動物ブリーダーの僕が異世界でモンスターブリーダーとして活躍してるんだけど。
三十二話 強くなるんだ…
デュポーンと主の戦いが始まると同時に僕は森の中を走った。
「リーエさんを探さなきゃ!」
リーエの匂いを辿って走っているが、匂いは少しだが遠い。着くのはたぶん10分くらいだろう。そんな中森の中では剣が混じり合う甲高い音だけが響くのであった。
「竜王」のスキルを使いながらデュポーンは主と戦っているが、それと引けを取らないくらいの強さを今の主は持っていた。剣を交えるたびに感じる闇の心の叫び。それが聞こえるたびに悲しくなった。
「主よ…起きてくれ…頼む!」
「こ…ろす。」
まだ聞こえていないらしい。虚ろな声だ。
「そのままその状態を続けると主の魔力が切れ死に至るかもしれん!早くやめるのだ!」
主の今の状態は、精霊の力を無理矢理に使っている。つまり、暴走しているのだ。自分の力をコントロールできておらずこのままでは、魔力を全消費して死に至るかもしれないのだ。そうなる前にデュポーンは止めようとしているのだが、闇の王となった主はそれほど甘くはなかった。
「くぅ…闇の王など神話でしか聞いたことがない…それが主だと言うのか」
闇の王とは神話の一つであった。この世界にはたくさんの言い伝えがある。その中の一つ「闇の王と光の王」という神話に出てくる破滅を招く王だ。そんな伝説みたいな話が目の前にいる。まあ、それは自分も同じだというのを思い出し、正気に戻った。
「ふふ。主といるとおかしなことばかりだな」
主の攻撃は止まらない。その攻撃をいなしながらデュポーンも攻撃をするがそれは主にいなされてしまう。二人だけの戦いは神速のごとく進むのであった。
僕には友達ができた。暗くてちょっと怖いけど友達がいれば大丈夫だ!
(サイアン、今何してるの?)
(お前の仲間と戦っている。)
(え?なんで?)
(それは我にも分からん。だが、相手は天空の支配者だな。今の我でも勝てないな。まあ、負けもしないがな。)
(早くやめてよ。デュポーンさんが怪我しちゃうよ!)
(やめたいのは山々なんだが、我も今この体を扱い切れてない。これは、お前のせいでもあるのだがな。)
(僕のせい?)
(お前は自分の力をコントロールすることもできない上に心のコントロールもおぼつかなかった。まあ、そのせいでこの力を引き出す引き金になっているのだがな…)
(止める方法はないの?)
(強くなれ。それだけだ。自分に打ち勝つのだ。)
(強くなる…)
強くなるってどういうことだろう。僕はそう思った。単に攻撃的な力ではないってのは分かる。だけど、その先の強さってなんだろう。僕はそこら辺のことを考えてもいなかった。いや、遠ざけていたんだ。あの時から。
(僕は弱いんだ。昔から。子供のままだ。あの時の自分と何も変わらない。何も言えなかった。止められなかった。だけど、今は一人じゃない。コロ、デュポーンさん、リーエさん、サイアン。そして沢山の人達。その人達が後ろにいてくれるのに怖いんだ。後ろを振り返るのが。)
弱い自分は嫌いだった。昔のことを忘れて笑っている自分が嫌いだった。後ろを振り返ると捨てられてるかもしれないって思ってしまう自分が嫌いだった。
サイアンは僕が葛藤している中こんなことを言ってきた。
(お前の名前を教えてやろうか?)
(僕の名前?)
(お前が忘れた名前…いや、記憶の中に隠している名前だ。)
(知ってるの?僕の名前…)
(ああ。今我はお前の一部だからな。全てのお前の記憶を知っている。)
(だったら分かるでしょ?名前が嫌なの…)
(知っている。その上でだ。いま、お前が強くなることができればお前と仲間たちの目的に一歩近づくかもしれないのだ。お前だけ、周りから守られるのはいやだろ?)
(うん。嫌だ。弱い自分は嫌だ。)
(なら聞けるだろ?)
僕は少し躊躇った。だけど…
(うん。いま強くなるんだ!)
(よく言った!主よこれからはお前の一部として生きよう。まだ、お前の中には一つ力がある。それはまだ使えないだろうが、その時がくるまで我を使ってくれ。
そして、名前だが…)
僕はサイアンの最後の一声を聞いた瞬間暗闇だったはずのそこは光に包まれて僕の意識はそこから消えた。
「リーエさんを探さなきゃ!」
リーエの匂いを辿って走っているが、匂いは少しだが遠い。着くのはたぶん10分くらいだろう。そんな中森の中では剣が混じり合う甲高い音だけが響くのであった。
「竜王」のスキルを使いながらデュポーンは主と戦っているが、それと引けを取らないくらいの強さを今の主は持っていた。剣を交えるたびに感じる闇の心の叫び。それが聞こえるたびに悲しくなった。
「主よ…起きてくれ…頼む!」
「こ…ろす。」
まだ聞こえていないらしい。虚ろな声だ。
「そのままその状態を続けると主の魔力が切れ死に至るかもしれん!早くやめるのだ!」
主の今の状態は、精霊の力を無理矢理に使っている。つまり、暴走しているのだ。自分の力をコントロールできておらずこのままでは、魔力を全消費して死に至るかもしれないのだ。そうなる前にデュポーンは止めようとしているのだが、闇の王となった主はそれほど甘くはなかった。
「くぅ…闇の王など神話でしか聞いたことがない…それが主だと言うのか」
闇の王とは神話の一つであった。この世界にはたくさんの言い伝えがある。その中の一つ「闇の王と光の王」という神話に出てくる破滅を招く王だ。そんな伝説みたいな話が目の前にいる。まあ、それは自分も同じだというのを思い出し、正気に戻った。
「ふふ。主といるとおかしなことばかりだな」
主の攻撃は止まらない。その攻撃をいなしながらデュポーンも攻撃をするがそれは主にいなされてしまう。二人だけの戦いは神速のごとく進むのであった。
僕には友達ができた。暗くてちょっと怖いけど友達がいれば大丈夫だ!
(サイアン、今何してるの?)
(お前の仲間と戦っている。)
(え?なんで?)
(それは我にも分からん。だが、相手は天空の支配者だな。今の我でも勝てないな。まあ、負けもしないがな。)
(早くやめてよ。デュポーンさんが怪我しちゃうよ!)
(やめたいのは山々なんだが、我も今この体を扱い切れてない。これは、お前のせいでもあるのだがな。)
(僕のせい?)
(お前は自分の力をコントロールすることもできない上に心のコントロールもおぼつかなかった。まあ、そのせいでこの力を引き出す引き金になっているのだがな…)
(止める方法はないの?)
(強くなれ。それだけだ。自分に打ち勝つのだ。)
(強くなる…)
強くなるってどういうことだろう。僕はそう思った。単に攻撃的な力ではないってのは分かる。だけど、その先の強さってなんだろう。僕はそこら辺のことを考えてもいなかった。いや、遠ざけていたんだ。あの時から。
(僕は弱いんだ。昔から。子供のままだ。あの時の自分と何も変わらない。何も言えなかった。止められなかった。だけど、今は一人じゃない。コロ、デュポーンさん、リーエさん、サイアン。そして沢山の人達。その人達が後ろにいてくれるのに怖いんだ。後ろを振り返るのが。)
弱い自分は嫌いだった。昔のことを忘れて笑っている自分が嫌いだった。後ろを振り返ると捨てられてるかもしれないって思ってしまう自分が嫌いだった。
サイアンは僕が葛藤している中こんなことを言ってきた。
(お前の名前を教えてやろうか?)
(僕の名前?)
(お前が忘れた名前…いや、記憶の中に隠している名前だ。)
(知ってるの?僕の名前…)
(ああ。今我はお前の一部だからな。全てのお前の記憶を知っている。)
(だったら分かるでしょ?名前が嫌なの…)
(知っている。その上でだ。いま、お前が強くなることができればお前と仲間たちの目的に一歩近づくかもしれないのだ。お前だけ、周りから守られるのはいやだろ?)
(うん。嫌だ。弱い自分は嫌だ。)
(なら聞けるだろ?)
僕は少し躊躇った。だけど…
(うん。いま強くなるんだ!)
(よく言った!主よこれからはお前の一部として生きよう。まだ、お前の中には一つ力がある。それはまだ使えないだろうが、その時がくるまで我を使ってくれ。
そして、名前だが…)
僕はサイアンの最後の一声を聞いた瞬間暗闇だったはずのそこは光に包まれて僕の意識はそこから消えた。
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