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転移したらダンジョンの下層だった

Gai

六十話商談? 終了

ソウスケが早く寝たい気持ちを忘れてセルガ―と話し合いを始めてから約三十分、ようやく二人の話し合いが終わった。

「・・・・・・と言う感じで、最終的には大きな利益に繋がると思います」

「確かにそうだな。そう言った内容であれば、相手をさせる女達の選択肢も増える。君の意見通りの女達を集める事が出来れば、大きな利益に繋がる事も可能だな。いっそこの店とは違う店舗で始めるのもありかもしれないな。ソウスケ君、君のおかげで今後の楽しみが増えたよ。感謝する」

セルガ―は商談中の顔から、プライベートの顔に変わり人の良さそうな笑顔でソウスケに握手の手を出した。
差し出された手にソウスケも答えてセルガ―と握手を交わした。

「どうも。俺に利益が無い訳じゃない話だったんで、俺も話していて楽しかったですよ。問題点の時間の過ごし方は・・・・・・こっちで考えておくんで」

「そうか、それは助かる。私は正直そういう事は考えるのは苦手なんでな。む、どうやら少し話し過ぎたみたいだな。少しだけ待っていてくれ」

「は、はい。分かりました」

セルガ―は席を立ちあがり自分の机をごそごそ何かを探し始めた。
そしてソウスケはセルガ―の少し話し過ぎたという言葉を聞いて、ようやく時間がかなり経っていた事に気が付いた。

(・・・・・・マジか、長くても十分ぐらい話したら帰るつもりだったんだけどな。まぁ、俺にも旨味のある話だったから別にかまわないか。けど、明日は寝たいと思う時間までゆっくりと寝るとするか。・・・・・・ん~~~~~~、ここ最近生活リズムが少し崩れている気がするな。まだ成長期な筈だからそこら辺はしっかりと管理た方が良い気がするけど、やっぱり寝たい時間まで寝られるっていうのは魅力的だよな)

ソウスケが寝たいだけ寝られると言う、大半の人が望む誘惑に負けそうになっていると、自身の机で何かを探してたセルガ―が戻って来た。

「長い時間引き留めてしまったのと、店の従業員が君に迷惑をかけた分だ。受け取って欲しい」

セルガ―はソウスケに迷惑を掛けた例として金貨一枚と懐中時計を渡した。
その二つを受け取ったソウスケは、ギョッとしてワタワタしてしまい懐中時計を落としそうになった。

「と、ととと。あ、あっぶね。セルガ―さん。あの、迷惑料としては高過ぎる気がするんですが」

ソウスケはまだこの世界の価値観、常識などをいまいち分かっていなかったが、街の人々に時間を知らせるのに鐘を使っている時点で、懐中時計がどれだけ高価な物か理解できた。

「なに、これから得られる利益に比べれば安い物だ。受け取ってくれ。冒険者をしているのであれば懐中時計は持っていて損は無い筈だ」

「・・・・・・分かりました。有効活用させてもらいます」

この先の事を考えたソウスケは、セルガ―の言う通りだと理解した。

(確かにこの先泊りで依頼を受ける事がある筈だ。そういった時に時計は役に立つだろうな。ダンジョンの中でも外の時間が分かる。便利な事には変わりない。有難く貰っておこう)

受け取った金貨と懐中時計をソウスケは収納しようと、アイテムボックスのスキルを使おうとしたが、直ぐにアイテムボックスがどれだけ貴重なスキル(ソウスケのに限る)なのかを思い出し、収納先をバックに変えた。

「それじゃ、失礼します。アイデアが上手くいく事を祈ってます」

「ああ。君がくれた大きなチャンスだ。無駄にするつもりはない。宿に帰ったらゆっくりと寝てくれ」

「そうさせて貰いますよ」

そう言うと、ソウスケは大きく欠伸をしながらドアを開け宿へ向かった。
ソウスケが部屋から出たのを確認したセルガ―は、椅子へドカッと腰を下ろしため息を一つ吐いた。
だが、その顔に疲れの表情は無く、むしろ嬉々とした表情になっていた。

「まったく、何がただのルーキーの冒険者だ。普通の、十五歳の冒険者の発想ではないだろう。かといって、貴族の様な発想でもない。一般人よりの考えだ。だが、アイデア自体は本当に良い。この際彼が何者なのかは置いておいていいだろう。ふふふ、彼とは今後も良い関係を築けたらいいものだな」

セルガ―はそろそろ日付が変わる時間まで迫っていたが、睡眠を取る事はせずにソウスケから貰ったアイデアを紙に纏め始めた。

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