アルケニアオンライン~昴のVRMMOゲームライフ。冒険生産なんでも楽しみます。
ズィークさんと宝物庫
二層目のホールの階段を降りていくと、大きなきれいな湖と白い石材で建てられた神殿のある場所に辿りついた。
この場所がズィークさんのいる場所だ。
「にゃ~。これはすごいにゃ~。空? 青くないかにゃ? 太陽もあるように見えるにゃ」
前回来たときは確認する余裕はなかったけど、音緒の言葉を聞いて辺りをゆっくり見まわしてみた。
「確かに、太陽に空、雲まであるよね。鳥も飛んでない?」
一層目は洞窟のような場所で、二層目は遺跡風だった。
そして三層目は、平原と森が存在していたのだ。
前に来たときは大きな湖とそこに存在する白い神殿しか見えていなかったけど、平原は奥行きがあるようにも見える。
歩いて行こうと思ったら、実は壁でした! とかそういうオチはないよね?
「風が気持ちいいのにゃ。う~ん、不思議なところだにゃ。ところで、あの白い神殿が目的の場所かにゃ?」
音緒はそう言うと、神殿の方を指さす。
「うん、配達先はあそこだね。この場所のことも知ってたら聞いてみようかな?」
「それがいいにゃ。階段を降りたら異世界でした。とかワクワクするにゃ。ささ、早く行くにゃ~」
音緒はそう言うと、神殿へと向かって歩いていってしまった。
幸いここには罠はないけど、少々不注意じゃないだろうか?
そんなことをボクが考えていると、お見通しだったかのように音緒は言ったのだ。
「にゃふふ。盗賊だからスキルで罠の所在はわかるのにゃ。巧妙に隠されていて見つけにくいものには第六感とかいうスキルで対応するのにゃ」
自信満々にそう言いながら、ボクの方を向いてドヤ顔をする。
ダンジョンという場所において、盗賊職は本当に便利で役に立つんだなと、ボクは再認識したのだった。
*************
「うわぁ、すごいにゃ。ギリシャ風の遺跡なんかによく見られる作りにゃ。地下室とかありそうだけど、ここにはそんな雰囲気はないにゃ~。祭壇にある青白い水晶が気になるにゃ」
音緒は好奇心旺盛そうな瞳を輝かせて、辺りをきょろきょろと見回している。
ボクも最初に来たときはそうだったからその気持ちはよくわかるよ。
でもどうせなら、宝箱とか見たこともない壁画とか、そういうものも欲しかったよね。
「浪漫は素敵にゃ。でも浪漫ではお腹は膨れないにゃ。浪漫の先に現金やお宝がないと嬉しさ半減にゃ」
あからさまに耳も尻尾もしおれてしまっている音緒。
すごくがっかりしているようだ。
「まぁそうだよね。お宝かぁ。配達もあるし、何かくれないか交渉してみようか」
「いい考えにゃ! どうせないならがっぽり何か別のものを頂くにゃ!!」
というわけで、ボクたちはズィークさんから報酬をたっぷり頂くことに決めた。
「それじゃ、いくよ?」
「あいにゃ」
同時に青白い水晶に触れると、一瞬の暗転後、大理石のような壁に囲まれた広い部屋にボクたちは立っていた。
「にゃにゃ!? いきなり知らないところにいるにゃ!?」
「落ち着いてよ、音緒。ここが目的地だよ」
「にゃ~。あの大きなゴブリンはなにかにゃ? ボスかにゃ?」
混乱している音緒を宥めつつ、ボクはズィークさんの元へ向かう。
「ズィークさん、依頼の『森の雫』持ってきましたよ」
「おぉ、ありがたい。ここにいるだけでも傷は回復していくのだが、治りが遅くてな。森の雫であればわしらにも絶大な効果があるので回復が早いのだ」
ボクから森の雫の瓶を受け取ったズィークさんは、ボクに鍵を渡した後、薬を自身の傷口に振りかけた。
「くは~。効くのぅ。いやはや実にいい回復薬だ。この薬を作ったエルフはさぞ腕のいいエルフなのだろうな」
「あの、ズィークさん。この鍵は?」
森の雫を満喫しているズィークさんに、ボクは手渡された鍵のことを尋ねた。
「あぁ、その鍵はここの宝箱の鍵だ。わしのお宝の一部とこの神殿にあった宝が収められている。そんな数はないし練度によっては使えない物もあるだろう。それでも良ければ持って行くといい」
「ありがとうございます、ズィークさん」
「やったにゃー! おったからにゃ~!!」
うふふ、お宝拝見!
さっそく見に行っちゃいますかねぇ?
ふとズィークさんの方を見ると、優しい笑顔で笑っているのが見えた。
大型のゴブリンでも、優しく笑えるんだね。
その顔はある意味、絵画で見るような閻魔大王を笑顔にしてみたような、そんな感じ似ている笑顔だった。
牙生えてるしね!!
*************
世界で一番わくわくすることはいくつかあるけれど、やっぱり新しい場所へ行くこととお宝を手にすることが一番わくわくするよね。
ボクは目の前にある宝箱を見て、そう思っていた。
宝箱は十箱あり、大きいものから小さいものまでさまざまな大きさのものがあった。
「ねね、どれから開けようか?」
「にゃ~、悩むにゃ~。それにしても色違いの宝箱多くないかにゃ?」
「あっ、そうだね。鍵の色は青銅っぽい色合いなんだけどなぁ……」
「待つにゃ。もしかすると鍵の色と違う色の箱は空かないかもしれないにゃ」
「えぇ!?」
音緒がそう忠告するので、近くにあった金色の箱に鍵を挿してみた。
「ふんぬぬぬぬぬ」
「だめそうだにゃ。まさかここまで来て鍵の色で躓くとは思わなかったにゃ……」
「仕方ない。対応した箱の数はっと……」
全部が開けられないというならとりあえず開けられる分だけ開けたいので、開けられそうな箱のはずを数えてみた。
十箱中三箱が青銅色の鍵と同じ色の宝箱だった。
「三箱だけだね。とりあえず開けてみる?」
「そうだにゃ。それじゃあこれからいこうにゃ」
音緒はボクたちのすぐ近くにあった青銅色の箱に向かっていった。
「いっくにゃ~。かちっと!」
音緒が鍵を挿しこみ、軽くひねる。
すると、カチッという音が聞こえた。
「にゃふふ。それじゃあお宝拝見にゃ」
「おーぷん」
期待を込めてボクはおーぷんというと、音緒はゆっくり箱を開いた。
「にゃ~。レザーチェストにレザーレギンス、レザーショルダーガードにレザーグローブ、レザーブーツに短剣にゃ。装備一式?」
「何の革なんだろう?」
箱から出てきたのは、黒光りする謎のレザー防具一式と、謎の青白い光を放つ短剣だった。
鑑定しなきゃだめっぽい?
「鑑定してみようか」
「そうにゃね~。さっそくやってみるにゃ」
音緒はそう言うと、防具に対して手をかざした。
商品をスキャンするようにその道具などに対して手をかざして、ゆっくり動かすことで対象の鑑定ができるのだ。
「だめにゃ。封印って書いてあるにゃ」
「えっ、ちょっとまってね。ボクも見てみるよ」
音緒は鑑定失敗したので、今度はボクがやってみる。
『名称:???
※封印状態のため、情報を取得できません』
「うわぁ、本当だ。なにこれ気持ち悪い」
「それはひどい言い草にゃ。きっといいお宝に違いないにゃ。誰か封印解ける人いないのかにゃ~」
「う~ん。マタンガの集落に行ったら聞いてみよっか。とりあえず次のお宝だね」
「いっくにゃ~。次こそ良いもの頼むにゃ!!」
音緒は再び宝箱を開けた。
「うにゃ? ミニチュアのコテージ?」
「う? 模型?」
中から出てきたのはミニサイズの木製コテージだった。
「鑑定するにゃ」
「よし、ボクも!」
二人同時に同じものを鑑定する。
そして映し出された情報にはこうあった。
『携帯式コテージ:レベル1(レジェンド)
使用回数:無限
説明:地面に設置し、『マキシマム』と唱えることで居住可能なサイズになる特殊な魔導居住施設。
レベルが上がることにより、居住可能な人数が増え、部屋数や設備が増えるようになる。
レベル2からカスタム機能を使用することができるようになる。
持ち運べるサイズにするには『ミニマム』と唱えることで小さくすることができる。
レベル1の状態:大部屋二部屋
最大居住可能人数:十人』
「うにゃ~。なんだこれ。すごいものが出たにゃ。チート級にゃ?」
「システム上あるものだから、バグではないからチートではないんじゃないかな? にしてもすごいよね」
成長する携帯式コテージなんて、他に誰が持っているんだろう?
もしかしたら、ボクたちが初なんじゃないだろうか。
もしそうなら、ものすっごく嬉しいんだけど!!
「幸先いいにゃ~。さて、最後の箱にゃ」
「期待感出て来たよ!! レッツゴー!!」
音緒は最後の箱をゆっくりと開ける。
すると出てきたのは……。
「刀と鉄扇?」
「そうみたいにゃ。あにゃ~。これも鑑定できないにゃ。封印って書いてあるのにゃ」
「またかぁ……。ねぇ、ものは相談なんだけど、レザー系一式あげるから、この刀と鉄扇はボクにくれないかな?」
封印状態ではあるものの、ボクのメイン装備とサブ装備には必要なものだ。
問題がなければこのまま交換したいんだけど……。
「いいにゃ。職被りしていたら何らかのルール決めが必要だったけど、私たちでは被らないにゃ。なので、このまま分けるにゃ。あっ、携帯式コテージはスピカにゃんが持っていてほしいにゃ」
「いいの?」
「構わないにゃ。こういうのはパーティーリーダーが持っているべきにゃ」
音緒はそう言うと、ボクに携帯式コテージと謎の刀と謎の鉄扇を押し付けてきた。
「ありがと~。う~ん。ズィークさんにお礼言ってから帰ろうか。封印解く方法も探さなきゃいけないし」
「そうだにゃ~。行くにゃ」
ボクたちはそう決めると、宝物庫から出てズィークさんの元へと向かった。
「ズィークさん、いいのありました。ありがとうございます! ところで、他の箱はどうやったら開けられるんですか?」
「開かない箱が多くてやきもきするにゃ。教えてほしいのにゃ」
「やはり全部開かなかったか。おそらくだが、旅の過程で同じような鍵が見つかると思うぞ。その時改めてチャレンジするほうがいいだろう」
ズィークさんのアドバイスは鍵を見つけろということだった。
一体どこに行けばあるんだろう……。
「確実というわけではないが、女神の関係を調べれば手に入るかもしれん。実際わしはここで女神に匿われる条件としてその鍵の番をさせられておったからな。メルヴェイユ様の足跡を辿れ」
ズィークさんは力強くそう言った。
どうやら他の箱を開けるには、女神の足跡を辿らないといけないようだ。
「とりあえず探してはみます。今日はありがとうございました」
「今日は帰るにゃ。またくるにゃ」
「うむ、また来ると良い。話し相手は大歓迎だ」
にっこりと微笑みながら、ズィークさんはそう言った。
ボクたちは神殿内にある転送装置を使い、地上へと帰還した。
この場所がズィークさんのいる場所だ。
「にゃ~。これはすごいにゃ~。空? 青くないかにゃ? 太陽もあるように見えるにゃ」
前回来たときは確認する余裕はなかったけど、音緒の言葉を聞いて辺りをゆっくり見まわしてみた。
「確かに、太陽に空、雲まであるよね。鳥も飛んでない?」
一層目は洞窟のような場所で、二層目は遺跡風だった。
そして三層目は、平原と森が存在していたのだ。
前に来たときは大きな湖とそこに存在する白い神殿しか見えていなかったけど、平原は奥行きがあるようにも見える。
歩いて行こうと思ったら、実は壁でした! とかそういうオチはないよね?
「風が気持ちいいのにゃ。う~ん、不思議なところだにゃ。ところで、あの白い神殿が目的の場所かにゃ?」
音緒はそう言うと、神殿の方を指さす。
「うん、配達先はあそこだね。この場所のことも知ってたら聞いてみようかな?」
「それがいいにゃ。階段を降りたら異世界でした。とかワクワクするにゃ。ささ、早く行くにゃ~」
音緒はそう言うと、神殿へと向かって歩いていってしまった。
幸いここには罠はないけど、少々不注意じゃないだろうか?
そんなことをボクが考えていると、お見通しだったかのように音緒は言ったのだ。
「にゃふふ。盗賊だからスキルで罠の所在はわかるのにゃ。巧妙に隠されていて見つけにくいものには第六感とかいうスキルで対応するのにゃ」
自信満々にそう言いながら、ボクの方を向いてドヤ顔をする。
ダンジョンという場所において、盗賊職は本当に便利で役に立つんだなと、ボクは再認識したのだった。
*************
「うわぁ、すごいにゃ。ギリシャ風の遺跡なんかによく見られる作りにゃ。地下室とかありそうだけど、ここにはそんな雰囲気はないにゃ~。祭壇にある青白い水晶が気になるにゃ」
音緒は好奇心旺盛そうな瞳を輝かせて、辺りをきょろきょろと見回している。
ボクも最初に来たときはそうだったからその気持ちはよくわかるよ。
でもどうせなら、宝箱とか見たこともない壁画とか、そういうものも欲しかったよね。
「浪漫は素敵にゃ。でも浪漫ではお腹は膨れないにゃ。浪漫の先に現金やお宝がないと嬉しさ半減にゃ」
あからさまに耳も尻尾もしおれてしまっている音緒。
すごくがっかりしているようだ。
「まぁそうだよね。お宝かぁ。配達もあるし、何かくれないか交渉してみようか」
「いい考えにゃ! どうせないならがっぽり何か別のものを頂くにゃ!!」
というわけで、ボクたちはズィークさんから報酬をたっぷり頂くことに決めた。
「それじゃ、いくよ?」
「あいにゃ」
同時に青白い水晶に触れると、一瞬の暗転後、大理石のような壁に囲まれた広い部屋にボクたちは立っていた。
「にゃにゃ!? いきなり知らないところにいるにゃ!?」
「落ち着いてよ、音緒。ここが目的地だよ」
「にゃ~。あの大きなゴブリンはなにかにゃ? ボスかにゃ?」
混乱している音緒を宥めつつ、ボクはズィークさんの元へ向かう。
「ズィークさん、依頼の『森の雫』持ってきましたよ」
「おぉ、ありがたい。ここにいるだけでも傷は回復していくのだが、治りが遅くてな。森の雫であればわしらにも絶大な効果があるので回復が早いのだ」
ボクから森の雫の瓶を受け取ったズィークさんは、ボクに鍵を渡した後、薬を自身の傷口に振りかけた。
「くは~。効くのぅ。いやはや実にいい回復薬だ。この薬を作ったエルフはさぞ腕のいいエルフなのだろうな」
「あの、ズィークさん。この鍵は?」
森の雫を満喫しているズィークさんに、ボクは手渡された鍵のことを尋ねた。
「あぁ、その鍵はここの宝箱の鍵だ。わしのお宝の一部とこの神殿にあった宝が収められている。そんな数はないし練度によっては使えない物もあるだろう。それでも良ければ持って行くといい」
「ありがとうございます、ズィークさん」
「やったにゃー! おったからにゃ~!!」
うふふ、お宝拝見!
さっそく見に行っちゃいますかねぇ?
ふとズィークさんの方を見ると、優しい笑顔で笑っているのが見えた。
大型のゴブリンでも、優しく笑えるんだね。
その顔はある意味、絵画で見るような閻魔大王を笑顔にしてみたような、そんな感じ似ている笑顔だった。
牙生えてるしね!!
*************
世界で一番わくわくすることはいくつかあるけれど、やっぱり新しい場所へ行くこととお宝を手にすることが一番わくわくするよね。
ボクは目の前にある宝箱を見て、そう思っていた。
宝箱は十箱あり、大きいものから小さいものまでさまざまな大きさのものがあった。
「ねね、どれから開けようか?」
「にゃ~、悩むにゃ~。それにしても色違いの宝箱多くないかにゃ?」
「あっ、そうだね。鍵の色は青銅っぽい色合いなんだけどなぁ……」
「待つにゃ。もしかすると鍵の色と違う色の箱は空かないかもしれないにゃ」
「えぇ!?」
音緒がそう忠告するので、近くにあった金色の箱に鍵を挿してみた。
「ふんぬぬぬぬぬ」
「だめそうだにゃ。まさかここまで来て鍵の色で躓くとは思わなかったにゃ……」
「仕方ない。対応した箱の数はっと……」
全部が開けられないというならとりあえず開けられる分だけ開けたいので、開けられそうな箱のはずを数えてみた。
十箱中三箱が青銅色の鍵と同じ色の宝箱だった。
「三箱だけだね。とりあえず開けてみる?」
「そうだにゃ。それじゃあこれからいこうにゃ」
音緒はボクたちのすぐ近くにあった青銅色の箱に向かっていった。
「いっくにゃ~。かちっと!」
音緒が鍵を挿しこみ、軽くひねる。
すると、カチッという音が聞こえた。
「にゃふふ。それじゃあお宝拝見にゃ」
「おーぷん」
期待を込めてボクはおーぷんというと、音緒はゆっくり箱を開いた。
「にゃ~。レザーチェストにレザーレギンス、レザーショルダーガードにレザーグローブ、レザーブーツに短剣にゃ。装備一式?」
「何の革なんだろう?」
箱から出てきたのは、黒光りする謎のレザー防具一式と、謎の青白い光を放つ短剣だった。
鑑定しなきゃだめっぽい?
「鑑定してみようか」
「そうにゃね~。さっそくやってみるにゃ」
音緒はそう言うと、防具に対して手をかざした。
商品をスキャンするようにその道具などに対して手をかざして、ゆっくり動かすことで対象の鑑定ができるのだ。
「だめにゃ。封印って書いてあるにゃ」
「えっ、ちょっとまってね。ボクも見てみるよ」
音緒は鑑定失敗したので、今度はボクがやってみる。
『名称:???
※封印状態のため、情報を取得できません』
「うわぁ、本当だ。なにこれ気持ち悪い」
「それはひどい言い草にゃ。きっといいお宝に違いないにゃ。誰か封印解ける人いないのかにゃ~」
「う~ん。マタンガの集落に行ったら聞いてみよっか。とりあえず次のお宝だね」
「いっくにゃ~。次こそ良いもの頼むにゃ!!」
音緒は再び宝箱を開けた。
「うにゃ? ミニチュアのコテージ?」
「う? 模型?」
中から出てきたのはミニサイズの木製コテージだった。
「鑑定するにゃ」
「よし、ボクも!」
二人同時に同じものを鑑定する。
そして映し出された情報にはこうあった。
『携帯式コテージ:レベル1(レジェンド)
使用回数:無限
説明:地面に設置し、『マキシマム』と唱えることで居住可能なサイズになる特殊な魔導居住施設。
レベルが上がることにより、居住可能な人数が増え、部屋数や設備が増えるようになる。
レベル2からカスタム機能を使用することができるようになる。
持ち運べるサイズにするには『ミニマム』と唱えることで小さくすることができる。
レベル1の状態:大部屋二部屋
最大居住可能人数:十人』
「うにゃ~。なんだこれ。すごいものが出たにゃ。チート級にゃ?」
「システム上あるものだから、バグではないからチートではないんじゃないかな? にしてもすごいよね」
成長する携帯式コテージなんて、他に誰が持っているんだろう?
もしかしたら、ボクたちが初なんじゃないだろうか。
もしそうなら、ものすっごく嬉しいんだけど!!
「幸先いいにゃ~。さて、最後の箱にゃ」
「期待感出て来たよ!! レッツゴー!!」
音緒は最後の箱をゆっくりと開ける。
すると出てきたのは……。
「刀と鉄扇?」
「そうみたいにゃ。あにゃ~。これも鑑定できないにゃ。封印って書いてあるのにゃ」
「またかぁ……。ねぇ、ものは相談なんだけど、レザー系一式あげるから、この刀と鉄扇はボクにくれないかな?」
封印状態ではあるものの、ボクのメイン装備とサブ装備には必要なものだ。
問題がなければこのまま交換したいんだけど……。
「いいにゃ。職被りしていたら何らかのルール決めが必要だったけど、私たちでは被らないにゃ。なので、このまま分けるにゃ。あっ、携帯式コテージはスピカにゃんが持っていてほしいにゃ」
「いいの?」
「構わないにゃ。こういうのはパーティーリーダーが持っているべきにゃ」
音緒はそう言うと、ボクに携帯式コテージと謎の刀と謎の鉄扇を押し付けてきた。
「ありがと~。う~ん。ズィークさんにお礼言ってから帰ろうか。封印解く方法も探さなきゃいけないし」
「そうだにゃ~。行くにゃ」
ボクたちはそう決めると、宝物庫から出てズィークさんの元へと向かった。
「ズィークさん、いいのありました。ありがとうございます! ところで、他の箱はどうやったら開けられるんですか?」
「開かない箱が多くてやきもきするにゃ。教えてほしいのにゃ」
「やはり全部開かなかったか。おそらくだが、旅の過程で同じような鍵が見つかると思うぞ。その時改めてチャレンジするほうがいいだろう」
ズィークさんのアドバイスは鍵を見つけろということだった。
一体どこに行けばあるんだろう……。
「確実というわけではないが、女神の関係を調べれば手に入るかもしれん。実際わしはここで女神に匿われる条件としてその鍵の番をさせられておったからな。メルヴェイユ様の足跡を辿れ」
ズィークさんは力強くそう言った。
どうやら他の箱を開けるには、女神の足跡を辿らないといけないようだ。
「とりあえず探してはみます。今日はありがとうございました」
「今日は帰るにゃ。またくるにゃ」
「うむ、また来ると良い。話し相手は大歓迎だ」
にっこりと微笑みながら、ズィークさんはそう言った。
ボクたちは神殿内にある転送装置を使い、地上へと帰還した。
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