アルケニアオンライン~昴のVRMMOゲームライフ。冒険生産なんでも楽しみます。
夕食にて
アルケニアオンラインからログアウトすると、すでに夜になっていた。
なんだか色々な出来事があったけど、現実の時間では数時間程度の出来事だったみたいだ。
エダムさんに会い、街へ行って転職クエスト関連を行い、ダンジョンに潜ってズィークさんに会った。
それから寂しがっていたフィルさんと話し、専属契約の話まで進行してしまった。
「そういえば、専属契約ってなんなんだろう? もし契約したらどうなるんだろう?」
気になることは多いものの、もうすぐ夕食の時間になる。
うちの夕食は十九時からなので、もうすぐ呼びに来るはずだ。
ちなみに、食事の時間までゲームをしているとミナや賢人お兄ちゃんがいる場合はゲーム内まで来て教えてくれるし、直接コフィンを操作してログアウト予告をしてくれたりもする。
まぁ、アラーム機能があるので誰もいなくても教えてくれるんだけどね。
「お姉ちゃん、もうログアウトしてる? 入るよ~?」
「したよ~。入っていいよ~」
「お邪魔します」
部屋に入って来たミナは、外に行っていたのかおしゃれな服装になっていた。
うちの妹は結構アクティブなのだ。
「もう、色々あるのはわかるけど、規則正しく生活しないとだめだよ? 少なくとも学校始まる前にはゲーム内の人にはちゃんと言っておくようにね?」
「ふぁ~い。はぁ。疲れたぁ~」
今のボクはしわしわになった部屋着を着用している。
ついでに言えば、ちょっと髪の毛もぼさぼさになっている気がする。
「宿題終わったって言っても、節度ある接続時間を心掛けないと。あと、明日から少しずつ外に出よ? 慣れないと学校行くとき大変だよ?」
「これじゃ、どっちがお姉ちゃんか分からないね」
「ほんとだよ。返事がない時はちらちら様子見に来てるんだからね?」
うちの世話焼き妹は、ボクがログイン中も様子を見に来てくれていたらしい。
どおりでゲーム内で姿を見ないわけだ。
「ほら、髪整えてあげるから、一緒に行こ?」
「は~い」
本当にどっちがお姉ちゃんだか分からないよね。
ボクもいい加減しっかりしなきゃなぁ……。
「あれ? 少し成長した?」
「ふぇ? 何が?」
「うんと、お姉ちゃんの胸」
「えぇ~? そんなわけないじゃないか」
ちなみに今のボクはしわしわになった部屋着を脱がされており、上半身裸の状態だ。
インナーを着てればよかったんだけど、実は朝着るのがめんどくさくなって着なかったのだ。
「ちゃんとインナー着なよ。スポーツブラも用意してるんだから着けなきゃだめだよ?」
「えぇ~。あれ苦手だよ。Tシャツくらいゆったりしたものがいいんだけどなぁ」
「だ~め」
上半身裸の状態で鏡の前で髪を整えられているボク。
この光景、姉として終わってない?
「食事終わったら計測しなきゃ。明日買い物に行こうね」
「買い物はいいけど、計測するのはなんでなのさ」
「趣味」
「!?」
ボクの体のサイズの計測を趣味と言い切る妹の恐ろしさよ。
ボクはきっと今、ハトのような顔をしているに違いない。
「ふむふむ、私と違ってお姉ちゃんは年上な分成長速度は早そうですなぁ。女の子としての時間は短くても体の成長は思ったより早くなってるのかな?」
「変なところばっかり見ないでよ。まったく」
髪を整えてもらっているボクが言えた義理じゃないと思うけど、ちらちら胸を見るのは止めていただきたい。
じゃあインナー着ればいいし、そうでないならきれいにしておきなさいと言われるだろうから声を大にして言うことはできないんだけどね。
「はい、できた。家の中だからってだらしないのはだめだと思うよ? ほら、いこ」
「あっ、こらまって! まだ服着てない!」
危うく裸のままミナに連れ出されるところだった。
なんとか抵抗して裸のまま部屋の外に出ることだけは避けられたけどね……。
「もう、早く着ちゃってね? お姉ちゃん、少しだけ力強くなった? ちょっぴり抵抗されて驚いたよ」
「抵抗くらいボクだってできるよ。まだ本調子じゃないから力とか体力は微妙だけど、そのうちどっちも今よりも格段に上がるからね!!」
小学生の妹に力負けする姉という不名誉な称号は返上したい。
体に変化が起こってからしばらくはまともな生活はできていなかったので、少しだけ抵抗できたことがとても嬉しく思える。
特に、力関係の改善は急務だ。
「お姉ちゃん、未だに重い買い物袋は持てないし、馬乗りされると私ですらどかせないもんね」
相変わらず致命的な体の性能である。
早く普通になりたい……。
***************
「「「「「いただきま~す」」」」」
家族五人揃って夕食タイム。
今日の夕食はクリームシチューとハンバーグだった。
「おいひぃ」
「口に物を入れながら話さないの」
「もめんなふぁい」
ハンバーグ、美味しいです。
クリームシチュー、美味しいです。
「はは、メルは相変わらず料理上手だね」
「あら、詠春(えいしゅん)のほうが料理上手でしょ? 私、お義母様にすごく叱られながら覚えたのよ?」
本日の夕食はお母さんが作ったようだ。
お母さんが忙しい時は大抵お父さんが作っているので、今日は珍しいともいえる。
まぁ、それぞれのおいしさを表すとすれば、安心できて美味しいのはお母さんの料理で、シェフ顔負けの美味しい料理を作るのはお父さんという感じだ。
高級料理を安い食材で作るのが得意で、普通のレストランに行っても満足できない舌にされてしまっている。
「私のはそこまででもないさ。ただ単純に母を見て育ったからね。あれでいて母はメルのことを憎からず思っているよ」
お父さんの言う通り、お婆ちゃんは口ではああだこうだ言ってはいるものの、お母さんの要請に応えたりしている。
ボクもいずれお婆ちゃんみたくなりたいものだと思う。
少なくとも、お婆ちゃんは自由気ままだし、野生の狐と変わらないような生き方をしているように感じる。
ボクは今のところワンコと変わらないかもしれないね。
案外甘えん坊だし……。
「そういえば昴? 最近ゲームのほうはどうなの?」
「ふぇ? ゲーム? ん~と、専属契約してほしいってゲーム世界の子に頼まれたくらいかな?」
お母さんの問いかけに、ボクは直近の出来事を話す。
そういえば、専属契約について聞こうと思ってたんだっけか。
「昴、専属契約ってなんだ?」
「なにそれ?」
賢人お兄ちゃんとミナがそれぞれ質問してくる。
ボクに聞かれても分からないんだけどさ。
「あぁ、専属契約か。一定以上の親密度になったNPCがPCに対して専属契約というのを依頼してくることがあるんだ。具体的には生産職や冒険者のNPCがPCのために動くようなるんだけど、ほとんどの場合そこまで親密度は高くならないんだ。ちなみに専属契約を受理すると、拠点へ同行してくれたりPCのために知識をフル活用してくれるようになるんだ。かなりメリットが高いから狙う人は多いはずだよ?」
「へぇ~。それで、契約するとついてくるってことは、その人に依頼したい場合はどうなるの?」
当然と言えば当然の疑問だと思う。
だってNPCがいなくなるんだよ?
「該当NPCを追って依頼するか、商業ギルドなどを経由して依頼出すしかないわね。出来るだけ代わりになるNPCを紹介してくれるはずだから、どうしてもという時以外は商業ギルドに行くことを勧めるわ」
「ただまぁ、そのNPCが好きな人にとっては辛い結果になるだろうけどね」
お父さんもお母さんもゲーム関係者なだけあって、システムに詳しいようだ。
これでボクの懸念事項が一つ解消したよ! やったね!!
「ところで昴、誰から専属契約の依頼受けたんだ?」
「ん? フィルさんだよ?」
「ぶはっ」
「ついに実力行使に出たのね、フィルさん……」
自分で聞いておきながら答えたら噴き出すとか、この兄、どうしてくれよう……。
ミナはミナで、面白くなさそうな顔をしている。
「これはまた、高難易度のNPCをゲットしたわね」
「フィル嬢は誰も専属契約出来ないだろうと思っていただけに、私も驚きだよ」
お父さんもお母さんも驚いた顔をしている。
まぁ確かに、他人に興味なさそうだよね、フィルさん。
ボクも驚きだよ。
「ははっ、これは騒がしくなりそうだ。部屋は近くにしたほうが良さそうだね」
賢人お兄ちゃんだけは実に楽しそうだった。
ちょっと憂鬱かもしれない。
あっ、あっちの世界のボクの体、今頃どうなってるんだろう!?
なんだか色々な出来事があったけど、現実の時間では数時間程度の出来事だったみたいだ。
エダムさんに会い、街へ行って転職クエスト関連を行い、ダンジョンに潜ってズィークさんに会った。
それから寂しがっていたフィルさんと話し、専属契約の話まで進行してしまった。
「そういえば、専属契約ってなんなんだろう? もし契約したらどうなるんだろう?」
気になることは多いものの、もうすぐ夕食の時間になる。
うちの夕食は十九時からなので、もうすぐ呼びに来るはずだ。
ちなみに、食事の時間までゲームをしているとミナや賢人お兄ちゃんがいる場合はゲーム内まで来て教えてくれるし、直接コフィンを操作してログアウト予告をしてくれたりもする。
まぁ、アラーム機能があるので誰もいなくても教えてくれるんだけどね。
「お姉ちゃん、もうログアウトしてる? 入るよ~?」
「したよ~。入っていいよ~」
「お邪魔します」
部屋に入って来たミナは、外に行っていたのかおしゃれな服装になっていた。
うちの妹は結構アクティブなのだ。
「もう、色々あるのはわかるけど、規則正しく生活しないとだめだよ? 少なくとも学校始まる前にはゲーム内の人にはちゃんと言っておくようにね?」
「ふぁ~い。はぁ。疲れたぁ~」
今のボクはしわしわになった部屋着を着用している。
ついでに言えば、ちょっと髪の毛もぼさぼさになっている気がする。
「宿題終わったって言っても、節度ある接続時間を心掛けないと。あと、明日から少しずつ外に出よ? 慣れないと学校行くとき大変だよ?」
「これじゃ、どっちがお姉ちゃんか分からないね」
「ほんとだよ。返事がない時はちらちら様子見に来てるんだからね?」
うちの世話焼き妹は、ボクがログイン中も様子を見に来てくれていたらしい。
どおりでゲーム内で姿を見ないわけだ。
「ほら、髪整えてあげるから、一緒に行こ?」
「は~い」
本当にどっちがお姉ちゃんだか分からないよね。
ボクもいい加減しっかりしなきゃなぁ……。
「あれ? 少し成長した?」
「ふぇ? 何が?」
「うんと、お姉ちゃんの胸」
「えぇ~? そんなわけないじゃないか」
ちなみに今のボクはしわしわになった部屋着を脱がされており、上半身裸の状態だ。
インナーを着てればよかったんだけど、実は朝着るのがめんどくさくなって着なかったのだ。
「ちゃんとインナー着なよ。スポーツブラも用意してるんだから着けなきゃだめだよ?」
「えぇ~。あれ苦手だよ。Tシャツくらいゆったりしたものがいいんだけどなぁ」
「だ~め」
上半身裸の状態で鏡の前で髪を整えられているボク。
この光景、姉として終わってない?
「食事終わったら計測しなきゃ。明日買い物に行こうね」
「買い物はいいけど、計測するのはなんでなのさ」
「趣味」
「!?」
ボクの体のサイズの計測を趣味と言い切る妹の恐ろしさよ。
ボクはきっと今、ハトのような顔をしているに違いない。
「ふむふむ、私と違ってお姉ちゃんは年上な分成長速度は早そうですなぁ。女の子としての時間は短くても体の成長は思ったより早くなってるのかな?」
「変なところばっかり見ないでよ。まったく」
髪を整えてもらっているボクが言えた義理じゃないと思うけど、ちらちら胸を見るのは止めていただきたい。
じゃあインナー着ればいいし、そうでないならきれいにしておきなさいと言われるだろうから声を大にして言うことはできないんだけどね。
「はい、できた。家の中だからってだらしないのはだめだと思うよ? ほら、いこ」
「あっ、こらまって! まだ服着てない!」
危うく裸のままミナに連れ出されるところだった。
なんとか抵抗して裸のまま部屋の外に出ることだけは避けられたけどね……。
「もう、早く着ちゃってね? お姉ちゃん、少しだけ力強くなった? ちょっぴり抵抗されて驚いたよ」
「抵抗くらいボクだってできるよ。まだ本調子じゃないから力とか体力は微妙だけど、そのうちどっちも今よりも格段に上がるからね!!」
小学生の妹に力負けする姉という不名誉な称号は返上したい。
体に変化が起こってからしばらくはまともな生活はできていなかったので、少しだけ抵抗できたことがとても嬉しく思える。
特に、力関係の改善は急務だ。
「お姉ちゃん、未だに重い買い物袋は持てないし、馬乗りされると私ですらどかせないもんね」
相変わらず致命的な体の性能である。
早く普通になりたい……。
***************
「「「「「いただきま~す」」」」」
家族五人揃って夕食タイム。
今日の夕食はクリームシチューとハンバーグだった。
「おいひぃ」
「口に物を入れながら話さないの」
「もめんなふぁい」
ハンバーグ、美味しいです。
クリームシチュー、美味しいです。
「はは、メルは相変わらず料理上手だね」
「あら、詠春(えいしゅん)のほうが料理上手でしょ? 私、お義母様にすごく叱られながら覚えたのよ?」
本日の夕食はお母さんが作ったようだ。
お母さんが忙しい時は大抵お父さんが作っているので、今日は珍しいともいえる。
まぁ、それぞれのおいしさを表すとすれば、安心できて美味しいのはお母さんの料理で、シェフ顔負けの美味しい料理を作るのはお父さんという感じだ。
高級料理を安い食材で作るのが得意で、普通のレストランに行っても満足できない舌にされてしまっている。
「私のはそこまででもないさ。ただ単純に母を見て育ったからね。あれでいて母はメルのことを憎からず思っているよ」
お父さんの言う通り、お婆ちゃんは口ではああだこうだ言ってはいるものの、お母さんの要請に応えたりしている。
ボクもいずれお婆ちゃんみたくなりたいものだと思う。
少なくとも、お婆ちゃんは自由気ままだし、野生の狐と変わらないような生き方をしているように感じる。
ボクは今のところワンコと変わらないかもしれないね。
案外甘えん坊だし……。
「そういえば昴? 最近ゲームのほうはどうなの?」
「ふぇ? ゲーム? ん~と、専属契約してほしいってゲーム世界の子に頼まれたくらいかな?」
お母さんの問いかけに、ボクは直近の出来事を話す。
そういえば、専属契約について聞こうと思ってたんだっけか。
「昴、専属契約ってなんだ?」
「なにそれ?」
賢人お兄ちゃんとミナがそれぞれ質問してくる。
ボクに聞かれても分からないんだけどさ。
「あぁ、専属契約か。一定以上の親密度になったNPCがPCに対して専属契約というのを依頼してくることがあるんだ。具体的には生産職や冒険者のNPCがPCのために動くようなるんだけど、ほとんどの場合そこまで親密度は高くならないんだ。ちなみに専属契約を受理すると、拠点へ同行してくれたりPCのために知識をフル活用してくれるようになるんだ。かなりメリットが高いから狙う人は多いはずだよ?」
「へぇ~。それで、契約するとついてくるってことは、その人に依頼したい場合はどうなるの?」
当然と言えば当然の疑問だと思う。
だってNPCがいなくなるんだよ?
「該当NPCを追って依頼するか、商業ギルドなどを経由して依頼出すしかないわね。出来るだけ代わりになるNPCを紹介してくれるはずだから、どうしてもという時以外は商業ギルドに行くことを勧めるわ」
「ただまぁ、そのNPCが好きな人にとっては辛い結果になるだろうけどね」
お父さんもお母さんもゲーム関係者なだけあって、システムに詳しいようだ。
これでボクの懸念事項が一つ解消したよ! やったね!!
「ところで昴、誰から専属契約の依頼受けたんだ?」
「ん? フィルさんだよ?」
「ぶはっ」
「ついに実力行使に出たのね、フィルさん……」
自分で聞いておきながら答えたら噴き出すとか、この兄、どうしてくれよう……。
ミナはミナで、面白くなさそうな顔をしている。
「これはまた、高難易度のNPCをゲットしたわね」
「フィル嬢は誰も専属契約出来ないだろうと思っていただけに、私も驚きだよ」
お父さんもお母さんも驚いた顔をしている。
まぁ確かに、他人に興味なさそうだよね、フィルさん。
ボクも驚きだよ。
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