転生した先はダンジョンのラスボスだったけどとりあえず放棄する

ノベルバユーザー278774

百獣の魔物

「お...狼の魔物.....!」
  魔法使いは、目の前の見上げるほど巨大な魔物を見上げた。
  二足歩行で、普通の狼など比べ物にならないほど大きく、爪は凶悪に曲がり、眼差しは恐ろしく鋭い化け物。
  口の隙間からは鋭い牙が見え、毛並みはボサボサになっている。
  そんな魔物と化した青年は、自らの姿に戸惑いを隠せなかった。
  (なんだこれ....やっぱりラスボスだったのか....。)
  自分の姿に驚き、混乱していた時、青年の耳に飛び込んで来たのは格闘家の言葉だった。
  「ケッ、遂に化けの皮を剥がしやがったな!覚悟しな!」
  格闘家は物怖じせずに青年だった魔物の方へと突っ込んだ。青年も反撃を試み、身を低くし渾身のストレートを格闘家へお見まいしようとする。
  格闘家と魔物の拳はそれぞれの拳と衝突し、衝撃は部屋全体に広がった。
  格闘家の体はその反動からかかなり後ろへととんだ。しかし、魔物はその巨体の為か一歩後ろに下がっただけだった。
  「ちっ、さすがにでかいだけじゃねぇか....」
  そんなことを言っている格闘家をよそに魔物は自分と相手の身を案じていた。
  (さすがにこれ以上戦いを長引かせたら不味い....どうにかして三人を追い払わなければ。)
  そう考え、魔物は格闘家へ向かって拳を作り一気に近づいた。とにかく、彼を戦闘不能にしないとならない、死なない程度に、なおかつ一撃で沈める攻撃ができればいい。
  「はっ!かかってきな!」
格闘家は既に構えている、ただ、かわすのではなく受け止めるつもりらしい。とにかく、まず彼を倒すしかない。そのとき―――――
 「なっ...なんだと?」
  拳を作っていた腕は凄まじい勢いで太く変化していき、狼の姿に似合わぬゴリラのような巨腕と化した。
  その一撃は重く、格闘家を向こうの壁まで吹き飛ばし、そのまま格闘家は気を失ってしまった。
  「そんな...........」
二人の威圧に圧倒され、全く動けなかった魔法使いがやっと口を開いた。
  あとは魔法使いだけとなったが、彼女は既に戦意を失ってしまっている。二人が倒されたショックだろうか。
  青年も三人を立ち去らせることができればいいので、無駄な戦いはしたくはなかった。
  なんとか出来ないものかと考えたとき、とりあえず和解する事にした。人の姿に戻り、魔法使いに近づく。
  魔法使いもこちらに気がついたが、こちらを見ただけで怯えてしまっている。まずは落ち着かせなければ。といっても、いい方法が思い付かない。どうしようか、と悩んでいると―――――――――――――――――
  いい方法を思い付いた。

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