転移したらダンジョンの下層だった

Gai

八話新しい能力

「うおらああああああ!!!!!!」


俺は蛇腹剣に水を纏わせ、横に回転させた盾でワイバーンの吐き出す炎のブレスに突っ込んだ。


水と炎がぶつかり大きな水蒸気があふれ出した。お互いの視界は完全にふさがれた。
けど俺にはしっかりと、ワイバーンの気配を感じ取れている。
蛇腹剣を左手に持ち替え右手に魔力を思いっきり込めてワイバーンに殴りかかった。


「うおおおおっっ、らあああああああ!!!!!!」


「ギュアアアアアアア!!!!」


俺の拳がワイバーンの顔面に、良い具合にきまった。
殴られた勢いでワイバーンはそのまま壁際まで吹っ飛んだ。


「っし! いい感じに決まったな。感触からして骨は砕けたはずだ」


一瞬浮かれた俺だけど、直ぐにワイバーンが再生する力があるのを思い出し、速攻でワイバーンに向かって駆け出した。
相手は今までの様な相手じゃない。余裕ぶっこいていていい相手じゃないから。


「倒しはしたいけどせっかく下級とはいえドラゴンの素材だからな。なるべく傷つけずにだ、な!!!」


流石はドラゴン。直ぐに反撃に移るなんてな。
だが俺はブレスの予兆が見える、と直ぐに水の槍を造りだしワイバーンの口に向かって放った。


「ギィヤアアアア!!!???」


俺の放った水の槍によりワイバーンは、良い感じに自滅した。
感覚的には口の中に爆弾を入れられたような感覚だろうな。
うっ、想像するだけで痛いな。


「ま、でも・・・・・・これで終わりだ」


俺はさっきと同じように足に魔力を、後ろから追い風を、縮地を使い一気にワイバーンの首元に駆け出した。
そして超至近距離から水を圧縮させて水のレーザーを心臓にめがけて発射した。


放たれた水のレーザーはワイバーンの胸をいとも簡単に貫き命を奪った。


「ギィヤアア・・・ア、ア・・・」


ワイバーンは大声を上げることもなく息絶えた。
俺はそれを確認すると、大きくため息を吐いた。


「は~~~~、結構緊張したな。あの水のレーザーのおかげでかなり魔力を持っていかれたな」


最後にはなった水のレーザーは威力は凄いけど魔力の消費が激しい。
まっ、発想が前の世界の水をもの凄い速さで出すと、鉄を斬ることが出来るってのを思い出して造った魔法だしな。


「それより上手い事、傷ほぼなしで倒すことが出来たな。これで装備を造ってもらってよし、売っても良し。なんにしてもいい感じの終わりだな。おっ、宝箱が5つあるな。ラスボスの部屋の奴なんだし結構期待できそうだな」


俺はそう言いながら宝箱とワイバーンの死体を収納スキルでしまった。


「さて・・・・・・さっきまであんなのはなかったよな」


ワイバーンの死体を回収した場所に大きな魔石・・・・いや、これは・・・・・・。


「ダンジョンコアっ、てやつで合ってるのか? ならこれも回収しとくか」


俺はそう言ってダンジョンコアに手を伸ばして回収しようとしたがとりあえず鑑定することにした。


ダンジョンコア レア度4


ダダンジョンを管理する生命線と言えるもの。
これが元の場所から離れるとダンジョンが機能を停止し魔物や宝箱がこれ以上増えるなくなる。




この説明を見て俺はダンジョンコアを回収するか悩んだ。
正直もう少しこのダンジョンの中で強くなるのもいいかと思ったが、ボス部屋のモンスター達がいつ復活するのかとかがいまいちわからないので、それなら残りのモンスターを狩って、宝箱を回収して外に出ようと思い、ダンジョンのコアを回収した。


「さてと、これで他の奴らがここを独占することは出来なくなったし、遠慮なくここから出られるな。宝箱はなるべく回収しておきたいな。知らないモンスターがいたら蛇腹剣に吸収しておきたいしな」


蛇腹剣にはモンスターしか使えないようなスキルもかなり吸収していた。


「でも・・・・・・あまり人前では使えないな。特にモンスターの特徴を蛇腹剣に反映させたときは、本当にチートって感じだからな」


スキルの効果にモンスターの特徴を吸収するというのがあった。そしてそれを使ってみた。
試しにリザードマンの特徴を反映して使ってみた。


すると特徴的な鱗と爪? 牙? が反映され普段の蛇腹剣とは全くの別物になっていた。
そしてちょうど自分に向かってきたムカデ型のモンスターを鞭状にせず長剣の形で斬りかかった。


結果、信じられないほど簡単に斬り裂くことが出来た。
殆ど抵抗を感じなかった。豆腐を包丁で切るみたいにスッと斬ることが出来た。


「あれはこいつを人前で本気で使う時でも、使わないようにしないとな。あれだ、禁止技だな」


そういうと俺は体にまだ余裕があることを確認すると直ぐに上に向かって走り出した。



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