異世界を楽しみたい転生者

Gai

少年期[244]吠えても無駄

三人が持っているマジックアイテムを鑑定した中に隷属の首輪を見つけ、効果を知ったゼルートの怒りのボルテージは一瞬で限界まで達した。

「これから死ぬ前に一つ教えてやるよ・・・・・・俺は、俺の仲間に手を出す奴に容赦しない。ただ、下す内容は相手によって変える。時と場合にもよるけどな」

幾ら屑が相手であっても、よっぽどの事が無い限り公共の場で人を殺すほどゼルートは非常識ではない。

「ただ、お前らがやろうとしていた内容だと・・・・・・地獄を見せる必要がありそうだな」

まだ十二の子供が見せるにはあまりにも強大な殺気。
三人は体を、歯を小刻みに震えさせながら失禁していた。

腰巾着の二人は既にこの時点で心が折れていた。
なんで俺達はこんな真似をしたんだ、何故バラスの誘いに乗ってしまったのか、どうして目先の欲しか考えずにリスクを考えなかったのか。
今からでも殺気を放つ少年に許しを請いてこの場から一秒でも早く逃げ出したい。

ただ、体が・・・・・・歯が喉が恐怖で震え、許しを請いたくても声が出せないでいた。

「・・・・・・ッ!! このクソガキが、調子に乗るのもいい加減に・・・・・・」

バラスが言葉を言い終える前にゼルートは風の魔力で周囲に音が漏れないようにし、小さな風の槍を太ももに突き刺す。

「ぐ、あぁ・・・・・・てめぇ、ええ!!」

「・・・・・・はぁーーーー。お前、この状況でなんでそんな威勢が良いんだよ。そんな風に怒鳴り散らせば俺が怯えてお前らを解放するとでも思ってるのか? だとしたら相当お前の頭の中はお花畑らしいな」

バラスを嘲笑するゼルートの表情は普段の表情とは全く違い、完全に他人を見下す物になっていた。
だが、それは直ぐに一転して怒りの表情に戻り、先程以上の殺気がゼルートから溢れ出す。

「で、調子に乗るのもいい加減にしろだぁ? ・・・・・・それはこっちのセリフだ。俺は言ったよな・・・・・・地獄を見せてやるってな」

ゼルートが三人へ今一度宣言を行うと、周囲には火や風に雷の矢、球体が無数に生み出される。

「取りあえず・・・・・・前菜を味わえ。安心しろ、出血多量で死なせたりはしない。少し荒っぽいが止血はしてやる。こいつでな」

ゼルートの両腕には氷の魔力が漏れ出し、三人はどうやって止血をするのかが分かり恐怖が加速した。



「・・・・・・大体二十分ぐらい経ったか。どうだ、何も抵抗する事が出来ずに嬲られる気持ちは」

三人の体には多くの傷・・・・・・を覆い隠す様な氷が無数にあり、血の色と混ざりそれだけ見れば鮮やかな色だと言えなくもないだろう。

「俺はお前らがどうやって今まで人生を送って来たなんかしらない。ただ、俺が知るお前たちの行動を考えると過去にも弱者を虐げ、慰み者にした・・・・・・と、俺が勝手に勘違いしても可笑しくは無いよな」

ゼルートの言葉に心当たりがある三人はボロボロになった体をビクッとさせ、痛みで体が震えるどころではなかった三人が再び震え出す。

勿論ゼルートは本当に三人の過去は知らず、過去の行いを調べた訳でもない。
それでも・・・・・・三人が自分達に絡んで来た時の表情、今回の様な手の込んだ殺して捕らえる為の装備。
それらを見て直感的に感じた。こいつらはこういう事をするのは今回が初めてではないと。

勿論それはゼルートの思い違いかもしれない、しかしそうは思わずにいられなかった。

(何か、大きな目標の為にではなく。そうしなければ生きていく銭が稼げないわけでなく。そんな理由がある訳でも無いのに・・・・・・戦争中でもないのに、人の人生を正当な理由なく自身の欲の為に奪う奴が初犯だとは到底思えない)

初犯であっても潰すのは変わらないけどな、と小さく呟いたゼルートは最後のメインに移る。

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