アルケニアオンライン~昴のVRMMOゲームライフ。冒険生産なんでも楽しみます。
携帯式コテージレベルアップ
リカルドさんたちは一緒に朝食を食べた後、揃って街へと帰っていった。
アニスさんは名残惜しそうにしていたけど、アニスさんも仕事あるんだから残っててもらっても困る。
それにこれから大事な仕事があるのだ。
「ふっふっふっ、翌朝。つまり二日目!!
「もうお昼だけどにゃ」
「しっ、仕方ないじゃないか。まさかフィルさんがお昼近くまで起きないとは思わなかったんだからさ」
「お昼ご飯大盛で」
「まだだからね!?」
フィルさんは良くも悪くもマイペースだった。
起きた時の一言が「朝ごはん食べ損ねた」だったのは驚いた。
「さてさて~。改築改築~。まずはお風呂からだね」
「操作方法は簡単ですよ? 入り口脇にあるコンソールから選択します。以上です」
「はやいね!」
いつになく簡潔なルーナの説明に苦笑しつつも、コンソールを起動する。
コンソールの表面にはパソコンのスイッチのような押ボタンが付いており、それを押すと「フォンッ」という音と共にシステムが起動した。
地味にここだけ世界観が違う気がする。
「疑似タッチパネルで選択するようだにゃ」
目の前には半透明なシアンブルーの板のようなものが浮かび上がっている。
音緒の言う通りだとしたら、この板にあるメニューを選択すればいいのだろう。
「スピカ、これなに?」
ボクの横からフィルさんが興味津々といった表情で覗きこんでくる。
あっ、これ、この世界の人にも見えるのか!
「う~ん。何と言えばいいんだろう? まぁとりあえず触ってみる?」
「うん」
どう言おうか悩んだけど、とりあえず触ってみてもらうことにした。
説明するよりいじる方が簡単だと思ったからね。
『エラー:認証情報に操作者の情報がありません。当機能は使用できません』
「えぇ……」
フィルさんがコンソールをいじった瞬間、音声案内と共にその様なエラーメッセージが表示された。
もちろんフィルさんは渋い顔をしている。
ものすごく不満そうだ。
「いじってみるにゃ」
続いて音緒が操作を開始。
『ようこそ、音緒様。当機能はパーティーに所属している間は自由に使用することができます。権限の追加はパーティーリーダーであるスピカ様のみ行えます。本日はどのようなご用件でしょうか?』
音声案内が終わると、増改築メニューが表示される。
どうやら音緒には使うことができるようだ。
「やったにゃ! プレイヤーしかダメみたいだにゃ」
「へぇ~。この世界の人には使えない仕様なのかな?」
ボクはちらりとルーナの方を見る。
するとルーナは頷きながら説明してくれた。
「はい、その通りです。最初の登録情報がなければ使用することができません。フィル様には申し訳ないですが、諦めていただくしか」
「むぅぅぅ」
珍しくふくれっ面しているフィルさん。
最近ちょっと表情豊かになってきたかな?
もしかして、コノハちゃんといいフィルさんといい、コミュニケーション不足で表情乏しかったのかな?
「世界はいつも厳しい。少しくらい甘くていいと思う」
そう言ったフィルさんの表情は、何かを悟ったような寂しさが感じ取れた。
「今回確定してるのは、簡易キッチン機能とトイレ機能それと小さいお風呂機能だね。部屋はもうしばらく大部屋だけど、我慢してね!」
「はいにゃ」
「わかった」
「かしこまりました」
「やはり周辺環境が一番大事ですね。お外で携帯トイレとかはつらいですし」
昨日と意見は変わらないようで、そのまま機能拡張を行うことにした。
「じゃあ音緒、やっちゃって~!!」
「あいあいにゃ」
音緒はぽちぽちっとコンソールを操作してお部屋の内部を決定していく。
音緒の操作に合わせて、大部屋までの廊下の距離が長くなり、その間に小部屋が追加されていく。
ものの数分で機能拡張が終わり、入り口から少し進んだ先に小部屋が三つ追加され、さらに大部屋一つが小部屋五つに変化した。
「はやっ!」
あっという間に部屋が増えたことにボクは驚くばかりだった。
「あっという間だったにゃ。家具とか置くとき気を付けないといけないかもだにゃ」
「あ~、そっか。潰れちゃうかもしれないのか」
今回は小部屋の追加に伴って大部屋が奥へと下がっていき、奥の壁もそれに合わせてさらに下がっていった。
面積の拡張が同時に行われたようだった。
現在の部屋の構成は、大部屋一つに小部屋五つ、キッチンとトイレとお風呂の部屋が一つずつだ。
「まぁとりあえず、キッチンから見ていこうか」
というわけで、ボクたちはさっそく入り口手前の右側の部屋の扉を開けた。
「小さいにゃ」
「これ、四畳ってやつか」
たまにテレビで見かけるような単身者用のワンルームのキッチンと同じような狭めの流しに、一口コンロ、小さなテーブルや小さな戸棚なら置けそうな残りの面積。
そんな感じの決して快適とは言えない狭いキッチンがそこにはあった。
「まぁ、一応食器がしまえる棚は置けそうだし、今はこれくらいで」
「カセットコンロじゃないだけマシかにゃ」
「これ、魔導石コンロ。これ単体でもそこそこ高い。まず一般家庭には普及していない」
フィルさんが指さしたのはガスコンロのような見た目の一口コンロだ。
どうやらこれだけでも結構なお値段がするらしい。
「コンロって、マーサさんのところにはあったよね?」
「うん。自慢するわけじゃないけど、うち、儲かってる」
フィルさんはさらりとそう言ってのけた。
ポーションにしても魔道具にしても、高いイメージはあるから当然といえば当然か。
「次の部屋に行ってみよ~!!」
気持ちを切り替えて次の部屋。
まぁ今回のは簡易とかそういうのが頭についてるから、みんな狭いか不便なのはもうわかってる。
あとはがっかりするだけだよ。
キッチンの反対側に部屋あったのは、和式トイレだった。
でも意外なことに、スペースは一畳程度あるのだ。
もっと狭いかと思った。
「意外と広いにゃ。もっと狭いかと思ったにゃ」
「たしかに。本当に狭いと半畳もなかったりするよね」
ほとんど限定されているけど、稀にそういった場所があるようだ。
半畳程度って言ったらほとんど脚を壁がくっつくだろうけど……。
「座ってするのではなく、屈むタイプ。昔はこれを作ったらしいけど、お婆ちゃん、腰痛くなってから座るタイプを作った」
マーサさんと和式トイレの組み合わせって、田舎のおばあちゃんの家といった雰囲気を感じるね。
残念ながらボクの実体験ではなく、テレビとかで見ただけなんだけどね。
「うちのおばあちゃんの家もこんな感じにゃ」
「そうなの?」
「そうにゃ。汲み取り式じゃないだけマシだけどにゃ」
「うへぇ……」
汲み取り式って未だに一部であるらしいから、大変そうだよね。
トイレの大切さを改めて理解した。
「屈むのはなんだか恥ずかしいですね」
ルーナは少し照れながらそう言う。
ルーナといえば天使だけど、天使もトイレにいくのだろうか?
「天使ってトイレいくの?」
「天使だからって出ないわけじゃないですよ? 汚い話は止めましょう。スピカ様」
たしかに下世話な話は止めといたほうが良さそうだ。
「スライムにトイレは必要ないので、ここを使うことはありませんね。ですが、掃除くらいはしますよ?」
ミアが自らトイレ掃除をすると宣言した。
やっぱりスライムはトイレいかないのか。
「スライムってすごいね」
「スライムはんぱないにゃ」
「スライムはトイレにいかない。なるほどたしかに」
「種の不思議を感じますね。老廃物とか一切出ないようにリサイクルするのでしょうか」
ミアの発言にみんな色んなことを感じたようだ。
トイレかぁ。
うん、この話は止めよう。
「次は予告通りの狭いお風呂だね」
「二人までなら一緒に入れるそうだにゃ。三人は厳しいにゃ」
「なるほど、なら私とスピカは確定」
「あらあら」
「お風呂ですか、実はスライムもお風呂は好きなんですよ。じんわり温かいのは心地よく感じます」
「誰とも一緒に入るとは言ってないからね!?」
「「えぇ~」」
ボクの発言に、音緒とフィルさんが同時に不満の声を上げる。
何で狭いのに一緒に入らなきゃいけないのさ……。
「スライムもお風呂が好きなんて意外ですね? 茹でスライムになりませんか?」
「たぶん茹でられてるとは思います。熱湯はだめですが、人間が入る程度の温度であればスライムも平気です」
「スライムの不思議を感じますね」
背後ではミアとルーナがそんな話をしていた。
スライムの入浴シーン、ちょっと興味あるかもしれない。
「きっと半分溶けてるにゃ」
「気になる。今日是非見せてほしい」
「構いませんよ? 私としましてもどうなっているのか気になりますし」
「まぁそうでなくとも、お風呂の時の表情って自分ではわからないですしね」
「お風呂でとろけ顔かぁ。マイアの場合は至福といった表情をしてるっけ」
みんなの話を聞きながら、マイアと一緒に入った時の表情を思い出した。
そんなマイアは今は出かけてるはずだけど、INする時にメッセージをくれる手はずになっている。
「やっぱりせまいにゃ」
「古いお風呂感あるよね」
「この狭さも味、でしょうかね?」
「うちのお風呂はもう少しだけ足が伸ばせる」
「一人で入る分にはゆっくり出来そうですね。湯船の中で座る感じがありますけど」
最後に追加された部屋、大部屋との中間に位置している場所には辛うじて二人入れる程度の大きさのお風呂が設置されていた。
これは確かに狭い。
「まぁこれくらいなら一人ずつ入る方がいいね。洗い場も同じくらい狭いし」
湯船が狭いのもそうだけど、浴室自体が狭いというのもある。
一人で入る分にはいいけど、どの道足を伸ばせるほどではないので完全にゆったりすることはできそうにない。
これは次回拡張に期待したいところ。
「総評、まぁまぁかな?」
「そうだにゃ。可もなく不可もなくにゃ」
「思ってたよりマシ。次回期待したい」
「街の他の場所では見ない設備もありますし、結構いい方だとは思いますけどね」
「お次はシステムキッチンに洋式トイレ、バスも足が伸ばせてゆったり広々、半身浴も可能なタイプがいいですね」
「ルーナ、贅沢過ぎだよ」
ボクはルーナにそう言うものの、概ねその意見には賛成だ。
ただ、それがどのレベルで可能になるのかわからないので、期待するだけ損かもしれないしね。
まぁこれで、今後の狩りとかが少しは楽しいものになりそうで、今から色々と楽しみだ。
あっ、小部屋が増えたってことは個室があるわけだよね。
家具どうしよう?
まぁあとで小部屋もみんなで見て回って考えようか。
アニスさんは名残惜しそうにしていたけど、アニスさんも仕事あるんだから残っててもらっても困る。
それにこれから大事な仕事があるのだ。
「ふっふっふっ、翌朝。つまり二日目!!
「もうお昼だけどにゃ」
「しっ、仕方ないじゃないか。まさかフィルさんがお昼近くまで起きないとは思わなかったんだからさ」
「お昼ご飯大盛で」
「まだだからね!?」
フィルさんは良くも悪くもマイペースだった。
起きた時の一言が「朝ごはん食べ損ねた」だったのは驚いた。
「さてさて~。改築改築~。まずはお風呂からだね」
「操作方法は簡単ですよ? 入り口脇にあるコンソールから選択します。以上です」
「はやいね!」
いつになく簡潔なルーナの説明に苦笑しつつも、コンソールを起動する。
コンソールの表面にはパソコンのスイッチのような押ボタンが付いており、それを押すと「フォンッ」という音と共にシステムが起動した。
地味にここだけ世界観が違う気がする。
「疑似タッチパネルで選択するようだにゃ」
目の前には半透明なシアンブルーの板のようなものが浮かび上がっている。
音緒の言う通りだとしたら、この板にあるメニューを選択すればいいのだろう。
「スピカ、これなに?」
ボクの横からフィルさんが興味津々といった表情で覗きこんでくる。
あっ、これ、この世界の人にも見えるのか!
「う~ん。何と言えばいいんだろう? まぁとりあえず触ってみる?」
「うん」
どう言おうか悩んだけど、とりあえず触ってみてもらうことにした。
説明するよりいじる方が簡単だと思ったからね。
『エラー:認証情報に操作者の情報がありません。当機能は使用できません』
「えぇ……」
フィルさんがコンソールをいじった瞬間、音声案内と共にその様なエラーメッセージが表示された。
もちろんフィルさんは渋い顔をしている。
ものすごく不満そうだ。
「いじってみるにゃ」
続いて音緒が操作を開始。
『ようこそ、音緒様。当機能はパーティーに所属している間は自由に使用することができます。権限の追加はパーティーリーダーであるスピカ様のみ行えます。本日はどのようなご用件でしょうか?』
音声案内が終わると、増改築メニューが表示される。
どうやら音緒には使うことができるようだ。
「やったにゃ! プレイヤーしかダメみたいだにゃ」
「へぇ~。この世界の人には使えない仕様なのかな?」
ボクはちらりとルーナの方を見る。
するとルーナは頷きながら説明してくれた。
「はい、その通りです。最初の登録情報がなければ使用することができません。フィル様には申し訳ないですが、諦めていただくしか」
「むぅぅぅ」
珍しくふくれっ面しているフィルさん。
最近ちょっと表情豊かになってきたかな?
もしかして、コノハちゃんといいフィルさんといい、コミュニケーション不足で表情乏しかったのかな?
「世界はいつも厳しい。少しくらい甘くていいと思う」
そう言ったフィルさんの表情は、何かを悟ったような寂しさが感じ取れた。
「今回確定してるのは、簡易キッチン機能とトイレ機能それと小さいお風呂機能だね。部屋はもうしばらく大部屋だけど、我慢してね!」
「はいにゃ」
「わかった」
「かしこまりました」
「やはり周辺環境が一番大事ですね。お外で携帯トイレとかはつらいですし」
昨日と意見は変わらないようで、そのまま機能拡張を行うことにした。
「じゃあ音緒、やっちゃって~!!」
「あいあいにゃ」
音緒はぽちぽちっとコンソールを操作してお部屋の内部を決定していく。
音緒の操作に合わせて、大部屋までの廊下の距離が長くなり、その間に小部屋が追加されていく。
ものの数分で機能拡張が終わり、入り口から少し進んだ先に小部屋が三つ追加され、さらに大部屋一つが小部屋五つに変化した。
「はやっ!」
あっという間に部屋が増えたことにボクは驚くばかりだった。
「あっという間だったにゃ。家具とか置くとき気を付けないといけないかもだにゃ」
「あ~、そっか。潰れちゃうかもしれないのか」
今回は小部屋の追加に伴って大部屋が奥へと下がっていき、奥の壁もそれに合わせてさらに下がっていった。
面積の拡張が同時に行われたようだった。
現在の部屋の構成は、大部屋一つに小部屋五つ、キッチンとトイレとお風呂の部屋が一つずつだ。
「まぁとりあえず、キッチンから見ていこうか」
というわけで、ボクたちはさっそく入り口手前の右側の部屋の扉を開けた。
「小さいにゃ」
「これ、四畳ってやつか」
たまにテレビで見かけるような単身者用のワンルームのキッチンと同じような狭めの流しに、一口コンロ、小さなテーブルや小さな戸棚なら置けそうな残りの面積。
そんな感じの決して快適とは言えない狭いキッチンがそこにはあった。
「まぁ、一応食器がしまえる棚は置けそうだし、今はこれくらいで」
「カセットコンロじゃないだけマシかにゃ」
「これ、魔導石コンロ。これ単体でもそこそこ高い。まず一般家庭には普及していない」
フィルさんが指さしたのはガスコンロのような見た目の一口コンロだ。
どうやらこれだけでも結構なお値段がするらしい。
「コンロって、マーサさんのところにはあったよね?」
「うん。自慢するわけじゃないけど、うち、儲かってる」
フィルさんはさらりとそう言ってのけた。
ポーションにしても魔道具にしても、高いイメージはあるから当然といえば当然か。
「次の部屋に行ってみよ~!!」
気持ちを切り替えて次の部屋。
まぁ今回のは簡易とかそういうのが頭についてるから、みんな狭いか不便なのはもうわかってる。
あとはがっかりするだけだよ。
キッチンの反対側に部屋あったのは、和式トイレだった。
でも意外なことに、スペースは一畳程度あるのだ。
もっと狭いかと思った。
「意外と広いにゃ。もっと狭いかと思ったにゃ」
「たしかに。本当に狭いと半畳もなかったりするよね」
ほとんど限定されているけど、稀にそういった場所があるようだ。
半畳程度って言ったらほとんど脚を壁がくっつくだろうけど……。
「座ってするのではなく、屈むタイプ。昔はこれを作ったらしいけど、お婆ちゃん、腰痛くなってから座るタイプを作った」
マーサさんと和式トイレの組み合わせって、田舎のおばあちゃんの家といった雰囲気を感じるね。
残念ながらボクの実体験ではなく、テレビとかで見ただけなんだけどね。
「うちのおばあちゃんの家もこんな感じにゃ」
「そうなの?」
「そうにゃ。汲み取り式じゃないだけマシだけどにゃ」
「うへぇ……」
汲み取り式って未だに一部であるらしいから、大変そうだよね。
トイレの大切さを改めて理解した。
「屈むのはなんだか恥ずかしいですね」
ルーナは少し照れながらそう言う。
ルーナといえば天使だけど、天使もトイレにいくのだろうか?
「天使ってトイレいくの?」
「天使だからって出ないわけじゃないですよ? 汚い話は止めましょう。スピカ様」
たしかに下世話な話は止めといたほうが良さそうだ。
「スライムにトイレは必要ないので、ここを使うことはありませんね。ですが、掃除くらいはしますよ?」
ミアが自らトイレ掃除をすると宣言した。
やっぱりスライムはトイレいかないのか。
「スライムってすごいね」
「スライムはんぱないにゃ」
「スライムはトイレにいかない。なるほどたしかに」
「種の不思議を感じますね。老廃物とか一切出ないようにリサイクルするのでしょうか」
ミアの発言にみんな色んなことを感じたようだ。
トイレかぁ。
うん、この話は止めよう。
「次は予告通りの狭いお風呂だね」
「二人までなら一緒に入れるそうだにゃ。三人は厳しいにゃ」
「なるほど、なら私とスピカは確定」
「あらあら」
「お風呂ですか、実はスライムもお風呂は好きなんですよ。じんわり温かいのは心地よく感じます」
「誰とも一緒に入るとは言ってないからね!?」
「「えぇ~」」
ボクの発言に、音緒とフィルさんが同時に不満の声を上げる。
何で狭いのに一緒に入らなきゃいけないのさ……。
「スライムもお風呂が好きなんて意外ですね? 茹でスライムになりませんか?」
「たぶん茹でられてるとは思います。熱湯はだめですが、人間が入る程度の温度であればスライムも平気です」
「スライムの不思議を感じますね」
背後ではミアとルーナがそんな話をしていた。
スライムの入浴シーン、ちょっと興味あるかもしれない。
「きっと半分溶けてるにゃ」
「気になる。今日是非見せてほしい」
「構いませんよ? 私としましてもどうなっているのか気になりますし」
「まぁそうでなくとも、お風呂の時の表情って自分ではわからないですしね」
「お風呂でとろけ顔かぁ。マイアの場合は至福といった表情をしてるっけ」
みんなの話を聞きながら、マイアと一緒に入った時の表情を思い出した。
そんなマイアは今は出かけてるはずだけど、INする時にメッセージをくれる手はずになっている。
「やっぱりせまいにゃ」
「古いお風呂感あるよね」
「この狭さも味、でしょうかね?」
「うちのお風呂はもう少しだけ足が伸ばせる」
「一人で入る分にはゆっくり出来そうですね。湯船の中で座る感じがありますけど」
最後に追加された部屋、大部屋との中間に位置している場所には辛うじて二人入れる程度の大きさのお風呂が設置されていた。
これは確かに狭い。
「まぁこれくらいなら一人ずつ入る方がいいね。洗い場も同じくらい狭いし」
湯船が狭いのもそうだけど、浴室自体が狭いというのもある。
一人で入る分にはいいけど、どの道足を伸ばせるほどではないので完全にゆったりすることはできそうにない。
これは次回拡張に期待したいところ。
「総評、まぁまぁかな?」
「そうだにゃ。可もなく不可もなくにゃ」
「思ってたよりマシ。次回期待したい」
「街の他の場所では見ない設備もありますし、結構いい方だとは思いますけどね」
「お次はシステムキッチンに洋式トイレ、バスも足が伸ばせてゆったり広々、半身浴も可能なタイプがいいですね」
「ルーナ、贅沢過ぎだよ」
ボクはルーナにそう言うものの、概ねその意見には賛成だ。
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