漆黒王の英雄譚

黒鉄やまと

第16話 血霧の大森林のおうち

白皇剣と黒皇剣の2人を手に入れてから2ヶ月が過ぎ去った。

結局、白皇剣が人化した女性をブラン、黒皇剣が人化した男性をノワールと名付けた。

2つともフランス語で白と黒という意味だ。え?何故フランス語を知っているかって?それは作者に聞いてくれ。

そして今俺は何をしているかと言うと・・・・・・


「はぁ!!」

純白の剣の剣先が空を斬る。そしてそのすぐ後に漆黒の剣の剣先が空を斬った。

『なかなか良いのではないでしょうか』

「そうかな。なかなか難しいからな。覡神鳴流にも剣の二刀流はないからな。完全なる我流の剣だ。」

『我流にしてはかなりいい筋だと思うぜ。』

「そうか?」

そう、俺達は二刀流の訓練をしていた。
覡神鳴流には剣の二刀流は短剣しかないので片手剣2つの二刀流は自分で作るしかないのだ。

『で?その剣術に名前を付けるならなんて名前にするんだ?』

「名前?そうだな、覡神鳴流双剣術?いや、覡神鳴流の理念は継いでるけどほぼ、俺流の剣術だからな。じゃあ、聖魔双剣術でいっか」

『聖魔って完全に俺達の事じゃねえか』

『それでもよろしいのですか?』

「うん。最終的に使うのは俺だけだろうからな。」

『そうですか。それではステータスを見てみてはどうですか?』

「ステータス?まあいいけど『ステータス』」


名前: アルベルト・クロスフィード
種族: 人族(始祖)

位階: 53
能力: SS
  -筋力 SS
  -体力 SSS
  -知力 SS
  -敏速 SSS
  -器用 SS
  -魔法行使力 SS
  


魔法適性: 炎、水、風、土、光、闇、空間、時間、太陽、月、契約、星座、天体、龍

スキル: 固有スキル【覡神鳴流】
     固有スキル【我流・聖魔双剣術】
     固有スキル【神眼】
     固有スキル【無限収納】
     固有スキル【創破始焉】
     特殊スキル【世界の瞳】
     加護スキル【神龍化】
     究極能力アルティメットアビリティ【完全否定】


耐性(常時): 属性魔法耐性、物理攻撃耐性、精神攻撃耐性、状態異常耐性

称号:クロスフィード伯爵家4男、始祖の人族、第一級特異点、神々の神徒、転生者、聖魔滅神剣の主

加護:十二神の加護、八大上級神の加護


「あれ?新しいスキルが・・・ってこれさっき俺がやったやつ?」

『どうやら、予想通りだなあ。』

「どういうことだ?」

『スキルという物は基本的に既に既存の物が存在します。しかし例えば新たに考え出した剣術や武術、魔法などとは別の新しいスキルとなるのです。つまり、マスターは聖魔双剣術という新たなスキルを創造の力を使わずに作り出したのです』

「へぇ、そんなことがあるのか。まあ、いいや。この2ヶ月でレベルもだいぶ上がったし、この位でいいかな?ブラン、ノワール戻れ」

アルトは白皇剣と黒皇剣を地面に突き刺し人化させる。

「この後はどうするつもりですか?」

「とりあえず一息つこうか。せっかく家も作ったしね」

「そうだな。しっかし、相変わらず1ヶ月で作ったとはいえいい出来だぜ」

3人の前には二階建てのしっかりとしたログハウスが立っていた。
今アルト達がいるのは血霧の大森林の中層部だ。2ヶ月前に2人を手に入れてからまず必要と感じたのは双剣を扱う技術と己の技術の向上だ。
要するにこの2ヶ月で行ったのは聖魔双剣術の訓練だけではない。

どこか訓練するとしたら屋敷にある訓練場か街の外になる。
しかし屋敷の訓練場で訓練を行うのはいいが、あまりブランとノワールを持っているのを見られたくない。
街の外に出るにはまた、検問所を通らなければならないのでめんどくさい。

そこで候補に上がったのがかつてアルトが家出した時死にかけた血霧の大森林である。

その、深部ならば人もそうそう入って来ないし魔物は結界を張ってしまえば入ることは出来ない。

血霧の大森林はアルトの訓練にとって最適とも言える場所だったのである。

しかしそのでもまた問題点が上がってくる。
まずはアルトが前回血霧の大森林で死にかけているという点。これはアルトが無抵抗で武器も何も持たずにフラフラと歩いているからであり、その気になればなんの問題もなかった。

次に街の外に出る方法だが、検問所を通らずに屋敷から直接転移してしまえば問題ない。

次にエルヴィン達である。
流石のエルヴィン達もアルトが血霧の大森林で訓練することを許可するとは思えない。
では、それをどうやって解決したか。

その答えは簡単だ。
屋敷に分身を置いてしまえばいいのだ。
実態のありアルトの力を劣化版とはいえ継いでいればエルヴィン達もわからないはずなのだ。実際に丸一日分身に生活をさせてみたが何も問題がなかったので、この案は採用した。


これで期限という問題も解決できた。

せっかく訓練をするというのであれば長期的に滞在したい。
そこでアルトは森の中の1部を結界で覆いその中にさらに結界を張ってその中にログハウスを建てたのだ。

第1区域はアルト達が暮らすログハウス地域。これは寝床、風呂、庭、キッチン、リビングなど様々なものを用意したログハウスである。さらに訓練場や鍛冶場など工場もついている。

第2区域は食料地域である。これは野生の魔物などを放って置いて食料として放逐しておくのだ。
狩りたい時はこの地域に来て訓練がてら魔物を狩って食べればなんの問題もない。
さらに、この辺は魔素が豊富なので植物なども沢山あるのだ。

第3区域はもうアルトの管轄外である。
完全に知らない区域だ。
しかも、第2区域の結界には隠蔽機能も付いているので万が一外から人が来てもバレることはない。

この2ヶ月でいくつかの出会いはあったが、主にやっていたことは双剣術の訓練と武器作りである。

訓練は先程のように成功した。
この時思ったことがあったのだが、ほかのスキルは使い方がある程度勝手にわかるようになっている。しかし、【覡神鳴流】と【我流・聖真双剣術】は使い方方が分からない。いや、分かるのだが、スキル特有の自動的に分かるというものでなく、経験としてわかるという事だ。そこで新たにスキルを作ってその現象を調べることにした。

それが特殊スキル【世界の瞳】
効果は以下の通りである。

特殊スキル【世界の瞳】
効果: 世界検索・・・自身が調べたい内容を検索することが出来る。
    世界地図・・・アフィリアの世界地図を展開することが出来る。ただし、展開することが出来るのは言ったことのある場所だけ。自身から周囲1kmいないならば自動的に地図の更新ができる。
    月天の瞳・・・世界検索、世界地図、その他スキルを並立使用、応用して月に自らの瞳を移して世界を監視したり、超広範囲に魔法やスキルを発動することが出来る。ただし、消費魔力が多過ぎるのと、思考補助などの能力を持っていないと脳がパンクする。


随分と馬鹿げたものを作ってしまった。
通りで作った時魔力を思いっきり持ってかれて魔力欠乏症になったわけである。

さて、この能力で調べた結果、上級までの武術スキルの場合、自動的にどのように扱えばいいのかは分かるのだが、固有スキルにもなるとほとんどがその人固有のスキルのためその人しか剣筋を知らない。だから、訓練すればするほど固有スキルの効果に近づいていくらしい。
要するに固有スキルはその人だけの技術だから自分で考えろやってことだな。


さて、そしてこの2ヶ月で開放された加護は2種類。1つは星神アストラルの加護。効果は天体魔法と星座魔法を獲得出来る。
2つ目は龍神ドラグニルの加護。効果は神龍化と龍魔法を獲得出来る。
実を言うと既に最上位神のつまり、タクロス様たちの加護は解放されている。
よって残るは上位神の加護だけになりこの2ヶ月で2つが解放された。

未だに試したことがないためどれほどの強さなのかは分からないが、上位神の加護である。強くないわけがない。




次に武器に関してだ。
俺は二ヶ月前に白皇剣ことブランと黒皇剣ことノワールを手に入れたが、2人は神によって作られた武器であり、名目上は聖剣と魔剣だが、滅神剣と言われるだけあり神剣の部類に入る。

考えてみよう。伯爵とはいえ一貴族の息子が、それも四男の養子の子供が神剣を二本も持っているところを。
ありえない。よって没収もしくは本物かを確認したあと殺して奪うなんてこともあるかもしれない。殺されるつもりは無いのだが・・・。まあ、そのような理由によって俺は代わりとなる武器を作ることにした。

作った武器は3種類。

1つ目は短剣。これは短剣とナイフの2つを作った。短剣は護身用兼短剣での戦闘用。ナイフは素材などの剥ぎ取りやその他使用方法は多岐にわたる。

2つ目は片手直剣。片手で振れる直剣を用意した。通常では主にこれを使うつもりである。

3つ目は刀。元々覡神鳴流は刀を主体とした武術だ。そのため刀が最も適していると言うことも出来る。だから、作ることにした。

作る時に使用したのは創造ではなく、自身の手で作る鍛冶にした。

創造だと簡単に出来てしまうが、せっかく前世で刀鍛冶の経験をしたことがあるのでそれを生かしたかったというのと興味があったからという理由で行った。

素材は森の周りにたくさんの素材があるのだが、今回は自分に馴染むように発見した洞窟の中で採掘できたインゴットを俺の魔力に浸透させて俺オリジナルの武器を作ることにした。

よってできたのが、4つの武器である。

千本之短剣サウザンドダガー
格: 特殊級ユニーク
説明: ひとつの短剣から複数の短剣を複製することが出来る。複製した短剣は通常の短剣だが、斬れ味や性能は通常の短剣よりも高い。

解体ナイフ
格: 希少級レア
説明: 解体に適したナイフ。素材に対し一切の傷を付けずに解体を行うことが出来る。

斬魔剣
格: 伝説級レジェンド
説明: 魔力を込めれば込めるほど剣としての性能が上がっていく。

麒麟刀
格: 伝説級レジェンド
説明: 魔力を込めることで雷と炎を纏わせることが出来る。また、込めた魔力の量で強さと刀の強度が変わる。


武器を作った時既に銘がある時その武器は特殊級ユニーク以上の格を持つ。
今回は伝説級が2つと特殊級が1つ、希少級が1つ作ることに成功した。

正直作るには強い武器を作るつもりだったが、伝説級が二本も出るとは思わなかった。これで英雄や勇者が持つような武器を俺は4本も持つことになってしまった。

まあ、使うことには変わりないが・・・。


「そう言えば今日屋敷に帰るんじゃないのか?」

「そう言えばそろそろ王都に向かう頃か」

「それでは屋敷に帰りますか?」

「そうだな。結界石を発動させて荷物を纏めたら戻ろう」

「分かりました。私は結界石を発動させて来ます」

「頼む」

この家を作る時に結界を俺が張っていたが、常に供給できる訳でもないから魔道具として結界を貼ったのだ。その時作ったのが結界石というもので大気中の魔力を吸収し結界を貼り続けるという魔道具だ。

張る結界はアルトによって調整されていてアルトが自分で張る結界よりは弱体化してしまうが、それでもここら一帯の魔物ならば護れる結界を張っている。


アルト達は荷物を片付けブランが戻って来たのを確認すると最終チェックをしてついに屋敷に戻ることにした。

「さて、帰るか」

「おう」「はい」

「転移!」

次の瞬間アルト達の姿は屋敷の中のアルトの部屋にあった。



コメント

  • ノベルバユーザー523679

    男のロマンと言えばやはり刀ですよね

    0
コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品