動物ブリーダーの僕が異世界でモンスターブリーダーとして活躍してるんだけど。

マナマナ

十七話 伝説級の装備を作っちゃったみたいです。

カーテンの隙間から眩しい光が射し込んできた。どうやら朝のようだ。

「ん、ふぁ〜。よく寝た...ってちょっと?なにしてるんですか!?」

僕が驚いたのは他でもない、デュポーンさんとリーエさんが素っ裸なのだ。なんかこんなこと昨日もあったような。

「ん、もう朝か。おはよう主よ。」

「おはようございます。ご主人様。」

目をゴシゴシしながらあいさつされた。だから、早く服を着ようね。

「いや、あの。なんで裸なんですか?」

「私はご奉仕をしようと、体をご主人に捧げる覚悟です。」

て、リーエさん?何いってるのこの人?

「いやいやいやいや、そんなこといいから早く服着て!お願いだから。」

そうしないと僕の色々我慢してたものが崩壊しちゃうからー!

「しょうがありません。ここはひきます。」

なんで悔しそうなのかな?この人。昨日あったはずなのにおかしなことが起こりまくる。てか、デュポーンさんも裸だよね、そういえば。

「デュポーンさんも早く服を着てください!」

「だから言ったろう、主よ。我に服という概念はない。」

そう自信満々に言われたらこっちが恥ずかしいわ。てか言わなくても恥ずかしいわ。

「じゃー、早く想像して服を着た人間姿に戻ってください!」

「ん?わかった。」

どうやら、わかってくれたらしい。こんなうるさい状況の中でもコロはスヤスヤと眠っている。コイツも本当に天然すぎるよな。ほんと。疲れる。ただただ宿に泊まっただけでこの疲れようだよ。この先どうなるんだ本当に。そんなこんなで朝を迎えた僕たちは、外に出る準備をしたあと、昨日お願いしていた装備を取りに行くことにした。

「どうした主よ?そんな疲れた顔をして?腹でも減ったか?」

「お腹は空きましたけど、そんなんじゃないです。」

当の本人は気付いてないらしい。

「あらあら、いけませんね。私がおんぶしてあげましょうか?」

リーエさんは色々と言動のスケールが大きすぎる。

「流石に街中でメイドにおんぶされる男って恥ずかしすぎるから大丈夫だよ。」

「あら、そうですか?残念です。」

本当に残念そうだから冗談ではなかったらしい。リーエさんなりの優しさだったのだろうか。それとも、ただの天然だったのか。どっちかはまだわからないけど、旅をしていく中でわかってくるだろう。

「主〜。今日って何するの〜?」

「ん?今日か?今日は僕の装備を取りに行ったあと、森に行こうと思う。だから今日は野宿になるかもしれない。ごめんな。」

「大丈夫です。私の空間魔法があればテントのようなものでも、その中身を豪邸のように広くできますので、ご安心を。」

ちなみにテントはモンスターファームのなかに一個入れていた。モンスターファームは使役したモンスターだけではなく、入った人が持っているものまで入れる能力があるらしい。それを昨日見つけ、昨日のうちに冒険で必要な道具は積み込んでいたのだ。モンスターファームは優秀だ。取得しておいて良かった。雑談をしながら数分歩き昨日依頼した鍛冶屋まできた。やっぱりボロっちいな。

「お邪魔しまーす。」

ブワッと昨日のように熱い熱気が僕に迫ってきた。どこまで出来上がったのだろうか。ちなみに1日で完成するとは僕は思っていなかった。ただ様子が見たかっただけだ。実際装備がなくてもそこらへんのレベルなら精霊さんの加護の力で一掃できるからだ。

「お邪魔しまーす!お邪魔しまーす!あれ?いま、不在なのかな?」

いや、流石にそれはないな。カンカン音なってるもんね。

「少し待っとこうか。暑いけどね。」

数分間待っていると、なにかを叩きつけている音が止んだ。

「終わったかな?すいませーん!コリンさーん!いま大丈夫ですかー?」

しばらくするとコリンさんが工房の奥から出てきた。ってあれ?

「コリンさん?ですか?」

「そうだが?どうしたそんな不思議そうな顔して?」

僕たちの眼の前に現れたのはこの前会ったコリンさんとは別人のようになった、ゾンビのような目をした女の子だった。

「ちょっとコリンさん。まさか徹夜して装備作ってたんですか!?」

「ああ。今日中に完成させたくてな。こんなにいい素材を使ったのは初めてだったから職人の魂に火がついちまったんだよ。ほら、これが完成した装備だ。私の今まで作った装備の中で最高の出来栄えだと思うぞ。」

コリンさんから渡された装備はデュポーンさんのドラゴンの姿の色、白色を基調とした防具の一覧と、とても美しい短剣を二本渡された。

「ありがとうございます!こんなにすごい出来栄えで作ってもらって。着てみてもいいですか?」

「ああ、着てみてくれ。どんな効果があるのかも気になるしな。」

僕はコリンさんから渡された装備を一つずつ付けていくと同時に自分のステータスが上がるのを実感していた。

「これは...能力上昇系の何かがあるかもしれません。僕の元の能力が底上げされた感じがします。」

ちょうどいいステータスボードを見てみよう。

使役者    レベル99

HP    1000/1000  +3000+50000〜?
MP    700/700  +50000〜?
力      150   +6000〜?
速さ  100   +1000+5000〜?

装備および精霊の加護によりステータス上昇。

特性
絶対の使役者  レベル7
精霊の加護   レベルMAX 
洞穴の迷い子
竜王の加護   レベル3
魔力操作    レベル1
スキル
モンスターファーム
言語理解   レベル3

結構上がったな。精霊さんの力ってある条件が成立しないと発動しないっぽいからな。常時ステータスが上がってるのはありがたい。でも、まだ速さが上がっているのが実感できない。今度全力ダッシュしてみようかな。

「HPと速さが上がってました。後は特に変化なかったです。でも、結構上昇量は高いのでとてもいいと思います。防御力とかは分からないけど。」

「主よ。スキルに鑑定というスキルがある。それを取得してみてはどうだ?」

「鑑定...分かりました。デュポーンさん。えーっと、これかな。」

ポチ。

スキル「鑑定」を取得しました。

「取得できました。これってどういう使い方なんでしょうか?」

「それは色々なものを調べることができるのだ。その武器や装備も色々と調べることができるはずだぞ。」

「ちなみに私もそのスキル持ってるよー。だけど、その武器と装備だけは鑑定できなかったんだよな。鍛治士失格だよ。」

「ちなみにコリンさんの鑑定のレベルっていくつなんですか?」

「私の鑑定は7だ。このレベルになるとBランクまでの武器や装備の能力を見ることができる。」

「つまりこの装備って。」

「ああ。私も見たことがない。国宝級だろう。このランクっていうのはすべてのものについててな、GからSまであるのだ。Bでも、相当上等なものなのだが、国宝級となるとAランク以上になる。多分それもその一部だろう。」

「そんなにいいものだったのか。そんなにいいものなら値段とか結構しますか?」

「ん?作業代か?それはいらねーよ。いい素材で作らしてくれたんだ。それが代金だよ。私の人生で一番の作品だしな。」

「いいんですか!ありがとうございます。でも、それだけじゃ僕の気がすまないんですよね。何か思い残すことはないですか?」

「そうだな。私の作品なのにそいつらの名前が分からなかったのだけが心残りだな。」

「名前ですか。分かりました!僕に任してください。」

「どうするんだい?」

「ふ、鍛治士の女よ。主に任しておくがいい。」

スキルは取得すれば、スキルポイントを使ってレベルも上げられたはずだ。スキルポイントはまだ腐る程ある。レベルMAXまであげちゃえ。

スキル「鑑定」が「魔眼」に変化しました。

鑑定をレベルMAXにしたら魔眼になったんだけど、これどういうこと?

「主、まさかその目。魔眼をとったのか?」

「そうだけど目がなんかおかしい?」

「気づいていないか。だったら大丈夫だ。軽く目の色が片方変わってるだけだ。なにも問題はない。」

「いや、問題大ありだよ!外出て厨二病にでも間違われたらどうすんのさ。最悪だ。どんな色になってますか?」

「赤だな。」

「最悪だー!」

「だが、主よ。その目なら全てのもののランクも能力も見られるうえに魔力の動きも見ることもできる。その目は名前の通り魔の目だからな。魔力操作のレベルが上がっているはずだ。」

ほんとだ。魔力操作が、レベル8まで上がってる。んー。厨二病になるのと引き換えにスキルレベルが上がるのか。ま、この世界にそんな目で見る人がいないかもしれないしな。そのことを願おう。そうだと思いたい。

「なんでも見えるんですよね。だったら見てみましょう。鑑定。」

魔竜装 シルバード     rank  SS

魔龍剣  アイン & レイン   rank SS

あれ?ランクってSまでだよね。ランクSSってなに?チートかな?

「あのー。コリンさん?名前は分かりました。分かったんですけど、ランクSSっておかしいですよね?」

コリンさんは国宝級ではなく伝説級の装備を作ってしまったようです。










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