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じゃくまる

汚染された村

 部屋の第一段階改造は終了。
 改造前までと比べて広くなった感がある。
 特に、個室が増えたことが大きいだろうか?
 これで寝ている時も安全が確保できるというものだ。
 まぁ、マイアが来たらボクとマイアは同室になるんだけどね。

「いや~、なんだかんだで変わっちゃったね。こうなってくると家具増やしたくなるよね」
「敷布団すらないからにゃ。もう少し探索してみてから買いに行くのもいいにゃ」
「依頼出すことはあるけど、自分で結界の外に出たことはなかったから興味ある。珍しい素材欲しい」
「フィル様と同じく汚染地域の素材には興味があります」
「でも、どうやって汚染地域で長時間活動すればいいんだろう?」
 汚染地域での長時間の活動はHPやMP、SPの自然回復量が減少する傾向にあるらしい。
 最初から一時間程度はそのようなことはなく、少しずつ活動時間を重ねることによって減少していくのだそうだ。
 二十四時間連続活動で自然回復しなくなる上に、汚染関連のバッドステータスが付くという話もある。
 そんな中、現在一番使われている方法が浄化の水を定期的にかける方法だった。

「浄化の水かけ続けてると、絶対風邪ひくよね」
「本末転倒にゃ」
「長時間活動できないのは問題」
 ボク、音緒、フィルさんの三人は頭を悩ませて考え続ける。
 そんな中、ミアが何かを思いついたようで「あの……」と声を掛けてきた。

「どうしたの?」
「あっ、いえ。浄化のクリスタリの破片を利用するのはどうでしょう? 調べてみたのですが、浄化のクリスタル自体には汚染を吸収する効果があります。処理されて排出された浄化の力がクリスタルの有効範囲内を循環して汚染を防ぐようです」
「そうなの!?」
 ミアの説明にちょっとだけびっくり。
 あれ?
 でも、ここで少しでも削ってしまったら機能に問題起きないのかな?

「中心部のクリスタルから少し削る分には問題ないようです。中心部のクリスタルは周囲の浄化のクリスタルから力を貰って循環させているようですので」
 ん~、なんだか空気清浄機みたいな感じだね。

「それならちょっとだけ削って人数分集めようか。余裕ありそうならいざという時の為に少し多めに回収しよう」
「かしこまりました、ご主人様」
 ミアはそう言うと、さっそく浄化のクリスタルを削りに行った。
 
「ん~。スピカ様、どうやら他のプレイヤーが廃村を見つけたようです」
「廃村?」
「はい。汚染されて破棄された村みたいなんですが、ちょっと不思議なことが起きているようです」
「不思議なこと?」
 ボクはルーナの側に行き、そこでルーナの持つ端末の情報を覗いてみた。
 するとそこには、公式掲示板の有志新聞が表示されていた。

「有志新聞によりますと、メルヴェイユの南部森林地帯からしばらく行った先にある汚染地帯に一つの廃村があるそうです。陰陽師を伴ったパーティーがその場所で一泊したのですが、メンバーの一人が真夜中の廃村内でゆらゆらと漂う青白い光が気が付いたそうです。アンデッドか? と思い確認したところ、近づくと光は逃げ廃墟の小聖堂の中に入っていき、そこでで消えてしまったそうです。周囲を確認したところ何もなく、幽霊ではないか? という話が出ているそうです」
 幽霊?
 ゴーストとかじゃなくて?

「ゴーストとかレイスとか、そういうのじゃないの?」
 そもそもファンタジーなんだから幽霊系亡霊系の魔物がいてもおかしくはない。

「いえ、そういうのは襲ってきますし、敵対MOBとして表示されます。つまりエネミーです。ですが今回は逃げるだけで何かすらわからなかったようです」
 う~ん……。
 不思議なこともあるものだね。

「ということはそこに行って調べるしかないのかな?」
「あら? 興味おありですか?」
「うん、ちょっとね。もしかしたら妖種みたいな感じかもしれないから」
「妖種のようなものですか?」
 揺らめく光といえば、妖種の中にも似たようなものはある。
 もしかしたらこの世界のそういう系の妖種なのかもしれない。

「戻りました。それぞれを人数分の小クリスタルの錬成してありますので、身に着けておいてください」
「ありがとう、ミア」
 ボクはミアから小さな浄化のクリスタルを受け取った。
 これでほかの人よりは少しは長く快適に探索できるはずだ。


************


「昨日ぶりとはいっても、やっぱりこのぐちょっとしたような感触は慣れないよ」
 汚染地帯の土はなんというか、踏んだ感触がおかしい。
 藻が生えているのかカビまみれなのかわからないけど、表面は柔らかくて中の方はぐにょっとした感覚がある。

「うへぇ、慣れないなぁ。これが浄化されると普通の土になるって言うんだから不思議」
「カビ除去してるみたいな感じだにゃ」
「カビ?」
 ボクと音緒の話を聞いていたフィルさんが首を傾げた。

「あっ、カビ知らない? 部屋の隅とかで生えてくる黒いやつとか」
「見たことある。拭くと取れるから汚れかと思った」
「あれは生き物なんだよ。根があるから根から除去しないとまた生えてきちゃうけど」
「生き物? あれが? 不思議」
 錬金術ではカビとか扱うことはないのかな?
 もしかしたらあるのかもしれないけど、気が付いていないだけなのかも。

「カビ、興味深い。不思議」
 どうやらカビに興味を持ったようだ。
 いずれは顕微鏡とか作っちゃうかもね。

 ボクたちはくだらない話をしながら汚染地帯を歩いていく。
 ちなみに、ミアはスライムになってボクの胸元に抱きかかえられているし、ルーナはボクの後ろを歩きながら常にきょろきょろしている。
 ちらっと表情を見たけど、なんだか怯えている感じだった。
 天使って汚染に弱いのかな?
 そんなルーナは部屋以外では羽根は出していない。

 しばらくそんな調子で歩いていると、だんだんと一つの村が見えてきた。
 ちなみにここまでの道のりでは魔物と遭遇してはいない。
 汚染地域の魔物は結界周辺や元街道周辺には現れないようだ。

「うわぁ。終末の村という感じだねぇ」
 村の門だった場所は崩れており、木材を跨いで中に入っていく。
 村の中は崩れた木造の建物や穴が開いた木造の建物、辛うじて形を維持しているであろう石造りの小聖堂があった。
 村の中心には枯れた木があり、その付近には釣瓶の切れた井戸があった。

「これは怖い」
「怖いにゃ! 怖いにゃ!」
「不気味……」
「これはすごいですね。人のいなくなった村はこのようになるのですか」
「うひぃ。スピカ様、帰りましょうよ。よくプレイヤーはここで一泊しましたね!?」
 妖種だからといって廃墟が得意とか怖くないとかはない。
 正直めちゃくちゃ怖い。
 音緒なんか尻尾の毛が逆立っているくらいだしね。
 フィルさんは不気味と言いながらも興味深そうに周囲を確認しているし、ミアも興味深そうに廃墟の村を見ている。

「ねぇ、天使?」
 ボクがそう呼びかけると、ルーナはびくっと身体を震わせた。

「な~んで神の遣いが怖がってるのかな?」
「神の遣いだからって廃墟に強いとかそんなわけないでしょう!? スピカ様の意地悪!!」
 うん。
 ダメだ、この天使。

「夜に謎の光が見えたっていう場所があの石造りの小聖堂か。ねぇ、聖堂って浄化とかそういうことできないの?」
 ボクは未だにビクついているルーナに問いかける。

「聖堂には必ず聖杯が置いてあります。聖杯の中からは浄化の水が出てくるのですが、汚染の規模が村を覆うくらいになってしまうと聖杯自体が機能停止してしまうんです。少しずつならそうでもないのですが、一気に来られた場合、浄化の水を生成するのに必要なエネルギーを調達できなくなるんです。もしかしたら、浄化のクリスタルが役に立つかもしれません。一度見に行ってみましょう」
「もし機能を取り戻したら、どうすればいい?」
「はい、村の周囲には必ず溝があります。ここを浄化の水が循環して村を守るようになっています。ですので、浄化の水が生成できれば、あとは村の確認を行って循環しやすくすればいいです」
「なるほど」
 どうやらまずはこの村の浄化を行うことが先のようだ。
 というわけで、さっそく小聖堂の中を探索することになった。
 

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