漆黒王の英雄譚

黒鉄やまと

第4話 転生と1年(1)

創造神「ふむ。それでいいのじゃな?」

悠斗「はい。構いません。」

魔法神「なかなか面白い物を考えるのね」

月輪神「将来が楽しみです」

創造神「それではそろそろ転生させようかの。準備はいいか?」

悠斗「はい。どのような準備をすればいいのかはわかりませんが、心構えなら出来てます」

創造神「うむ。それでは転生させるぞ!《転生》!!」

すると、ぼんやりと光り始め足から少しずつ悠斗の身体が消えていく。

十二神『来世に祝福を!』

その声が聞こえると同時に悠斗の意識は沈んで行った。


~その後神界~

創造神「あ、ミスった・・・・・・」

その他神「え・・・・・・?」




~~~~~~~~~~~~~~~~


この世界に転生してから3年程だった。
と言っても前世の記憶を思い出したのは3ヶ月ほど前だ。3ヶ月前に階段を降りようとした時に躓いて階段から落ちてしまった。恐らくその衝撃で記憶を取り戻したのだろう。その3歳までの記憶を代償に。なんとか誤魔化すことには成功し今は普通に暮らしている。

コンコン・・・・・・

「はーい」

「失礼します。お食事をお持ち致しました。」

「ありがとうリリス」

「いえいえ、私はアベル様専用メイドですから」

この俺専用のメイドとか一部の人が聞いたら危ないことを言っているメイドは俺の世話役のメイドだ。リリスと言って20を過ぎていないくらいでは無いだろうか。
ピンク色の髪で優しそうな顔をしていてちょっと天然が入っている女性だ。

「じゃあいただきます!」

俺の食事はまだ歯が発達しきれていないのでスープや浸したパンなどの柔らかいものが多い。そろそろこうパリッとしたものが食べたくなるが無理をしたら歯が欠けるので我慢している。

食事を終えるとリリスは食器をもって部屋から出ていった。



この世界で意識を取り戻してまず始めたことは情報収集だ。
何をするにもまず情報が必要だ。

既に知っている情報としてこの世界の名前はアフィリア。主に崇めている神はアフィリア十二神の創造神様たち。そしてこの世界には魔法やスキルがあってそれを使って魔物や敵と戦うということぐらいだった。

俺が住んでいるのは屋敷のようなもので広い家だ。
まずは本でも読んでみようと思って屋敷の中を散策するとたくさんの本が置いてある場所を見つけた。よっしゃっ!と思って本を開いてみて気がついたこと1つ目。

ーーー文字読めねぇ……

そう文字が読めなかったのだ。よくよく考えてみればこの世界の文字が日本語なわけがないしましてや習ってもいないのに読めるわけがない。仕方がなく自分の部屋に戻って考えて思い至ったのは

ーーー世界のことよりもまずは自分の事じゃね?

まず初めに世界のことを調べようとか思っていたがよくよく考えたら自分の本名すら知らないのだ。まずは自分について知ることが先決だと思った。

というのことで約1年近く専属メイドのリリスや近くにいるメイドなどから色々なことを聞き出した。最初の方は不審がってたがそのうちどうでも良くなったのなそれはペラペラと出てきた。

まず出てきたのは俺の本名。アルベルト・クロスフィード。クロスフィード伯爵家の4男だ。見た目は黒い髪でイケメンな中性的な顔。瞳は青色だ。

次に父親の名前。エルヴィン・クロスフィード。クロスフィード伯爵家現当主でこのベルマーレ王国の第一騎士団の副団長をしている。異名は『雷帝』。使っている武器は槍だそうだ。金色の髪で青色の瞳。男らしい顔立ちでイケメンと言うよりも渋くてカッコイイ部類に入る人間だろう。

次は母親の名前。アイリス・クロスフィード。エルヴィン(次からは親父)の第三夫人だ。元々冒険者で魔物の大量発生の時の討伐隊で親父と知り合ったそうだ。冒険者時代の二つ名は爆炎の魔女。炎魔法を得意とする殲滅型魔法使いだったそうだ。
もちろん今でもその実力は衰えておらず引退した今でもたまに冒険者ギルドからの依頼を受けて魔物の討伐に行っている。
容姿は赤い髪の毛に栗色の瞳。優しい顔で時々厳しい。

次は1つ上の兄。アルヴィン・クロスフィード(アル)。金色の髪に赤色の目。両親2人の特徴を受け継いでおり綺麗な顔立ちだ。

さて本当ならまだ内容はあるのだが気がついた人もいるだろう。

兄のアルは2人の髪の色を髪と瞳に受け継いでいる。この世界で黒い髪を持った人はたくさんはいないが珍しい部類に入るそうだ。しかし親父に聞いても母さんに聞いても家系に黒髪はいなかったそうだ。
前世の魂に引きずられてそのようになったのか突然変異なのかはは分からないが何かあるのだろうか。
まあ、アルも親父も母さんも大好きだ。特に詮索はしないことにした。

次は母さんが第三夫人ということは第2、第1がいる。
第2夫人はシルク・クロスフィードと言ってクロスフィード家の次男と次女を産んでいる。ローランド辺境伯家元長女だったそうだ。ローランド辺境伯家というのはこの国の北側を守護する辺境伯家であり、クロスフィード領の隣にある領地を治めている貴族だ。親父の父親が当時の当主と仲が良くてその縁で結婚したらしい。

次に第1夫人はエルゼ・クロスフィード。
クロスフィード家の長男と長女を産んでいる。ベルファスト公爵家の元長女で親父が学院にいた頃に知り合ったらしい。
貴族的には政略結婚の部類に入ったそうだが2人は気がよく合い結婚も特に反対せずにしたらしい。

第1夫人のエルゼ母さんも第2夫人のシルク母さんも貴族だが平民であるアイリス母さんと親父が言った時も少し話し合っただけで全然気にしなかったそうだ。現在でも3人とも仲がいいらしい。

そして気になるであろう長男次男と長女次女。
長男はヴァイス・クロスフィード。現在10歳で今年から王都にある学院に入るため王都にいる。ついでに生まれてからあったことがあるそうだが記憶を取り戻す前の記憶がすっぽり抜けているので知らない。

次男はレオナード・クロスフィード。現在6歳でこの屋敷で一緒に暮らしている。
金色の髪で栗色の瞳を持った男の子で元気のいい人だ。
優しくてよく一緒に遊んでいる。

長女はフィーナ・クロスフィード。現在12歳で王都にある学院に行っている。ヴァイスと同じくあったことはあるそうだが知らない。

次女はリンゼ・クロスフィード。現在8歳でレオ(レオナード)とアルと一緒によく遊ぶ中だ。シルク母さんは少し濃い紫色の髪をしているがリンゼは薄い紫色をしている。

クロスフィード家の人間はこれで終わりだ。次は住んでいる場所だが今は親父のエルヴィンが治めているクロスフィード領の領主屋敷に住んでいる。クロスフィード領はベルマーレ王国の北側に位置する地域で聞く限りでは親父は良く治めているそうだ。

ベルマーレ王国はカルムール大陸という大陸にあって大陸の中ではかなりの大国だ。
現国王はアレクドル・ベルマーレ。しかし、国王と言っても既に80を超えていて今は息子で王太子殿下のハドルフ・ベルマーレさんがほぼ政治を仕切っているそうだ。ハドルフ殿下は親父と同い年で学院時代からよく遊んでいた仲のいい友達だそうだ。

そしてベルマーレ王国が所持する王国魔導騎士団所有する騎士団は4種類。

第一騎士団・・・騎士団長はアルペリーニ・ハニアカルト。主に王都外への出撃が多い。国王もしくは現国王代理の王太子の命で他国との小競り合いや魔物による被害などに対し対応をとる。4つの騎士団の中では最も戦場経験や戦闘経験が多い騎士団。

第二騎士団・・・騎士団長はシュヴィッツ・クロイツ。主に王都の守護が役割。検問や王都の警備なども第二の管轄である。

第三騎士団・・・騎士団長はカリュミディア・ハーディア。主に国王その他王族と王城の守護を務める。王城の守衛なども第三の管轄。別名は近衛騎士団。

第四騎士団・・・騎士団長はステラ・ツーベルク。騎士団長唯一の女性騎士団長。別名特殊部隊。独特な魔法やスキルを持った人物や一つのことに特化した騎士が多い。

そしてこの四つの騎士団の中で9人のトップ騎士を王剣番号ロイヤルナンバーといい。王国のたった9人の魔導騎士に与えられる称号だ。これは国王が信用でき、実力があると判断した者にのみ与えられる称号で9人だけ別のローブが国王直々に渡されることになっている。
親父はNo.5の番号が与えられているらしい。しかも、この番号は強い順とかではないらしい。王剣番号ロイヤルナンバーの入れ替えがある時はその番号を持つ人間が亡くなった時や戦うことが出来なくなった時、もしくは国王が信用出来ないとし、実力も他のものに抜かれた時らしい。
しかもメンバーには平民出身の魔導騎士もいるらしい。こんな所に名前が乗るなんてとても凄いのだろうと思ったがよく見ると自分の父親も乗っていたので何も言えなくなってしまった。まあ、自分が乗ることはほぼ確実にないだろう(フラグ)と思い素直に賞賛することにした。








2月28日大幅更新

かなり変えたので読んでみてください。

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