漆黒王の英雄譚
第47話 事態の収束とこんにちは、さよなら
その後事態は急速に収束をした。
まず俺達が収容所付近の犯罪者を一掃したことで脱獄者の約90パーセントが鎮圧完了。
さらに親父、魔剣王ウォートニアさん、第一騎士団騎士団長アルペリーニさん、さらに第一から第四までの騎士団員のおかげで国民の死者はゼロ。重傷者軽傷者合わせて20人程度という驚きの結果で済んだ。
政府は後日「何者かによる南西区域収容所の襲撃によって重犯罪者ら10数名と犯罪者達が脱獄したが騎士団員らのおかげで制圧を完了した。また、何者かについては現在もおっている最中である。」と表明して王都民の混乱も沈めることに成功。
さらに1番大きな問題のリュシュトベルト帝国の皇帝らに関しては、皇帝自ら「私達は被害にあっておらず、誰一人として怪我をすることも無く切り抜けることが出来た。このような事態になってしまったことは悲しくもあるが、現在はこの国の優秀な騎士団員に称賛を送りたい」と表明したことで大きな国際問題になることは無く済まされた。
その後リュシュトベルト帝国皇帝や皇女ら、帝国騎士らは王城の客間に案内され休まれている。
そんななか、親父などの関係者は会議室に集まって会議をしていた。
「なるほど、やはり謎の男という者がどの犯罪者からも出ていたのか」
「はい。私が対峙した切り裂き魔ジャックもフードを被ったあの男と言っておりました」
今回の議題はそれぞれの戦いにおける2つの疑問点だ。
「それでコキュートスの状態は?」
王太子ハドルフ殿下の言葉に王国騎士団第二騎士団団長シュヴィッツ・クロイツが答える。
「確認してきましたが、第三門までが破壊されていてそれから下層は何もありませんでした。今回の自体がこれほどまでに済んだのもある意味これのおかげであるとも言えます。脱獄した数名死者は出ていますが、特殊犯罪者達は全員制圧が出来、それ以外もほとんどが再逮捕出来たので未だ脱獄した囚人はおりません。ただ・・・・・・」
シュヴィッツが曇った顔を見せる。
「どうした?」
「はい。第三層に保管また、封印されていた食人鬼の王の心臓とそれを突き刺していた破邪の剣が行方不明となりました」
「な!なんだって!」
食人鬼?なんのことか分からずに俺は隣にいる親父に聞く。
「親父、食人鬼って何?」
「お前は知らなかったな。今から100年ほど前に現れた食人鬼という魔物の王の心臓を聖なる剣とされる破邪の剣で封印していたんだ。その心臓は剣で刺されていた状態でも動き続けていて、剣が抜けると直ぐに心臓から再生してしまって本当の姿食人鬼の王になってしまうとされる超危ないもんだ」
「そんなもん王都の近くに置いとくなよ・・・・・・てかさ」
「なんだ」
俺はもう一つ気になっていることを聞いた、
「なんで俺ここに居るの?」
ここは国の重鎮達が集まり国の舵を取るような場所だ。今は事件の会議として使われているがそれでも5歳の俺がいていい場所には思えなかった。
実際にさっきから「何だこのガキは?」というような視線がかんじられる。
「仕方が無いだろ。お前が今回の一番活躍して犯罪者共を鎮圧したんだから100%関係者なんだよ。いいから黙っとけば勝手に終わるよ」
「へいへい」
俺が静かにしてようと心に決めたところで声がかかった。
「さて、アルト君」
(ここで俺かよ!!)
「君が倒した鋼鉄のアムルや再生のシュメール、吸血姫シュナークなどの犯罪者達もその男のことは言っていたんだよね?」
「はい。確かに聞きましたが、戦闘中、さらに戦闘後に謎の男が現れることはありませんでした」
「ふむ。ということはそいつの狙いは食人鬼の王の心臓で間違いないか・・・・・・」
ハドルフさんがどうしたものかと悩み込む。
「王太子殿下、その前に質問をよろしいでしょうか?」
「ん?なんだ?財務卿」
手を挙げたのは国の運営などのお金の管理をする財務卿の男だった。
「先程から気になっておりまして、そちらの子供は一体・・・?」
そう言って俺を指してくる。
やっぱり言われたか・・・
「ああ、彼はアルベルト・クロスフィード君。エルヴィン副団長の子息で今回の騒動をおさめることに成功した立役者さ」
俺はぺこりとお辞儀をする。
「彼がコキュートス付近に溜まっていたA級、S級、特S級の犯罪者を鎮圧してくれたから事態は一気に収束でき、彼の仲間が付近の住人の救出、治療を行ってくれたから被害が最小限に抑えられたんだ。」
「そこです!」
男が反応した。
「聞いたところアルベルト君は5歳と聞きました!5歳の子供が特S級までもの凶悪犯罪者を倒せるとは思えません!」
はい、来ました。予想できたよねぇ〜
すると、アルペリーニさんが立ち上がった。
「彼の実力は私が証明しよう。彼は強い。それも犯罪者共を数人相手に勝ててしまうほどにだ」
「アルペリーニ殿がそこまで言うとは・・・分かりました。信用しましょう。」
よかった。アルペリーニさんが言ってくれたおかげで、その財務卿の男は椅子に座った。
しかしそこに新たなる刺客が・・・!
「私は信用できかねますね。彼はクロスフィード伯爵のご子息だと聞きます。さらに、アシュレイ王女殿下ともご婚約されているとも聞きました。アルペリーニ殿はクロスフィード伯爵と学院以来のご友人だとか。彼に肩入れしていると思ってしまいますよ」
なるほど、確かにな。その可能性は捨てきれないわけだ。
「私の言葉でも信用しきれませんか?」
アルペリーニさんが聞き直す。
「そうですね。我々はまだいいかもしれませんが、王太子殿下の弟様がどう思うかは分かりかねます。」
「むぅ・・・・・・」
ここに居るのは現国王陛下に選ばれたものでもあるが、そのほとんどがハドルフさんについている貴族一派でもある。
すると、次はハドルフさんが声を上げる。
「カザルフに言わなくていいとかだめか?」
「・・・ダメに決まってるでしょう。ただでさえ2ヶ月前の王城半壊でかなり抑えるのに苦労したんです。今回は被害は少なくても王都中にある程度のことは広まっています。弟君であるカザルフ殿下の耳に入らないわけがありません。こちらから言わなくてもあちらから問い詰めてくるのは目に見えています。」
へぇ、ハドルフさんの弟ってカザルフって言うんだ。
「やっぱり説明しなきゃダメか。アイツめんどくさいんだよな」
ぼそっと酷いこといってんな笑
すると、急に会議室の扉が開かれる。
「やあやあ、兄上」
「カザルフ!!」
入ってきたのはハドルフさんを二回りも大きくしたような豚さんだった。
「今は会議中だ。勝手に入ってくるな」
「そんなことは分かっているのですよ。それよりも先日の事件を説明してもらわなくては貴族達が落ち着きませんよォ?もちろん、我々もね」
そう言って脂ギトギトの髭を触り出す。
なんかキモいな。
「分かっている。それに関して今会議しているのだ。待っていろ」
「いえいえ、せっかくですから参加させていただきますよ。私にもその権利はありますからね。」
「う、うむ」
そう言って余っている席に座りに行こうとするカザルフは途中で俺に気がついた。
「おい」
「なんでしょう?」
「なんでしょうではない!何故貴様のようなガキがこのような場所にいるのだ!さっさと出ていけ!」
「そう言われましても、ハドルフ王太子殿下の招集に従った迄でありまして・・・」
「私の言うことが聞けないというのか!」
「いえいえ、そんなことはございませんよ?しかし、私がここにいるかどうかを決めるのはハドルフ王太子殿下でございまして、許可、または命令がない限り私は移動が出来ない身でして」
「つまり、私の言うことが聞けないということなのだろう!不敬罪だ!即刻処刑せよ!」
そう言って後ろにいる部下に指示を出すが・・・
「貴様らも私の命令に逆らうのか!私はこの国の次期国王だぞ!」
部下達が動かないのは当たり前だ。王城内での武器の使用は禁止されていて、使用した場合死刑にもなってしまうほどだ。
「ええい!役の立たないやつだ!貸せ!」
そう言って部下の帯剣している剣を奪ってしまった。
「あーあ」
カザルフは俺に向かって剣を振り下ろしてくる。
既に親父達やハドルフさん達には目で制してある。
俺は決めたのだ。どうやらハドルフさん達にとってこの豚は邪魔なようだ。
ーーー邪魔ならば排除しても構わないだろう。
俺はニヤリと口角を上げる。
俺は振り下ろされた剣を人差し指と中指で挟んで止める。
「カザルフ殿下、王城内での武器の使用は王族とて許されるのでしょうか?」
「は、はなせぇぇぇ!」
カザルフは剣を動かそうとするが、俺の指に挟まれた剣は1ミリも動かない。
「ハドルフ王太子殿下、この件どうなされますか?」
「そ、そうだな。たとえ王族であろうと王城内で武器を使うことを許すことは出来ん。しかも、子息とはいえ1貴族の子息に対し剣を振るった。これは見逃せない事実であり、罪である。」
カザルフはハドルフの言葉に顔を青くする。
「このガキがこのようなことをするから行けないのだ!俺は悪くない!」
「いや、我々から見てアルト君は全くの無実だ。カザルフ、お前が勝手に暴走したに過ぎない。これはお前の部下だって見ていることだ。」
カザルフの部下と言っても一派の貴族である。王国貴族としてそれをしては行けないことをよく知っている。
「カザルフを捕らえよ!牢屋にぶち込んでおけ!流石の私もこれ以上は看過できん!」
すると、その場で護衛をしていた第三騎士団騎士団長カルミディア・ハーディアがカザルフの後ろに周り気絶させた。そして騎士団員によって連行された。
「・・・・・・・・・」
会議の場が静かになる。
「アルト、大丈夫だったか?」
エルヴィンが心配そうに尋ねる。
「ん?あのぐらいの攻撃全く問題ないよ。」
「いや、そうではなくて・・・・・・いや、なんでもない。」
そう言うと再び黙ってしまった。
すると、ハドルフさんが話し始めた。
「弟が済まないことをした」
そう言って俺に謝ってくる。
「いえ、大丈夫です。」
「そうか。さて、それでは会議を続けよう。」
それから30分ほど誰の邪魔も無く会議は続いた。
まず俺達が収容所付近の犯罪者を一掃したことで脱獄者の約90パーセントが鎮圧完了。
さらに親父、魔剣王ウォートニアさん、第一騎士団騎士団長アルペリーニさん、さらに第一から第四までの騎士団員のおかげで国民の死者はゼロ。重傷者軽傷者合わせて20人程度という驚きの結果で済んだ。
政府は後日「何者かによる南西区域収容所の襲撃によって重犯罪者ら10数名と犯罪者達が脱獄したが騎士団員らのおかげで制圧を完了した。また、何者かについては現在もおっている最中である。」と表明して王都民の混乱も沈めることに成功。
さらに1番大きな問題のリュシュトベルト帝国の皇帝らに関しては、皇帝自ら「私達は被害にあっておらず、誰一人として怪我をすることも無く切り抜けることが出来た。このような事態になってしまったことは悲しくもあるが、現在はこの国の優秀な騎士団員に称賛を送りたい」と表明したことで大きな国際問題になることは無く済まされた。
その後リュシュトベルト帝国皇帝や皇女ら、帝国騎士らは王城の客間に案内され休まれている。
そんななか、親父などの関係者は会議室に集まって会議をしていた。
「なるほど、やはり謎の男という者がどの犯罪者からも出ていたのか」
「はい。私が対峙した切り裂き魔ジャックもフードを被ったあの男と言っておりました」
今回の議題はそれぞれの戦いにおける2つの疑問点だ。
「それでコキュートスの状態は?」
王太子ハドルフ殿下の言葉に王国騎士団第二騎士団団長シュヴィッツ・クロイツが答える。
「確認してきましたが、第三門までが破壊されていてそれから下層は何もありませんでした。今回の自体がこれほどまでに済んだのもある意味これのおかげであるとも言えます。脱獄した数名死者は出ていますが、特殊犯罪者達は全員制圧が出来、それ以外もほとんどが再逮捕出来たので未だ脱獄した囚人はおりません。ただ・・・・・・」
シュヴィッツが曇った顔を見せる。
「どうした?」
「はい。第三層に保管また、封印されていた食人鬼の王の心臓とそれを突き刺していた破邪の剣が行方不明となりました」
「な!なんだって!」
食人鬼?なんのことか分からずに俺は隣にいる親父に聞く。
「親父、食人鬼って何?」
「お前は知らなかったな。今から100年ほど前に現れた食人鬼という魔物の王の心臓を聖なる剣とされる破邪の剣で封印していたんだ。その心臓は剣で刺されていた状態でも動き続けていて、剣が抜けると直ぐに心臓から再生してしまって本当の姿食人鬼の王になってしまうとされる超危ないもんだ」
「そんなもん王都の近くに置いとくなよ・・・・・・てかさ」
「なんだ」
俺はもう一つ気になっていることを聞いた、
「なんで俺ここに居るの?」
ここは国の重鎮達が集まり国の舵を取るような場所だ。今は事件の会議として使われているがそれでも5歳の俺がいていい場所には思えなかった。
実際にさっきから「何だこのガキは?」というような視線がかんじられる。
「仕方が無いだろ。お前が今回の一番活躍して犯罪者共を鎮圧したんだから100%関係者なんだよ。いいから黙っとけば勝手に終わるよ」
「へいへい」
俺が静かにしてようと心に決めたところで声がかかった。
「さて、アルト君」
(ここで俺かよ!!)
「君が倒した鋼鉄のアムルや再生のシュメール、吸血姫シュナークなどの犯罪者達もその男のことは言っていたんだよね?」
「はい。確かに聞きましたが、戦闘中、さらに戦闘後に謎の男が現れることはありませんでした」
「ふむ。ということはそいつの狙いは食人鬼の王の心臓で間違いないか・・・・・・」
ハドルフさんがどうしたものかと悩み込む。
「王太子殿下、その前に質問をよろしいでしょうか?」
「ん?なんだ?財務卿」
手を挙げたのは国の運営などのお金の管理をする財務卿の男だった。
「先程から気になっておりまして、そちらの子供は一体・・・?」
そう言って俺を指してくる。
やっぱり言われたか・・・
「ああ、彼はアルベルト・クロスフィード君。エルヴィン副団長の子息で今回の騒動をおさめることに成功した立役者さ」
俺はぺこりとお辞儀をする。
「彼がコキュートス付近に溜まっていたA級、S級、特S級の犯罪者を鎮圧してくれたから事態は一気に収束でき、彼の仲間が付近の住人の救出、治療を行ってくれたから被害が最小限に抑えられたんだ。」
「そこです!」
男が反応した。
「聞いたところアルベルト君は5歳と聞きました!5歳の子供が特S級までもの凶悪犯罪者を倒せるとは思えません!」
はい、来ました。予想できたよねぇ〜
すると、アルペリーニさんが立ち上がった。
「彼の実力は私が証明しよう。彼は強い。それも犯罪者共を数人相手に勝ててしまうほどにだ」
「アルペリーニ殿がそこまで言うとは・・・分かりました。信用しましょう。」
よかった。アルペリーニさんが言ってくれたおかげで、その財務卿の男は椅子に座った。
しかしそこに新たなる刺客が・・・!
「私は信用できかねますね。彼はクロスフィード伯爵のご子息だと聞きます。さらに、アシュレイ王女殿下ともご婚約されているとも聞きました。アルペリーニ殿はクロスフィード伯爵と学院以来のご友人だとか。彼に肩入れしていると思ってしまいますよ」
なるほど、確かにな。その可能性は捨てきれないわけだ。
「私の言葉でも信用しきれませんか?」
アルペリーニさんが聞き直す。
「そうですね。我々はまだいいかもしれませんが、王太子殿下の弟様がどう思うかは分かりかねます。」
「むぅ・・・・・・」
ここに居るのは現国王陛下に選ばれたものでもあるが、そのほとんどがハドルフさんについている貴族一派でもある。
すると、次はハドルフさんが声を上げる。
「カザルフに言わなくていいとかだめか?」
「・・・ダメに決まってるでしょう。ただでさえ2ヶ月前の王城半壊でかなり抑えるのに苦労したんです。今回は被害は少なくても王都中にある程度のことは広まっています。弟君であるカザルフ殿下の耳に入らないわけがありません。こちらから言わなくてもあちらから問い詰めてくるのは目に見えています。」
へぇ、ハドルフさんの弟ってカザルフって言うんだ。
「やっぱり説明しなきゃダメか。アイツめんどくさいんだよな」
ぼそっと酷いこといってんな笑
すると、急に会議室の扉が開かれる。
「やあやあ、兄上」
「カザルフ!!」
入ってきたのはハドルフさんを二回りも大きくしたような豚さんだった。
「今は会議中だ。勝手に入ってくるな」
「そんなことは分かっているのですよ。それよりも先日の事件を説明してもらわなくては貴族達が落ち着きませんよォ?もちろん、我々もね」
そう言って脂ギトギトの髭を触り出す。
なんかキモいな。
「分かっている。それに関して今会議しているのだ。待っていろ」
「いえいえ、せっかくですから参加させていただきますよ。私にもその権利はありますからね。」
「う、うむ」
そう言って余っている席に座りに行こうとするカザルフは途中で俺に気がついた。
「おい」
「なんでしょう?」
「なんでしょうではない!何故貴様のようなガキがこのような場所にいるのだ!さっさと出ていけ!」
「そう言われましても、ハドルフ王太子殿下の招集に従った迄でありまして・・・」
「私の言うことが聞けないというのか!」
「いえいえ、そんなことはございませんよ?しかし、私がここにいるかどうかを決めるのはハドルフ王太子殿下でございまして、許可、または命令がない限り私は移動が出来ない身でして」
「つまり、私の言うことが聞けないということなのだろう!不敬罪だ!即刻処刑せよ!」
そう言って後ろにいる部下に指示を出すが・・・
「貴様らも私の命令に逆らうのか!私はこの国の次期国王だぞ!」
部下達が動かないのは当たり前だ。王城内での武器の使用は禁止されていて、使用した場合死刑にもなってしまうほどだ。
「ええい!役の立たないやつだ!貸せ!」
そう言って部下の帯剣している剣を奪ってしまった。
「あーあ」
カザルフは俺に向かって剣を振り下ろしてくる。
既に親父達やハドルフさん達には目で制してある。
俺は決めたのだ。どうやらハドルフさん達にとってこの豚は邪魔なようだ。
ーーー邪魔ならば排除しても構わないだろう。
俺はニヤリと口角を上げる。
俺は振り下ろされた剣を人差し指と中指で挟んで止める。
「カザルフ殿下、王城内での武器の使用は王族とて許されるのでしょうか?」
「は、はなせぇぇぇ!」
カザルフは剣を動かそうとするが、俺の指に挟まれた剣は1ミリも動かない。
「ハドルフ王太子殿下、この件どうなされますか?」
「そ、そうだな。たとえ王族であろうと王城内で武器を使うことを許すことは出来ん。しかも、子息とはいえ1貴族の子息に対し剣を振るった。これは見逃せない事実であり、罪である。」
カザルフはハドルフの言葉に顔を青くする。
「このガキがこのようなことをするから行けないのだ!俺は悪くない!」
「いや、我々から見てアルト君は全くの無実だ。カザルフ、お前が勝手に暴走したに過ぎない。これはお前の部下だって見ていることだ。」
カザルフの部下と言っても一派の貴族である。王国貴族としてそれをしては行けないことをよく知っている。
「カザルフを捕らえよ!牢屋にぶち込んでおけ!流石の私もこれ以上は看過できん!」
すると、その場で護衛をしていた第三騎士団騎士団長カルミディア・ハーディアがカザルフの後ろに周り気絶させた。そして騎士団員によって連行された。
「・・・・・・・・・」
会議の場が静かになる。
「アルト、大丈夫だったか?」
エルヴィンが心配そうに尋ねる。
「ん?あのぐらいの攻撃全く問題ないよ。」
「いや、そうではなくて・・・・・・いや、なんでもない。」
そう言うと再び黙ってしまった。
すると、ハドルフさんが話し始めた。
「弟が済まないことをした」
そう言って俺に謝ってくる。
「いえ、大丈夫です。」
「そうか。さて、それでは会議を続けよう。」
それから30分ほど誰の邪魔も無く会議は続いた。
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