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じゃくまる

村の浄化

 ボクたちが廃墟の村で出会ったエルフ、アリエスさん。
 彼女は廃墟の村の地下で生活環境を整える重要な役割を担っているという。
 なんでも彼女は腕のいい精霊術師であり、汚染された地であっても保護した精霊たちと仲良くすることができるのだという。
 アリエスさん曰く、正常な環境でもない限り精霊という種は精神が不安定になりやすいのだという。
 精霊に愛される者、または腕のいい精霊術師が一緒に居る限りは精霊たちの精神も安定するというのだから不思議なものだ。
 ちなみに、現在ボクとフィルさんには精霊たちがまとわりついている。

「ちょっ、落ち着いてよ!?」
「精霊たくさん。汚染された地でもここまで元気な子たちがいるのは珍しい」
「こんな地下なのに、精霊たちが多いなんて不思議ですね。あそこにある森が精霊たちを増やすのに一役買っているような気がします」
「ふむふむ。あの光る樹木はスピリッドウッドですね。いわゆる精霊樹と言われているもので、元素精霊たちがお互いの属性と力の一部をあの樹の中で合成して、子供の精霊を作るんですよ。いわゆる子作りのための巣といった感じです」
「ちょっと待つにゃ! 尻尾引っ張るのは止めるにゃ! や~め~る~にゃ~!!」

 小さな精霊たちに尻尾を引っ張られている音緒は必死にその魔の手から逃れようともがいていた。
 ちなみに、ボクはアリエスさんがいた時点で人化しているため、耳も尻尾も見つからずに隠すことができた。
 君はスケープゴートなのだよ、音緒くん。

「よくご存じですね。あの樹木は精霊術師だけが生み出せる特殊な樹木なんです。『精霊核』と言われる物を地面に植える必要がありますけどね。『精霊核』に力を与え核を分裂させることによって新しい精霊のための精霊核が生み出されます。下級精霊たちはこうやって分裂していくんですよ」

 アリエスさんはボクたちを精霊樹の前まで案内しながらそう説明する。
 この光る樹木は精霊たちのお母さんの役割もこなしているんだね。

「それにしても、貴女方は変わったメンバー構成をしていますね? エルフに珍しい妖種、上位精霊、それと、何でしょう? 見ただけでは貴女の種族が分かりませんね」
「でしょうね~。私はスピカ様の守護天使をしています」
「守護天使様!?」
 
 ルーナの一言を聞いて、アリエスさんが驚いた顔をした。
 そういえば、一応神の遣いなんだっけ。
 そんな神聖なイメージはないけどさ。

「守護天使様がいらっしゃるということは、地上の浄化にも着手なさるということですか?」

 アリエスさんが知っている守護天使とはどんな天使なんだろう?
 少なくとも、浄化を行っていたことはないよね?
 むしろ、ボクがやらされているんですけど……。

「その通り! と言いたいところなのですが、現状それを行うことができません。で・す・が! ここにいらっしゃいます、スピカ様が私の代わりに浄化を行ってくださいます!! すでに付近での浄化に実績がございますので、ご安心ください!!」

 ルーナはそう言いながら、ボクの背中をずずずいっと押し出してくる。
 非常に迷惑なんですけど?

「こんなに小さいのにそんなことができるなんて……。才能にあふれてるのですね」

 アリエスさんはそう言うと、ボクの頭を優しくなでてくる。
 あれ? なんでボクこんなに子供扱いされているんだろう?

「ぐぬぬぬぬ……」
「耐えてるにゃ! 耐えてるにゃ!」
「顔真っ赤」
「うっ、うるさいよ!?」

 控えめに言って慣れていない人から撫でられるのはなかなかに恥ずかしいと思う。
 でも気持ちいいから許すけどね。
 それはそうと音緒め、人前で尻尾を撫で擦ってあげようか!?

「そっ、それはそうと、地上を浄化することは構いませんが、地上を浄化しても生活基盤は全部地下ですよね?」
「そうですね。ですが、地上部分が浄化されれば気持ち的にも楽にはなりますし、いずれは地上部分に畑なども作れるかもしれません」
「たしかに、それは可能かもしれません。浄化のクリスタルを生成した後、聖杯から湧き出る浄化の水で浄化のクリスタルにエネルギーを与え続けて行けばかなりの期間持たせることができるでしょう。幸い聖杯の機能は問題ないようですしね」

 この村には聖杯から湧き出る浄化の水を利用した場所が存在している。
 時々地上の様子を確認する人がいるそうだけど、その人たちに付着した汚染物質を洗い流すのに利用されているらしい。
 でもボクとしては、意外に快適なこの地下の生活空間があるなら、無理に地上に出る必要はないんじゃないかなとも思うんだけどね。
 でも、青空とか見られるなら見たいよね。

「もし浄化していただけるのでしたら、精霊術や錫杖や杖などの製作技法をお教えしますよ? スピカさんは陰陽師系列なようですし、武具の入手には限りがあるのでしょう? 製作技術は学んでも、正しいレシピや発展レシピを覚えないことにはしっかりとした武具は作れません。通常の刀剣や鎧、弓などはどんな街でも扱ってますから、そもそも困ることはありませんしね」
「そう。スピカ、錬金術さっさと覚える。私待ってるよ? 陰陽師は創薬もできてこそ。錬金術のレシピには秘伝のものも多いし、武具類の製作レシピもある。スピカがこの世界にいる間に狩りしながら教える」
「そういえば、最近創薬なんて妖力丸の製作くらいしかしてなかったなぁ」

 アリエスさんもフィルさんもボクに技術を教えたくてたまらない様子だった。
 なんでかはわからないけど、教えてくれるというなら学ぶのもやぶさかではないと思う。
 生産技術もゲームの醍醐味なのに、最近冒険ばっかりだったしね。

「了解です! というわけで、さくっとやっちゃいますか!」

 こうしてボクたちはさっそく地上での浄化を行うことにした。
 地上での浄化は携帯式コテージを設置していた場所と同じやり方をすることになる。
 つまり、反転小結界を用意するということだ。

「というわけで、さくっとやりたいから、みんなそれぞれに指定したポイントに立っててね」
「了解にゃ」
「わかった」
「はい、すぐに」
「いきますよ~!」

 五芒星を描き、その中心で反転結界陣を起動させる。
 村を中心に五か所をそれぞれ浄化し、最後に村の中央で反転結界陣を発動させれば完了だ。
 
「『反転結界陣』」
「次にゃ~」
「いく」
「どんどん行きましょう」
「みんな早いですね、私も急がなければ!」
「まってよ~、ボクを置いて行かないで~!」

 一か所目の浄化を完了するとすぐに別の場所へと移動が始まる。
 ボクは一か所終わるごとにちょっと休憩する必要があったけど、すぐにみんないなくなるので、次の場所で一息つくことにした。
 というか、みんなボクを平気で置いて行くよね!?

 そうこうしていくうちに、浄化は進み、最後に村の中心での浄化を行う時が来た。
 こっちの準備はほぼ完了しており、いつでも反転小結界を発動させることができる。
 ただし、ボクは今SPを回復中なので、少し待たなければいけない。
 妖力丸を服用したからってすぐに動けるほど丈夫じゃないし、さらに言えば妖力丸は死ぬほどまずいのだ。
 と、最後の準備を整えてる時、村の墓地から妙な気配を感じた。

「みんな、気を付けて。墓地から妙な気配を感じるから」
「わかったにゃ。最後の最後だし、きっと何かがやってくるにゃ」
「守る」
「ご主人様を守ることが大事になりそうですね」
「クエスト名は『スピカ様を一定時間護衛せよ』ですね!!」

 みんな大変ノリノリである。
 まぁたしかに、今のボクが攻撃に参加するのはよろしくない。
 攻撃するくらいなら反転小結界の発動を優先させた方がいいからだ。

「みんな、くるよ!」

 妙な気配が強くなり、墓地から何かが噴き出した。
 墓地の地面からは腕のようなものが生え、徐々に数を増していく。
 それらはすべて白骨化している。
 つまり、スケルトンだ。

「スケルトンにゃ。それぞれに武装しているにゃ」
「槍に剣、斧に杖。厄介」
「微力ながらお手伝いします」
「スピカ様をお守りすれば我々の勝ちですよ! 気合い入れていきましょう!!」

 墓地から這い出してきたのはそれぞれの職業を象徴した武器を持つスケルトンだった。

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