異世界を楽しみたい転生者

Gai

第193話少年期[183]二重人格?

ゼルートのアシストもあって、フォレストウルフの迎撃にセフィーレ達は成功した。
二体のフォレストウルフがやられたことにより、他のフォレストウルフ、フットラビット、バンデットゴブリンが一斉に襲い掛かって来た。

それからの戦いは、ゼルート達が援護することなく無事に終わった。
数が多いとはいえ、DからEランクの魔物ではセフィーレ達の相手には不十分だった。
セフィーレは冒険者で言えばBランクほどの実力を持っているので、相手が死角を狙おうとも攻撃を喰らうことなくやり返していた。
ソブル達も冒険者で言えば、Cランク程の実力を持っているので、不意を突かれて攻撃を貰いそうになっても、誰かがフォローすることで、無傷のまま乗り切ることが出来た。

戦いが始まってから十分程が経ち、セフィーレ達は誰も怪我を負うことなく、フォレストウルフ達を倒すことが出来た。

(セフィーレさんが強い事は予想していたけど、他の四人もお互いにフォローしながら良い感じに戦えていたな。ただまぁ、カネルさんにとってはランクが低い魔物とはいっても的が小さい相手は面倒くさかっただろうな。肉がそこそこ旨いフットラピッドが、文字通り粉砕されている。もったいない・・・・・・)

「さて、戦いが終わったみたいだから、とりあえず魔石とフォレストウルフは牙を、フットラビットは原型をとどめている奴はそのまま回収しましょう」

「りょーーかい」

ゼルートはセフィーレ達に飲み物を渡してから、作業に取り掛かった。
この時、ゼルートは気に入らないという理由で、飲み物を渡さないのは良くないなと思い、ローガスにも渡そうとしたが、受け取りを拒否した。
この反応をあらかじめ予想していたゼルートは、特に怒ることなく、アレナ達の元に戻った。
ソブル達も苦笑いしながら、その光景を見ていた。

「それにしても、あのゴブリンに似ている奴・・・・・・なんて名前だった?」

「確かバンデットゴブリン・・・・・・だったよなアレナ」

「ええ、合ってるわよゼルート」

ソブルの疑問に、ゼルートがアレナに確認を求めるように答えた。

「ゴブリンに似ていた割には強かった・・・・・・と言うよりはずる賢かった気がするんだがなんでだ?」

「それは私も疑問に思った。上位種というわけではないのになんというか、戦いずらかった感じがする」

二人の疑問に、自分の知識と予測を合わせてゼルートは説明を始めた。

「バンデットゴブリンはまず、単純に森の中での戦いを得意としています、それはダンジョンの中だろうと変わらない筈です。それにダンジョンの中ですから、冒険者と戦う機会が多く、戦いに生き残った奴は考えにより磨きがかかると思います。武器に関しても、死んだ冒険者の物を使えば戦いの幅も広がります。戦いを学べる機会が多くもあります。それと、前に話したかもしれないですけどダンジョンの中の魔物は冒険者に対して恐怖する、躊躇すると言う事があまりないんでしょう。なので行動一つ一つに躊躇いがないので、それが余計に戦いずらさが増しているのかもしれませんね」

「・・・・・・なるほどな。相乗効果ってやつか? にしても本当にゼルートは学者みたいな考えをするな」

「ソブルの言う通りだな。冒険者でありながらそういった考えが出来るのは、かなり貴重な気がすると私は思うぞ」

ソブルとカネルがゼルートの冒険者らしくない考えを絶賛していた。

「そうね、時々ゼルートの人格が二つあるのではないかと思うわ」

「それどういうことだよ、アレナ。俺ってそんなに変か?」

アレナの言葉にゼルートはそこそこショックを受けた。いつも冷静なアレナにそんな事を思われていたのかと。

「いや、別に変とか、おかしいって言ってるわけじゃないのよ。カネルさんの言う通りゼルートのそういった考えは、冒険者の中ではとても貴重だと思うわよ。でも、オークキングに嬉々とした表情で挑むゼルートと、今の様な考えをしているゼルート。中々に差があるのよ」

アレナ思いに、うんうんと頷いているルウナを見て、ゼルートはそれ以上何も言えなかった。

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