A Living One

東堂タカノ

2話

 フラワさんの所までは結構時間がかかる。古き者の中には転移が使える者がいると聞くが、それ以外で使うとしたら大きな街に設置されているものしかない。その為の基本は徒歩か馬車、従魔しかない。僕らは徒歩での移動をしていた。
 森を抜け整備された道を歩いているとゾーアが話しかけてきた。


「ただ歩いていてはなんだ、この世界についての話や冒険者などの話をしよう」


 僕はその言葉に頷き耳を傾ける。


「まずこの世界、アザーには3つの大陸がある。似たような形をした2つの大陸、ユドラシア大陸とユドニトア大陸。そしてまだ多くが分かっていないイグノラ大陸だな。ユドラシアには主に人種が、ユドニトアにはその他多くの種が住む。ユドニトアには浮遊した大陸や離島も多く含まれている。そして、ユドラシアには多くの国が存在する。覚えておくべきは、4つ。1つはこのイグタムと同盟に近い状態のパティストス王国。お前が向かう国だな。2つ目はパティストスの南にある、ルデン王国。3つ目はその先にあるアブソル帝国。4つ目はユドニトア大陸に最も近い場所にある、多種族国家ユドニ連合国。ユドニはドラグニルが治めている。基本的にはどの国も戦争状態にはない。最近の情勢だと帝国が大規模にイグノラ大陸に侵攻すると噂がある。その為か多くの冒険者を集めているらしい。関係はほとんどないが気をつけるんだ。簡単にだがここまでで何かあるか?」


 ゾーアは話を一度きり聞いてくる。


「僕の行くパティストス王国の王都はなんて名前なの?」


「王都の名はレギア。幾度か訪れたが良い場所だ」


 なるほどレギアか。


「他には特にないよ」


 僕がそう答えるとゾーアはまた話をし始めた。


「次に種族の話をしよう。種族は大きく分けて2つ。人種と魔族。人種はお前と同じだ。そして私の元の種族だ。魔族は人種以外を総称して指す。エルフ族、ドワーフ族、ヴァンパイア族、獣人族、竜人族、悪魔族、天使族だ。精霊も一応は魔族に含まれている。今存在が分かっているのはこの9つだけだ。そしてどの種族も古き者へとなる。この古き者だが、元は人に置いて長くを生き上位種へとなった者だけに使われていたが、全ての種族に置いて上位種となった者に対する総称となった。それぞれ人種は亜人、エルフはエルダー、ドワーフはワーカー、ヴァンパイアはロード、獣人はビースト、竜人はドラグニル、悪魔と天使はアークとなる。精霊は大精霊と呼ばれる者が各属性に存在する」


 となると、ゾーアは亜人ということになる。それにまだイグノラ大陸が未踏だ。新たな種が出てくるかもしれない。


「そして次はこの世界において大切な神の話だ。ユールよこの世界の神は何て名だ?」


 突然聞かれたがこれは誰もが答えられる。


「アトゥルスカだよ」


 僕がそう言うとゾーアは頷いて言う。


「実はそれは事実ではない。これは古き者とある一部の者にしか伝えられず、そして告げられないことだ。そしてそれを知る権利はユール、お前は持っている」


 衝撃的な事実に僕は言葉を失う。今まで唯一神だと信じてきた神が実はいないという事に驚くを隠せない。
 僕が驚いているのをゾーアは笑みを浮かべて見ていたが話をまたし始める。


「この世界の神は宮神と呼ばれる12体の神で、最高神エオル、戦神アルビル、魔神オグリフ、知神エネメグ、守神スルア、豊穣神スウィリ、商業神セシプ、愛神オピラクス、戯神エネロシパ、冒険神ストラトス、荒神シウル、独神レクナワだ。そして神々は地上の者に寵愛と加護を授ける。加護はこの世界の多くはないがある程度の数の者が授けられる。加護は神の司るものに関連した能力が与えられる。その強さはバラバラだ。そして加護よりも貴重で強力なのが寵愛だ。寵愛もまた神そしてそれを受ける者によってのその内容、つまり能力や強さが異なる。しかし寵愛は神の力そのものを扱うことができる。寵愛はとてつもない物だと思うが元は神の力、下位種では多くを扱いきれない。上位種となることでより多くの寵愛を使うことが出来るがそれにも限界がある。ただ下位種の中だけで見れば便利な能力が多いのもまた事実だ。この世界で寵愛を受けし者はたったの24人。寵愛は神1人が男女1人ずつに授ける。その内の1人がユール、お前だ」


 また僕は言葉を失う。加護が授けられるのは知っていた。それは神殿で司祭に見て貰えば分かることだからだ。しかしその加護もまた12の神々によって別々に与えられていた。そして何より、寵愛という物に驚いた。加護よりも強力と言われても想像が全くできない。まさかそれを受けているとは微塵も思わない。僕はまだ衝撃さに声を震わせながらゾーアに聞く。


「で、でもどうして僕に寵愛があると分かるの?」


 ゾーアは答える。


「それは神に言われたからだ」


「それは神と話したということ?」


「そうだ。お前を拾った時に神と会った。私が会ったのは荒神シウル。厄災を司る神だ。荒神はまたお前に会うと言った。その時に寵愛の内容を聞くんだ。分かったな?」


「とりあえず分かったよ」


 そうは言ったが頭が追いつかない。あとでまた整理しなければいけない。




 僕は言われたことを整理し終えまた、ゾーアの話を聞き始めた。


「次は冒険者について話そう」


 いよいよ冒険者についてだ。最初の話が現実離れしていた為、こっちの話はリラックスして聞くことが出来そうだ。


「では話すぞ。冒険者は皆ギルドと呼ばれる組合に登録する。ギルドは国家とは独立した機関である為基本的に国は口出し等はしてこない。ギルドはギルドマスターが統括しており、本部のギルドマスターの他に支部にもそれぞれギルドマスターが存在する。先程言ったがギルドは独立しているためギルマスの権限が強い。立場的には上位貴族と変わらない権限を持っている。ギルドは大きな街には1つはあり、王都にはギルド本部がある。そこのギルドマスターは人種の古き者オールドだ。フラワとは知り合いだからな、何かあったら頼るといい。そして冒険者は等級に別れている。上から特級、一級、二級、三級、四級、五級の6段階だ。特級は上位種の者に与えられる。下位種で最も高いのが一級という事になる。四級となって初めて一人前と呼ばれるようになるまずは四級を目指す事だ。次に依頼だか、全部4種類に別れている。討伐依頼、採取依頼、護衛依頼、指名依頼だ。
 討伐はその名の通り魔物の討伐を行う。基本的に自分の等級に見合わない魔物の依頼は受けることが出来ない。採取はポーション作りや防具作りの為の素材を集めるもの。護衛は商人や貴族の移動時の依頼。指名は依頼主が冒険者を指名して依頼するものだ。指名依頼は必ず受けなければいけなさそうだが、他の冒険者を斡旋出来るのであれば断る事が出来る。依頼失敗時にはペナルティが存在し、それは依頼によって様々だな」


 結構しっかりとた体制を取っているようだ。サポートを行ってくれるのであれば冒険者になってからの不安が少なくなる。
 僕がそう考えていると、ゾーアが続ける。


「大体はこんな感じだな。最後は魔物の話だな。魔物もまた等級がある。上からS、A、B、C、D、Eの6段階。Sは特級が単独あるいは複数で討伐可能。もしくは国家単位の戦力と同等の魔物となる。ここ数年では目撃はされていない。Aは一級が単独、Bは二級が単独、Cは三級が単独、Dは四級が単独、Eは五級が単独で討伐可能な魔物だ。例えば二級がAを相手にする場合は複数で組まなければいけない。自分の等級よりも高い魔物依頼も複数人で受ければ受諾は出来る。ただ魔物も個体差がある、同じ等級だからと侮ってはいかんからな」


 魔物も等級化されているのはありがたい。しっかりと自分に見合った事が出来そうだ。




 歩いている最中に魔物の話を聞いて思った事があった為ゾーアに聞く。


「そういえばこの辺りも決して安全ではないよね?どうして魔物が一体も現れないの?」


 周りを見ると爪痕や何かが暴れたような跡が見受けられる。僕の発言にゾーアは少し驚いた顔をしてこちらを見る。何かおかしなことを言っただかろうか?


「しっかり周りを見ているようだな。確かにこの辺りも魔物は出る。幾ら整備されているとはいえ辺りは草原、近くには森がある。それなのに魔物を見ないのは私が原因だよ。存在感を上げて魔物を近づかせないようにしている。話の邪魔になるからな」


 原因が隣を歩いていた。存在感を上げるという常人には出来そうにないことを平然としている。やはり古き者だ。すると、ゾーアが少し笑みをこぼして言う。


「では存在感を元に戻そう。そうすれば魔物が現れる」


 そんなことを言って少しすると何処からか足音が聞こえる。その足音の正体が現れる。僕たちの目の前に現れたのは大きな狼だった。



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