだけ厚さを感じるため、ミレアナは熱さを我慢しながら声を噛み殺した。
「・・・・・・これで儀式は終了じゃ。ほれ、お主の主が頬を赤くしておるんじゃから早く服を着なさい」
「なんか・・・・・・結構早く終わりましたね。儀式っていうから、もう少し時間が掛かると思っていました」
「そう、難しい物ではないからな。そこまでスキルのレベルに左右される物ではないからのぅ」
お爺ちゃんはスキルのレベルは大して関係ないと言ったが、ソウスケはそうは思えなかった。
(確かに奴隷紋をつけるのに関しては余りレベルは関係なさそうだけど、制約の内容や数には関係ありそうだな)
一応頭の片隅に置いておき、ソウスケは服を着たミレアナの方を向いた。
「えっと、改めてよろしくなミレアナ」
「こ、こちらこそよろしくお願いします。ご、ご主人様」
ソウスケから差し出された手を、ミレアナはおずおずとした様子で手を取り握手をした
おそらく来てはいないだろうとソウスケは思っていたが、気になっていたので一応聞いてみた。
「ああ、おったぞ。貴族の三男坊か四男坊だったか、そ奴が護衛と一緒に来てミレアナを買おうとしたぞ」
「えっ、マジですか!? でも・・・・・・貴族とはいっても、三男や四男じゃ金貨三十五枚も出せないんじゃないですか」
ソウスケはその貴族の子息の爵位は全く知らないが、長男でもない子供がそこまで大金を持っているとは思えなかった。
「お主の言う通りじゃよ。持っていた金貨の枚数はお主が出した枚数の半分、二十五枚じゃったよ。ミレアナの容姿に一目惚れしたのか、まだ十歳にもなっていないのに下手な交渉を始めて流石の儂も困ったわい」
お爺ちゃんは本当に困った顔をしながら話を続けた。
「お主が儂に金貨を五十枚預ける前ならば金貨二、三枚ならばまけてやらんでもなかったがのう。流石に金貨十五枚はちとな・・・・・・儂だけでなく護衛の人まで困った顔をしておったわい」
「は、ははは・・・・・・それは、何ともいえない光景ですね」
想像出来なくもなかったが、場所が普通の店ではなく奴隷の店というのがソウスケは何ともシュールに感じた。
(子供がそこまで我儘を言うと言うことは、お爺ちゃんの言う通り完全に一目惚れなのかもしれないな)
ソウスケは何となくまだ子供の時に日曜の朝にやっていた、戦隊モノのドラマに出てくるヒロインが何故か物凄く可愛く見えた事を思い出した。
(おそらくその時の感覚に似ているんだろうな。まぁ・・・・・・だからと言って渡すつもりは全くないけどな)
それから前回と同じく、ミレアナが入っている檻の前へソウスケは着いた。
「ほれ、これからお前さんの主となる方がやって来たぞ」
お爺ちゃんの主という言葉にソウスケの頭の中に桃色の妄想が浮かんだが、ソウスケは頭を横に振って打消し、ミレアナに声を掛けた。
「どうも、これから君の主になるソウスケだ。宜しくな」
「えっと・・・・・・ミレアナです。種族はハイ・エルフです」
お互いにペコリと頭を下げて挨拶をした。
「お主、本当に変わっておるのぅ。奴隷に普通は頭を下げたりはせんぞ」
お爺ちゃんは本当に不思議そうにソウスケを見た。
「あーー、昨日言ったと思うんですけど、俺は最近までお祖父ちゃん意外と殆ど関わってこなかったんですよ。だからそういった常識にも疎くて」
「そういえばそんな事言っておったの。ならば仕方ないかもしれんのぅ。じゃが、自分の奴隷に感謝の言葉を言うのはまだ良いが、他人の奴隷にそういったへりくだった態度は取らない方がいいぞ」
お爺ちゃんはソウスケのこの先が心配になり、少しだけ助言をした。
お祖父ちゃんからすれば、ソウスケは余りにも常識を知らなすぎるように思えた。
(こやつの祖父ももう少し常識を教えてやれば良かったのにのぅ。いや、世間から離れておれば常識を忘れてしまう可能性もなくはないか)
ソウスケの常識の無さは色々と今後問題を引き起こすと思ったが、お爺ちゃんは敢えて全て助言をするような事はしなかった。
「忠告有難うございます」
「さて、それじゃ上に行くぞ」
お爺ちゃんは腰から鍵を取り出し、錠と鍵の番号を確認してから檻のカギを開けた。
ミレアナはずっと運動をしていなかったからか、フラフラと歩きながら檻から出て来た。
「・・・・・・お爺ちゃん、その首に着けている鎖の影響でお爺ちゃんに危害は加えられないんですよね」
「そうじゃのぅ。基本的に儂が掛けた約束を破ることは出来んの。それがどうかしたのか?」
「戦闘奴隷とかは今のミレアナみたいによろよろになっていたら、直ぐに仕事をこなす事は出来ないだろうから、少しトレーニングが出来る器具を渡してあげたらどうかな。勿論ノルマをこなすように首輪に約束を加えて」
ソウスケの提案にお爺ちゃんは目を丸くして驚いたが、直ぐに納得がいった顔をした。
そして口端が少し吊り上がっており、温和な顔から商人の顔に変わっていた。
「なるほどのぅ、確かにそうすれば他の店と差が大きくつける事が出来るかもしれんのぅ。ふっふっふ、その案は是非採用させてもらおう。お主、常識に疎い代わりにそういった事は思いつくんじゃな」
「何というか・・・・・・あれですよ。どんな名剣でも砥がなければ錆びてしまうじゃないですか。それと一緒ですよ。それと、トレーニング内容は程ほどにしてあげてくださいよ」
お爺ちゃんの商人としての笑みに、若干冷や汗を流したソウスケは自分とは全く関係ない奴隷の事が少し心配になり、お爺ちゃんに無茶はしないであげてと伝えた。
「そういう匙加減は分かっておるよ。さて、奴隷紋を体につける儀式はこっちの部屋でするぞ」
部屋の中には殆ど物は置かれておらず、最低限の物しかなかった。
「奴隷紋をつける場所はどこにするんじゃ」
「・・・・・・背中の中心でお願いします」
「分かった。制約はどうするんじゃ」
ソウスケは一分程考えてから制約の内容をお爺ちゃんに伝えた。
「一つ、俺に、これからできる俺の仲間や友人に手を出さない。二つ、俺が不利益になる情報を他人に伝えない。三つ、自害をしない。四つ、どんな状況であっても生きる事を諦めるな。この四つでお願いします」
ソウスケからの制約の内容に、今度はお爺ちゃんだけでなくミレアナも驚いた顔をしていた。
「お主は、本当に可笑しな冒険者じゃのぅ」
可笑しなと言いながらも、お爺ちゃんの顔は良い意味の笑顔になっていた。
「さて、ミレアナ。お主の背中に奴隷紋をつけるから服を脱いで後ろを向きなさい」
「は、はい」
当たり前のように服を脱ぎだしたミレアナを見て、ソウスケは慌てて目を閉じた。
「・・・・・・お主色々な意味で面白いのぅ」
お爺ちゃんは小さく笑いながらミレアナの背中へ奴隷紋をつけた。
「んんっ!!」
奴隷紋を体につける時少しだけ厚さを感じるため、ミレアナは熱さを我慢しながら声を噛み殺した。
「・・・・・・これで儀式は終了じゃ。ほれ、お主の主が頬を赤くしておるんじゃから早く服を着なさい」
「なんか・・・・・・結構早く終わりましたね。儀式っていうから、もう少し時間が掛かると思っていました」
「そう、難しい物ではないからな。そこまでスキルのレベルに左右される物ではないからのぅ」
お爺ちゃんはスキルのレベルは大して関係ないと言ったが、ソウスケはそうは思えなかった。
(確かに奴隷紋をつけるのに関しては余りレベルは関係なさそうだけど、制約の内容や数には関係ありそうだな)
一応頭の片隅に置いておき、ソウスケは服を着たミレアナの方を向いた。
「えっと、改めてよろしくなミレアナ」
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