異世界を楽しみたい転生者

Gai

第221話少年期[211]共に頑張ろう

セフィーレがレイピアでジェットイーグルの脳天を突き刺したことで、ジェットイーグルはようやく息絶えた。
そして魔力で風を生み出し、ゆっくりと地面に着地する。

(ナイスな一突きだな。レイピアに纏っていた風の魔力は、良い感じに鋭くなっている気がする。ただ、思いっきり助力した手前言葉には出せないけど、瞬時加速だってスキルなんだから、使い続ければいつか魔力量が切れるから、どっちにしろ倒せたことには変わりない気がするんだよな。・・・・・・まぁ、ジェットイーグルを倒せたことに五人とも喜んでいるみたいだし、水を差すのはやめよう)

ゼルートはセフィーレ達に、体力回復と魔力回復のポーションを渡した。

「お疲れ様です。最後の風の魔力を纏った一突き、とても良かった思います。良い感じに鋭さが出ていました」

「ふふ、有難う。そう言って貰えると嬉しいよ。だが、勝てたのはやはりゼルートが作ってくれた、この岩の柱の力が大きかったよ」

セフィーレは岩の柱を、コンコンと叩きながらゼルートに笑顔で言った。
それに続いてソブルやカネルもゼルートが作りだした岩の柱を褒めた。

「いや~~~~、セフィーレ様の言う通りだよ。ゼルートが作ってくれた岩の柱のおかげで随分と戦いやすくなった。瞬時加速だっけ? あれは本当に厄介だったな」

「確かにそうだな。最高速度自体は、Dランクなのだからそこまで速くはないのだろうと思うが、ああも一瞬で速さが上がられると、ほとんど攻撃が当たらなかったからな。ゼルート殿が作ってくれた岩の柱のおかげで、ジェットイーグルが瞬時加速を使う回数も激減したから随分と戦いやすくなった。・・・・・・ところで、リシアはなんでそんな落ち込んでいるんだ?」

カネルは先程まではジェットイーグルを倒せたことに大きく喜んでいたのに、急にテンションが下がっているリシアを見て不思議に思った。

アレナとルウナも、何かあったのかと心配になりリシアの顔を覗き込んだ。

「どうしたんですか? 体力回復のポーションならゼルートから貰っているのがありますから、良かったら使ってください」

「戦いで腹が減ったのなら、ゼルートが暖かいご飯を用意してくれるぞ」

(おい! 人を便利屋みたいに言うな)

声には出さなかったが心の中で大きく叫んでしまったが、ゼルートもリシアがジェットイーグルを倒し終えた直後と、表情が真逆になっており心配になっていた。

「いえ、その・・・・・・特に体の調子が悪いとか、そう言う訳ではないんです。ただ単純に、戦闘の面で全く役に立てなかった事が悔しくて・・・・・・」

リシアの言葉を聞いたゼルートは、分からなくもないと納得出来た。

(まぁ、確かにリシアさんは、回復専門だから攻撃に中々加われないのは仕方ないとは思うんだけど・・・・・・やっぱり自分が守られてばかりってのは、心情的には嫌なんだろうな。まぁ、戦えるようになってしまったら、なってしまったたで、本当にメイスを持った血濡れ僧侶・・・・・・バーサークヒーラーになってしまうよな。どっかのヒロインみたいに)

そんな落ち込んでいるリシアに、セフィーレが肩に手を置き励ましの言葉を掛けた。

「リシア、お前に回復魔法があるから私達は傷を負ってもまだ戦い続けることが出来る。それはとても重要な事だ。それに、まだ私達には時間があるんだ。これから共に強くなっていけばいい。そうだろう、お前たち」

言い終わると、セフィーレは仲間の顔を見回した。
ソブルは親指を立てながら、カネルはお前ならできるといった顔で、ローガスは仏性面ながらも頷いた。

リシアは、嬉しさが感極まり、目から涙が出た。

「あ、ありがとう、ございます・・・・・・」

「よしよし、そんな泣くな」

セフィーレがリシアの頭の撫でリシアに励ましの言葉を掛けているソブル達を見て、ゼルートの心はほっこりとしていた。

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