異世界を楽しみたい転生者
第112話少年期[101]やっぱり戦いは楽しまないとな
結果は・・・・・・。
「ブモモモモ・・・・・・」
「俺の勝ち・・・・・・だな」
ゼルートの体全体の力を込めた一撃は、オークジェネラルの大剣を砕き腹を切り裂いた。
そしてオークジェネラルは息絶え崩れ落ちた。
オークジェネラルと戦い終えたゼルートは、百パー満足とは言えないが、そこそこ満足した顔をしていた。
「まぁ、短い時間で終わっちまったけど、なかなか楽しめたぜオークジェネラル」
そして次の行動に移ろうとした時、ゼルートは普通の冒険者からしたら絶対あり得ない考えを思いつき、一人で後悔していた。
「ちょっと待てよ。もしあのままギリギリのところで戦い続けたら、前に戦ったスケイルグリズリーみたいな成長したんじゃないのか。
スケイルグリズリーであの強さだ、成長して直ぐだとしてもあれより強くなったんじゃないのか? だとしたら俺はもの凄い大損をしたんじゃ・・・・・・」
普通の冒険者が今のゼルートの話を聞けば、殆どの人はドン引きするだろう。
それほどまでに今のゼルート、はバトルジャンキー脳になっていた。
「さてと、本当にいつ見ても嫌悪感しか湧かないわねこいつら」
「私も・・・・・・まぁいい気分はしないな」
アレナとルウナは自分達を汚い目で見てくる、女性の敵と言われているオークとゴブリンを前にして愚痴っていた。
「でも、私達ならそう時間は掛からないだろう」
「それもそうね。ぞれじゃ、いくわよ!」
「ああ!!」
アレナは魔法を、ルウナはスキルをオークとゴブリンめがけて放った。
「風よ、姿を変え疾風の矢となりて我が敵を討て・・・・・・ウィンドアロー!!!」
「刻め、敵を葬る魔力の爪よ・・・・・・ブレイククロー!!!」
アレナの魔法とルウナのスキル技に、オーク達は反応できず風の矢で体に風穴を開けられ、魔力の爪により体を切り刻まれた。
二人の技から逃れたオークとゴブリン達は、数を分断し二人に襲い掛かった。
ルウナはそれに応えるようにその場から駆け出した。
「さぁ、私を襲おうとしているんだろう。なら死ぬ気でかかってこい! でなければお前ら如き指一本触れることは出来ないぞ!!」
それからルウナが言った言葉通り、指一本触れることは出来ずにその命を散らしていった。
ルウナの魔力を纏った拳、蹴りが容赦なく相手の腹、脳、腕、足も貫き、引き裂き命を奪った。
複数で真正面から襲い掛かってきたゴブリンは、蹴りで一蹴し、一撃で終了。
剣や槍を持ったオークなども、武器がルウナの体に届くことはなく蹴りで頭を粉々に、正拳突きで腹に大きな穴を。
自信満々に斧を振りかざしてきたオークの斧には魔力が纏わされていたが、ルウナとの錬度の差は大き過ぎるため、ジャブで粉々に。
仲間達がやられている時間を好機と見たオークメイジとゴブリンメイジは、お互いに違う呪文の詠唱を始めた。
そしてルウナが倒したオークが丁度倒れる瞬間を狙い、ファイヤーランスとウォーターショットを放った。
Dランク並みの冒険者であれば、この攻撃でリタイアするほどの怪我を負うかもしれない。
だがルウナは獣人族。人族と比べ身体能力が高い。そしてルウナは獣人族の中の狼人族に当てはまる。
敏捷は獣人族の中でもトップクラス。
そんなルウナに工夫のされていない中級魔法が当たるはずもなくあっさりと躱し、足に風の魔力を集め放つ、旋風脚を使い頭と体がサヨナラした。
旋風脚を喰らい頭が地面に落ちたオークはあまりの一瞬の出来事に、体が痛みに反応せず数歩歩いたところで地面に倒れた。
それからもルウナに容赦なく襲い掛かるオークとゴブリンだが、ルウナは上位種であろうと物ともせず、持ち前の敏捷と反射神経で相手の攻撃を躱し、武器を粉砕しその命を刈り取った。
その繰り返しがしばらく続くと、ルウナの周りには後オーク一体になっていた。
「さて、さっきまでのオークやゴブリン達は全く歯ごたえがなかったが、お前はそんな事はないだろうなオークジェネラル」
ルウナの視線の先にあるオークジェネラルは、先程までの欲望にまみれた目ではなく、明確なほどの怒りを宿していた。
そのオークジェネラルはとても仲間思いではなく、単純に自分が従えていたもの達が全て殺されたことに怒りを抱いていた。
人からしてみればとんだ逆恨みだが、魔物にそんなのは関係ない。今のオークジェネラルにはルウナを蹂躙することしか頭にない。
そしてオークジェネラルにとっては運が良い事に、怒りにより成長しようとしていた。
己の力が増していることに気づいたオークジェネラルは雄たけびを上げ、ルウナに攻撃を仕掛けた。
ここでオークジェネラルは大きな勘違いをしていた。
例え力が増そうとルウナに勝てる確率はゼロ。
そしてルウナはオークジェネラルが成長していることに気がづいているにも関わらず、笑みを浮かべていた。
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