三十九話メリット、デメリット

「そういえば、ソウスケ君はまだソロでやっているんだよね」


「そうですね。まだ冒険者になったばかりなんで」


「アガレス達から聞いたけど、今は誰かとパーティーを組む気はないんだっけ」


ソウスケは、アガレス達にそんな事を話したなと思い出しながら頷いき、理由を話した。


「はい。俺はそこまで冒険者のランクを上げることに、執着はないんですよ。それよりも色んな冒険をしたり、自分が知らなかった知識を得たり、冒険者とは関係ない人と知り合ったり、そういった事が目的なんで他の冒険者とは馬が合わないと思うんですよ。なんで当分はパーティーは組まないと思います。まぁ、臨時パーティーぐらいは組むかもしれないですけどね」


「なるほどねぇ・・・・・・ゼルートは秘密が多そうだからね。でも、一人じゃ色々と大変なのよ。特に野営の時とかは一晩中起きておかないといけないしね。もしお金に余裕があるんだったら、奴隷でも買ったらどうかしら」


マーサの提案は、ソウスケも考えていた事だった。
実際に金にも余裕があるので、今度見に行こうと思っていた。


(マーサさんの言う通り、俺は秘密が多いからな。奴隷な・・・・・・値段の基準が分からないからな。お金は確かにあるけど、そこら辺聞いてみるか）


ライガン達なら知っているかもしれないと思い、ソウスケは奴隷の値段について聞いた。


「奴隷の種類とか値段のとかって分かりますか」


「ん～～～～、奴隷の種類と値段か・・・・・・正直そこまで詳しくないんだよね。知り合いに聞いた情報だし、それでも良かったら話すよ」


「お願いします」


ライガン達が他人から聞いた情報であっても、何も知らないソウスケにとっては、有益な情報に変わりはないので是非知りたかった。


「よし、まずは・・・・・・奴隷自体にも種類があるんだ。借金を払えきれなくなったりして奴隷になった人達。何か犯罪などを犯して奴隷落ちになったわけでは無い人達。その人達は一般奴隷って言われているねちなみに非合法で奴隷になった人達も同じ分類らしい。そして犯罪を犯して奴隷に落ちた犯罪奴隷。戦闘に関しては犯罪奴隷の方が利点はあるかもしれないけど、正直お勧めはしないね。基本的に悪事を行って落ちた人達ばかりらしいから、契約の際に行われるルール決めの時に、決めた内容の抜け道を探して殺しに来る事もあるだろうからね。奴隷であったとしても、信用は出来ないと僕は思うよ」


ライガンの考えに、ガインも飲んでいたエールを飲み干し、木のジョッキをドカッとテーブルに下ろしながら同意し、話し出した。


「ぷはぁ、確かにライガンの言う通りだと俺も思うぜ。ただまぁ、一般奴隷だと戦闘面が頼りないからな。冒険者としての生活上、役に立つかって言われたら微妙だろうな。ただ、今まで自分の才能に気が付いていなかっただけで、鍛えればそこそこ戦えるような場合もあるだろうな」


ガインの説明になるほどと思い、ソウスケは頷きながらガインの説明の続きが気になり、食事の手が止まっていた。


「だが、結局はそこに金を注ぎ込むわけだから、見返り過ぐるのは結構先になるだろうな。けど、一般奴隷でも例外はいるって聞くな。確か・・・・・・非合法で奴隷になった人達にそう言った実力者がいるって聞くな」


ガインの話の内容に、ソウスケは納得できるところはあった。


(非合法で奴隷になった、か・・・・・・簡単に言えば、盗賊に捕まえられたとか、同業者に嵌められたとかそう言った形で奴隷になった人達だろうな）


ソウスケが、非合法で奴隷になった人達の事について考えていると、ライガンが奴隷の値段について補足をした。


「ちなみに人間の奴隷より、獣人やエルフ、ドワーフに小人族は値段が高くなっているよ。人間より何かに秀でていることが多いからね」


「なるほど・・・・・・もの凄く納得できる理由ですね」


獣人、エルフといった夢膨らむ存在を聞いたソウスケの頭の中は、少し妄想が膨れ上がっていた。
そんな妄想で浮かれているソウスケに、マーサが奴隷を買う事でのデメリットを伝えた。


「浮かれているところ悪いけど、奴隷を買うことで面倒なこともあるのよ。その奴隷の食費とか衣類代に装備品の費用、その他もろもろかかるのよ。確かに戦闘面で強い奴隷が買えたら、依頼の成功率が上がるかもしれけど、奴隷を買った代金分の利益が手元に車で、かなり時間が掛かると思うわよ」


マーサの説明に、ニーナはコクコクと頷きながら自分の考えを述べた。


「マーサの言う通り、奴隷は世話をするのに費用がかかる。それに、買った奴隷の過去の人間関係のせいで、面倒な事に巻き込まれないとも限らない」


奴隷を買うことに否定的な意見だが、確かにそうかもしれないとソウスケは思う部分があった。