漆黒王の英雄譚

黒鉄やまと

第45話 鎮圧と切り裂き魔


俺は犯罪者達10人を相手に一人で戦っていた。

と言っても1人をぶっ飛ばし、その隙にもう1人をぶっ飛ばし、またほかのやつをぶっ飛ばし・・・・・・という取っかえ引っ変え相手を変えながら常に1VS1の状態を保ったままだ。

それが出来るのもこの麒麟刀と麒麟刀に宿るオスカーのおかげである。

触れたものを電気によって感電させ一時的に行動不能にするのを繰り返しているのである。

流石の俺でもこのレベルの犯罪者達は1人ではキツかった。

その証拠に少しずつ傷が増えていく。

「オラオラオラァこの程度かぁぁぁ!!」

アムルがその拳で連続攻撃をしてくる。その一発一発が大岩ですら砕くほどの威力を持っている。

俺はそれを避け続ける。
そしてタイミングを合わせ思いっきり殴った。

「ぐっあっはぁぁぁ!!」


アムルはそれによって吹き飛び瓦礫に埋もれる。

「はぁハァハァ」

さすがに疲れてきたな。親父達はまだかよ・・・・・・

ここは王城からかなり離れた場所にあるため部隊を率いているならば時間がかかってしまっても仕方がないがさすがに遅かった。

そこへリヒトがやってきた。

「アルト様!」

「リヒト!」

リヒトはすぐさま俺の近くにやってきた。

「今傷を治します」

リヒトが回復魔法をかけると俺の傷は直ぐに癒えていき体力も回復した。

「助かった」

「遅くなって申し訳ございません」

「大丈夫だ。それよりも一般人は?」

「全員助け終わりました。ほかの4人に護衛させています」

「わかった。来てすぐにて悪いが宿ってもらえるか?」

「かしこまりました」

リヒトはオスカーと同じように麒麟刀に宿る。

「その男も精霊でしたか」

切れ目の男シュメールが言った。

「だからなんだ?」

「まあ、今更光が加わったところで何も変わりませんがね!」

そう言って俺に対して炎の剣で攻撃してくる。
俺はその剣を麒麟刀で受止めずにそのまま勢いで後ろに下がった。

あの炎剣は周囲にも炎を撒き散らすので鍔迫り合いなどが出来ないのだ。

「突き刺せ!麒麟刀!」

俺は麒麟刀を水平にして思いっきり突き出した。すると、光り輝く刃が刀身から伸びシュメールに深深と突き刺さった。
そのまま刀を操作し四肢を切り落とす。

「そこでじっとしてろ!」

「ぐぅっ!」

そしてすぐさま次の相手に移る。
どうせシュメールは放って置けば勝手に再生するだろう。やつは恐らく再生スキルを持っている。

次の相手に移る前に俺はアムルのところへ行き全力で殴った。

「ごはぁっっ!!!」

さすがに全力で殴るとアムルはその場で気絶した。

「やっと3人目か」

これで気絶させたのは3人目。雷切で気絶させたのを含めると6人になる。

もう少しで半分だ。

次の相手に移ろうと思ったところで気がついた。

「っち!」

既にシュメール以外の犯罪者達が起きて俺を囲んでいたのだ。

「オスカー、リヒト、出力最大だ」

『『了解』』

すると、麒麟刀は強烈な光を放ち、さらに辺り一面に雷を放つ。

俺はそのまま刀を八相の構えに持ってくる。

構えを取った俺に対して犯罪者達は警戒の意を示す。

「次で決める・・・・・・ッ!」

そのまま俺は左脚で踏み込み左足を軸としたまま最高攻撃力の技を放った。

「『無名の滅雷光ネームレスグローリー』ィィィィィ!!!・・・!!!」

俺が放った攻撃はまさに雷神が放つ神雷の如き雷と悪を滅する神聖な閃光を放ちながら犯罪者を行動不能にした。


「おわった・・・・・・か・・・」

俺はその場に座り込む。

「疲れたぁぁぁ」

すると、麒麟刀からオスカーとリヒトが出てくる。

「お疲れ様です、アルト様」

「お疲れさん」

「二人とも助かったよ。」

俺は立ち上がろうとするがよろめいてリヒトに支えられる。

「もうお休みください」

「そうするわ。後はよろしく」

俺は瓦礫の壁に寄りかかって一時の睡眠を取った。



エルヴィンsideーーー


俺達は南西区域に向かおうとしたがその途中で厄介な奴に出会った。

「貴様は・・・?!」

「んぁ?誰だ?お前」

「お前はS級犯罪者切裂きジャック・・・!!」

男は痩せているがついている筋肉がしっかりと着いていて鋭い目を持っている。

「何故ここにいる?今すぐコキュートスに戻れ!」

「よく見たら第一騎士団副団長様じゃないか!それにしてもあの牢獄にもどれだァ?嫌だね!誰が好き好んであんな場所に戻るかよ!俺は人間を斬れればそれでいいんだよ!」

と言って狂気的な目を向ける。


「そうか・・・ならばここで制圧させてもらう!」

俺は槍を構えた。

「やれるもんならやってみろぉ?!」

そう言ってジャックはその腕を刃のようにしながら切りかかってくる。

俺はそれを受け止めながら部下に指示をした。


「お前達は先に収容所に行け!指揮はタイズーに任せる!」

『はっ!』

タイズーは第一騎士団三番部隊部隊長の男だ。
一番、二番部隊がアルペリーニのところへ向かっているためエルヴィンの次に指揮権があるのは彼だった。

「それはさせねぇよ!」

すると、瓦礫の奥から武器を持った人間達が出てくる。

「なに?!」

そしてそいつらは騎士団員に襲いかかった。しかし、騎士団員は、しかも第一騎士団は最も実力が高いとされる騎士団だ。
タイズー達はすぐさま体勢を立て直して迎え撃った。


「何が目的だ!」

「はっ!知らねぇよ!俺は1人でも切り裂ければいいんだ!あの男がに借りができたからこうしてやってるが、目的なんてどうでもいいんだよ!」

「あの男?」

「フードを被った男だったな。まあ、どうでもいい!早くお前を切らせろ!!」

それから第一騎士団副団長エルヴィンとS級犯罪者切裂きジャックの戦闘が始まった。


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