転移したらダンジョンの下層だった
五十四話緊張にプラス恐怖
受付の女性は、男性の店員から目の前の少年が有名な商人の息子か、貴族のご子息様かもしれないと言われたので、男の慌てぶりから本当の事だろうと思い、少年に接客した。
恐らくランクの高い娼婦を相手にするとも、予想はしていた。
だが、金を持っていると分かっていても、少年が軽く金貨四枚を出すところを見て、通常通り接客するのは不可能だった。
「・・・・・・・・・・・・」
受付の女性は文字通り、開いた口が塞がらない状態になっていた。
まだ成人したての少年が本当は、貴族の子息の中でも、伯爵か侯爵家の子息なのではないのかという、考えが浮かび上がって来た。
そして開いた口は塞がったが、自分の勝手な予想のおかげで今度は歯をカチカチと鳴らし始めた。
そんな受付嬢の心情をソウスケは読み取ることが出来ず、自分が出した見学では足らないのかと思っていた。
「・・・・・・もしかして足らないのか? それなら・・・・・・」
「い、いえ!! だ、だだだだだ大丈夫です!!! りょ、料金はた、足りていますので、しょ、しょしょしょ少々お待ちくださいませ。す、直ぐに戻ってまいりますので!!!」
言葉を何度もつっかえ、最後は猛ダッシュでその場から離れ、娼婦へ要件を伝えに向かった。そんなわざわざ面倒なことをせずとも、魔道具を使って娼婦へと合図を送れるのにだ。
それほどまでに、受付の女性の心の中は緊張や恐怖、焦り等で一杯だった。
「・・・・・・なんか最後口調が変わっていなかったか? それにダッシュの速さ一般人にしては速かった気がするな。もしかして元冒険者なのか? ・・・・・・いや、冒険者からギルドの受付嬢にジョブチェンジはありそうだけど、冒険者から娼館の受付嬢ってのは流石に無いか。だったら火事場のバカ力か? だったら納得出来なくはないけど・・・・・・そんなもの出す場面でもないよな」
受付の女性が予想以上の速さで動いた原因について、火事場のバカ力は無いだろうとソウスケは思ったが、受付の女性の意外な速さでダッシュした原因は、殆ど火事場のバカ力と似た様なものだった。
正確に言えば、高位の貴族だと勘違いしているソウスケに目を付けられたくなかったので、機嫌を損なわないようにしようと思い、行動に移した結果だった。
「んん・・・・・・分かんないな。まぁ、そこまで深く考える必要が無い事だし、今は置いておこう。おっ、戻って来たな。・・・・・・うん、やっぱりただの受付にしては足が速い気がするな」
受付の女性は息を切らしながら、だけど速さは落とさないように全力でダッシュしながら、カウンターまで戻って来た。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・お、お待たせしました。ま、まずはこちら、銀貨四十枚をお返しいたします」
「・・・・・・確かに四十枚あるな」
ソウスケは、お釣を誤魔化すような真似はしないだろうとは思っていたが念の為、銀貨の数を数えた。
ソウスケにお釣の銀貨渡し終えた受付の女性は、早速ソウスケを娼婦がいる部屋まで案内しようとした。
「そ、それでは、しょ、娼婦が待っているお部屋までご案内い、いたしますね」
「いや・・・・・・随分と息が切れているみたいだし、少し休んでからでも構わないけど」
「い、いえ。そんなことありませんよ! ぜ、全然大丈夫です!! さぁ、行きましょう」
この時点で、受付の女性のキャラは普段と比べてかなり可笑しくなっていた。
空元気を出している受付の女性の可笑しな迫力に圧され、ソウスケは何も言わずに後に付いて行った。
明けましておめでとうございます、今年も一年よろしくお願いします!!
恐らくランクの高い娼婦を相手にするとも、予想はしていた。
だが、金を持っていると分かっていても、少年が軽く金貨四枚を出すところを見て、通常通り接客するのは不可能だった。
「・・・・・・・・・・・・」
受付の女性は文字通り、開いた口が塞がらない状態になっていた。
まだ成人したての少年が本当は、貴族の子息の中でも、伯爵か侯爵家の子息なのではないのかという、考えが浮かび上がって来た。
そして開いた口は塞がったが、自分の勝手な予想のおかげで今度は歯をカチカチと鳴らし始めた。
そんな受付嬢の心情をソウスケは読み取ることが出来ず、自分が出した見学では足らないのかと思っていた。
「・・・・・・もしかして足らないのか? それなら・・・・・・」
「い、いえ!! だ、だだだだだ大丈夫です!!! りょ、料金はた、足りていますので、しょ、しょしょしょ少々お待ちくださいませ。す、直ぐに戻ってまいりますので!!!」
言葉を何度もつっかえ、最後は猛ダッシュでその場から離れ、娼婦へ要件を伝えに向かった。そんなわざわざ面倒なことをせずとも、魔道具を使って娼婦へと合図を送れるのにだ。
それほどまでに、受付の女性の心の中は緊張や恐怖、焦り等で一杯だった。
「・・・・・・なんか最後口調が変わっていなかったか? それにダッシュの速さ一般人にしては速かった気がするな。もしかして元冒険者なのか? ・・・・・・いや、冒険者からギルドの受付嬢にジョブチェンジはありそうだけど、冒険者から娼館の受付嬢ってのは流石に無いか。だったら火事場のバカ力か? だったら納得出来なくはないけど・・・・・・そんなもの出す場面でもないよな」
受付の女性が予想以上の速さで動いた原因について、火事場のバカ力は無いだろうとソウスケは思ったが、受付の女性の意外な速さでダッシュした原因は、殆ど火事場のバカ力と似た様なものだった。
正確に言えば、高位の貴族だと勘違いしているソウスケに目を付けられたくなかったので、機嫌を損なわないようにしようと思い、行動に移した結果だった。
「んん・・・・・・分かんないな。まぁ、そこまで深く考える必要が無い事だし、今は置いておこう。おっ、戻って来たな。・・・・・・うん、やっぱりただの受付にしては足が速い気がするな」
受付の女性は息を切らしながら、だけど速さは落とさないように全力でダッシュしながら、カウンターまで戻って来た。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ・・・・・・お、お待たせしました。ま、まずはこちら、銀貨四十枚をお返しいたします」
「・・・・・・確かに四十枚あるな」
ソウスケは、お釣を誤魔化すような真似はしないだろうとは思っていたが念の為、銀貨の数を数えた。
ソウスケにお釣の銀貨渡し終えた受付の女性は、早速ソウスケを娼婦がいる部屋まで案内しようとした。
「そ、それでは、しょ、娼婦が待っているお部屋までご案内い、いたしますね」
「いや・・・・・・随分と息が切れているみたいだし、少し休んでからでも構わないけど」
「い、いえ。そんなことありませんよ! ぜ、全然大丈夫です!! さぁ、行きましょう」
この時点で、受付の女性のキャラは普段と比べてかなり可笑しくなっていた。
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