漆黒王の英雄譚
第2話 神界と転生
目を覚ますと椅子に座っていた。
目の前には雲のように広がる雲海と美しい晴天とも言える青い空があった。
「ここは一体……」
「ここは神界と呼ばれる場所じゃ」
独り言に答えられ俺は驚いて後ろを向く。
「あ、あなたは?」
「うむ。わしの名前はタクロス。お主の世界で言う神と呼ばれる存在じゃ」
「神?さっきもここは神界と言いましたね。どういうことなんですか?」
「その事も合わせて話さなくてはならないことがある。まずは場所を変えるとするかの。ついてきてくれ」
そう言ってタクロスという神は歩き始めた。それに伴って悠斗もついて行く。
しばらく歩くと12席ある円卓が見えてきた。
「とりあえず座ってくれ。」
「は、はぁ」
悠斗はいちばん近くにあった席に座った。タクロスも近くにあった席に座り悠斗のことを見てきた。
「まず、疑問が多いと思うが、状況を説明しよう。お主はどこまで覚えておる?」
「えっと、学校帰りに歩いてたら雷みたいなのがみえて、そのあとの記憶がありません。気づいたらあの場所で座ってました。」
「ふむ。では率直に言おう。お主は死んだ…………」
「…………は?」
「死因は脱走した神獣の戯れに巻き込まれて肉体ごとジュボッとな」
「ええぇ……」
「いまいち追いつけてないようじゃの。そもそも神獣は神界に住んでいる獣のことでな。基本的に出ることは出来ないのじゃ。出ることが出来るのはわしらに許可を貰っても知性の整った神獣だけ。それ以外の凶暴だったり、産まれたばかりだったりする神獣は許可は貰えず、神が管理しているんじゃ」
「じゃあ、どうしてあんな所に?」
「言ったじゃろ?脱走じゃ。実はたまに脱走することはあるのじゃが、早急に発見され連れ戻されるのじゃ。しかし、今回は気づくのに遅れてしまってな。急いで捕まえに行ったのじゃが、既に被害があったのじゃ」
「つまり、初めての被害が俺という訳ですか?」
「そうじゃ」
「それじゃあ、俺の人生はここで終わりか。死んだということは天国ですか?地獄ですか?ああ、来世は最後まで生きれることを願います」
「いや、まあ、それでもいいのじゃが、なんせ神の失敗で被害が出たのは初めてだったもんでな。わしら神の間でもお主をどうするか話し合ったんじゃ。そこで、そもそもお主は死ぬはずではなかったし、わしらの失敗で死んでしまったというお詫びなども込めて転生させようと思うのじゃ」
「転生ですか?」
「うむ。と言っても元の地球に転生させることは神の規則で出来ない。じゃから、別の世界に転生して貰おうと思っている。」
「ちなみにどんな世界ですか?」
「剣と魔法の世界じゃよ」
「きったぁぁぁぁ!!!」
悠斗は剣と魔法の世界に転生できると知り喜ぶ。
「そんなに喜ぶことかの」
「そうですね。俺のような人間は結構嬉しいと思いますよ」
ついでに悠斗のような人間とはいわゆるオタクと言われる人間であり、悠斗は自他共々オタクに限りなく近いと認めている。
「じゃあ異世界に転生させてくれるんですね?」
「うむ。」
「あ、何か使命的なものはあるんですか?」
「ふむ。それについても話さなくてはならないの。少し待っておれ、今全員を呼ぶからの」
「全員?」
そう言うとタクロスはどこかに向かって話し始め、終わったかと思ったら急に後ろから話しかけられる。
「へぇ、お前が今回の被害者か?」
「まだ若いのに」
「だから、今回の転生なんだろうよ」
悠斗が後ろをむくと、そこには11人の男女がいた。
「来たか。まあ、座ってくれ。」
タクロスは慌てた様子もなくその人たちに座るように促す。
全員が座るとタクロスは話し始めた。
「さてと、これから十二神総会を始めようかの」
「十二神総会?」
「うむ。ここに居るのは全員神じゃ。わしらが治めている世界。その世界をアフィリアという。アフィリアはこれかお主に転生してもらう世界じゃ」
「アフィリア・・・・・・」
「そしてここにいる十二柱はアフィリアで崇められている神じゃ。」
(これが全員ひとつの世界で崇められてる?)
「まあ良い。それでは改めて自己紹介でもしようかの」
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コメント
ユーノ
誰か1人(1柱)立ってるんじゃない???w
ノベルバユーザー272359
12席ある円卓では、1席足りないです