アルケニアオンライン~昴のVRMMOゲームライフ。冒険生産なんでも楽しみます。
ハイゴブリンジェネラルの依頼
「ゴブリンというものは、下級種族である知能の低いゴブリンと、上級種族であるハイゴブリンの二種で構成されている。ハイゴブリンの中でも、特に強いものはホブゴブリンやわしのようなハイゴブリンジェネラルと呼ばれるような存在になる。ハイゴブリンの中でも下級に近い存在が兵士たるゴブリンアーミーになるのだが、今回、その中から裏切り者が出おった。ゴブリンアーミー筆頭召喚術師である『ゴウラ』だ。配下の召喚術師からは大術師と呼ばれておるやつでな、どこぞから持ってきた黒い石の力で配下のハイゴブリンたちをほとんど連れて行きおったわ。その上、石の力でわしの体を傷つけ力を奪い、ここから出られないように幽閉していきおったのだ」
ここに幽閉されるまでの経緯を語ったハイゴブリンジェネラルは、一息吐いてからこの場所に来るまでの経緯を話し出した。
「幽閉と言っても、このダンジョンから出られないようになっておるだけでダンジョン内は自由に歩けていたのだが、ゴウラのやつめが見張りに手下を配置しておったのだ。傷つき力を奪われたわしでは数に対抗することができなかった。もはやこれまで……と思ったとその時、女神メルヴェイユ様がわしの前に現れたのだ。神話でうたわれておる通りの青みがかった美しい銀髪、人間種と同じ顔でありながら、わしですら絶世の美女と思える容貌、そして紅い瞳。この世界の美を詰め込んだかのような美貌の女神はわしに言ったのだ」
「これより貴方を一時的に私の神殿の一つに保護します。このダンジョンに追加の階層を作り、そこを神殿とつなげるので、移動したとは察知されないでしょう。貴方には役目を一つ与えます。その者は、無限回廊と化した二層目の仕掛けを見抜き、その者にしか取り出すことの出来ない書を持参してここに来るでしょう。その者が来たとき、貴方に出来る手段でいいので、少しばかり手助けをしてあげてほしいのです。それが保護する条件であり、貴方に与える役目となります。それと、その書には持った者の経歴とこれまでの行動が書かれています。確認する時はそれを目安にするといいでしょう」
ボクはその話を聞いた時、確認のために手に入れた本をインベントリから取り出した。
この本にはタイトルかはわからないけど、名前がある。
表紙にはただ簡潔に、『無名の書』と書かれているのだ。
女神メルヴェイユの言っていた本とは、これのことなのだろうか?
でも、この本を取った時に、たしかに道が開いのだ。
「その本がそうなのか? わしに少し見せてくれぬか?」
ハイゴブリンジェネラルはボクの顔を見ながらそう言ってきたので、ボクは見せることにした。
簡単に見せたりするべきじゃないんだろうけど、なんとなく必要な気がしたのだ。
「その本にもスピカにも、変なことをしたらただではおかないわよ? 肝に銘じて読むことね」
本を受け取ったハイゴブリンジェネラルに、大禍津は警告する。
「わかっておる。しかし、ぬしの容貌は少しメルヴェイユ様に似ておる気がするな。たまたまか? まぁいい、すぐに確認させてもらう」
ハイゴブリンジェネラルはそう言うと、本を開きページをめくった。
そして、ひとしきり頷いた後、ボソッと言ったのだ。
「ほう、これは興味深い。身長147センチ、センチというのはわからんが、147セルドくらいの身長であることは間違いなさそうだな。体重3『わー! わー! 何言ってるんだよ!!』なんだ、うるさいやつめ」
どうしてこのゴブリンが知ってるのかは分からないけど、最近までのボクの身長と体重が危うく読み上げられそうになっていた。
なんなの!? いじめ!?
「うるさいわよ、スピカ。聞こえないじゃない。少し黙れないのかしら?」
「何聞きたがってるんだよ!?」
「こほん、ええっと。これはなんのことだ? スリーサイズ? 上から読めばいいのか? ええっと、7『わー! わー! ほんとふざけるのはやめてよ!?』なんだ、口の悪い娘め」
ぐぬぬ、最近ミナに測られた数値が出てきそうになってたじゃないか……!
なんでここまで来てボクを辱めるんだよ!?
「スピカ、少し口が悪いわよ? はぁ、まぁ今はいいわ。それよりも貴女、もう少し胸囲に気を遣うほうがいいわよ?」
「余計なお世話だよ! 性別決まってからまだ二週間なんだから文句言わないでよ!!」
「あら? ならこれから期待できるかもしれないわね」
「ぬしら、少々姦(かしま)しいぞ。何をそんなに気にしておるのだ。落ち着いて読めないではないか」
「もう読まなくていいでしょ!? 返してよ」
「あっ、こらっ!」
まだ力が戻らないせいか、簡単に本を奪い返すことができた。
クエストかイベントかはわからないけど、これ以上ボクを辱めるなら妨害も辞さない!!
「あら残念。面白かったのに。それにしても、身長だけじゃなくてサイズまで慎ましやかだったのね」
「うるさいよ!?」
大変余計なお世話だと思う。
ボクの理想の体形なんて思いつかないけれど、パッと思いつくのはお婆ちゃんくらいのサイズだろうか? そういえば、お婆ちゃんってどのくらいあるんだろう。
今度聞いてみようかな。
「貴女の考えていることはお見通しよ? どうせココノツのこと考えているんでしょう? 私はあのサイズにはなれなかったけど、貴女には負ける気はしないわね」
赤い眼を細めつつクスクスと笑いながらそう言う大禍津。
くそう、なんて挑発的なんだ!
胸のサイズ控えめなくせに……。
「ガルルルル」
口撃(こうげき)すれば負けるので、とりあえず威嚇しておく。
もちろん顔は凶悪な狼のような顔をイメージしている。
「あらかわいい。その怒った表情はマスコットとしても需要ありそうね。よ~しよしよし。よ~しよし」
ボクの中では恐ろしい狼のつもりだったけど、実際には別の何かだったようで大禍津には一切効かなかった。
それどころか、気に入ったようでなぜか頭をなでられるに至る。
「ボクは……、狼にはなれないのか……」
絶望した。
これ以上ないほどに絶望した。
「アイドルにならなれるかもしれないわね。ほら、立ちなさい? あのゴブリンが困惑しているわよ」
「わしのことは気にせんでもいいのだが、ぬしら、仲良いな」
「ぐぬぬ。はぁ。もういいよ。それで、貴方は何をしてくれるの? 手助けしてくれるって言ってたけど」
口を開けてポカンととしていたハイゴブリンジェネラルは、ボクたちを見て仲良しだと言う。
でもボクはいじられっぱなしなので、ちょっとだけ苦手かもしれない。
「わしのことは『ズィーク』と呼ぶがいい。名前だ。手助けはいつでもしてやれるのだが、その前に薬を手に入れてきてほしい。エルフどもが作る『森の雫』と呼ばれる妖精種に良く効く薬が一番いいのだが、エルフどもは薬に関しては非協力的でな。簡単に手に入るとは思えんのだが。もしだめであっても何かしら彼の薬が得られればそれでも構わぬ。頼めないか?」
ズィークさんの依頼は少し難しいかもしれない。
出来れば、一番効果のある『森の雫』を手に入れてきたいところだけど、エルフの知り合いと言われてすぐに思いつかないのが現状だ。
代わりになる薬についてマーサさんに尋ねるかミアに尋ねるかした方がいいだろう。
「わかりました。たぶん代わりの物になると思いますけど、聞きそうなものを探してみます」
「頼む。体力と傷、魔力がそれぞれ回復すればそれでいい」
ハイゴブリンジェネラルのズィークさんに依頼され、ボクたちは薬を求めて街に行くことになった。
ミアは最終手段として、まずはマーサさんのところに聞きに行くことにしよう。
ここに幽閉されるまでの経緯を語ったハイゴブリンジェネラルは、一息吐いてからこの場所に来るまでの経緯を話し出した。
「幽閉と言っても、このダンジョンから出られないようになっておるだけでダンジョン内は自由に歩けていたのだが、ゴウラのやつめが見張りに手下を配置しておったのだ。傷つき力を奪われたわしでは数に対抗することができなかった。もはやこれまで……と思ったとその時、女神メルヴェイユ様がわしの前に現れたのだ。神話でうたわれておる通りの青みがかった美しい銀髪、人間種と同じ顔でありながら、わしですら絶世の美女と思える容貌、そして紅い瞳。この世界の美を詰め込んだかのような美貌の女神はわしに言ったのだ」
「これより貴方を一時的に私の神殿の一つに保護します。このダンジョンに追加の階層を作り、そこを神殿とつなげるので、移動したとは察知されないでしょう。貴方には役目を一つ与えます。その者は、無限回廊と化した二層目の仕掛けを見抜き、その者にしか取り出すことの出来ない書を持参してここに来るでしょう。その者が来たとき、貴方に出来る手段でいいので、少しばかり手助けをしてあげてほしいのです。それが保護する条件であり、貴方に与える役目となります。それと、その書には持った者の経歴とこれまでの行動が書かれています。確認する時はそれを目安にするといいでしょう」
ボクはその話を聞いた時、確認のために手に入れた本をインベントリから取り出した。
この本にはタイトルかはわからないけど、名前がある。
表紙にはただ簡潔に、『無名の書』と書かれているのだ。
女神メルヴェイユの言っていた本とは、これのことなのだろうか?
でも、この本を取った時に、たしかに道が開いのだ。
「その本がそうなのか? わしに少し見せてくれぬか?」
ハイゴブリンジェネラルはボクの顔を見ながらそう言ってきたので、ボクは見せることにした。
簡単に見せたりするべきじゃないんだろうけど、なんとなく必要な気がしたのだ。
「その本にもスピカにも、変なことをしたらただではおかないわよ? 肝に銘じて読むことね」
本を受け取ったハイゴブリンジェネラルに、大禍津は警告する。
「わかっておる。しかし、ぬしの容貌は少しメルヴェイユ様に似ておる気がするな。たまたまか? まぁいい、すぐに確認させてもらう」
ハイゴブリンジェネラルはそう言うと、本を開きページをめくった。
そして、ひとしきり頷いた後、ボソッと言ったのだ。
「ほう、これは興味深い。身長147センチ、センチというのはわからんが、147セルドくらいの身長であることは間違いなさそうだな。体重3『わー! わー! 何言ってるんだよ!!』なんだ、うるさいやつめ」
どうしてこのゴブリンが知ってるのかは分からないけど、最近までのボクの身長と体重が危うく読み上げられそうになっていた。
なんなの!? いじめ!?
「うるさいわよ、スピカ。聞こえないじゃない。少し黙れないのかしら?」
「何聞きたがってるんだよ!?」
「こほん、ええっと。これはなんのことだ? スリーサイズ? 上から読めばいいのか? ええっと、7『わー! わー! ほんとふざけるのはやめてよ!?』なんだ、口の悪い娘め」
ぐぬぬ、最近ミナに測られた数値が出てきそうになってたじゃないか……!
なんでここまで来てボクを辱めるんだよ!?
「スピカ、少し口が悪いわよ? はぁ、まぁ今はいいわ。それよりも貴女、もう少し胸囲に気を遣うほうがいいわよ?」
「余計なお世話だよ! 性別決まってからまだ二週間なんだから文句言わないでよ!!」
「あら? ならこれから期待できるかもしれないわね」
「ぬしら、少々姦(かしま)しいぞ。何をそんなに気にしておるのだ。落ち着いて読めないではないか」
「もう読まなくていいでしょ!? 返してよ」
「あっ、こらっ!」
まだ力が戻らないせいか、簡単に本を奪い返すことができた。
クエストかイベントかはわからないけど、これ以上ボクを辱めるなら妨害も辞さない!!
「あら残念。面白かったのに。それにしても、身長だけじゃなくてサイズまで慎ましやかだったのね」
「うるさいよ!?」
大変余計なお世話だと思う。
ボクの理想の体形なんて思いつかないけれど、パッと思いつくのはお婆ちゃんくらいのサイズだろうか? そういえば、お婆ちゃんってどのくらいあるんだろう。
今度聞いてみようかな。
「貴女の考えていることはお見通しよ? どうせココノツのこと考えているんでしょう? 私はあのサイズにはなれなかったけど、貴女には負ける気はしないわね」
赤い眼を細めつつクスクスと笑いながらそう言う大禍津。
くそう、なんて挑発的なんだ!
胸のサイズ控えめなくせに……。
「ガルルルル」
口撃(こうげき)すれば負けるので、とりあえず威嚇しておく。
もちろん顔は凶悪な狼のような顔をイメージしている。
「あらかわいい。その怒った表情はマスコットとしても需要ありそうね。よ~しよしよし。よ~しよし」
ボクの中では恐ろしい狼のつもりだったけど、実際には別の何かだったようで大禍津には一切効かなかった。
それどころか、気に入ったようでなぜか頭をなでられるに至る。
「ボクは……、狼にはなれないのか……」
絶望した。
これ以上ないほどに絶望した。
「アイドルにならなれるかもしれないわね。ほら、立ちなさい? あのゴブリンが困惑しているわよ」
「わしのことは気にせんでもいいのだが、ぬしら、仲良いな」
「ぐぬぬ。はぁ。もういいよ。それで、貴方は何をしてくれるの? 手助けしてくれるって言ってたけど」
口を開けてポカンととしていたハイゴブリンジェネラルは、ボクたちを見て仲良しだと言う。
でもボクはいじられっぱなしなので、ちょっとだけ苦手かもしれない。
「わしのことは『ズィーク』と呼ぶがいい。名前だ。手助けはいつでもしてやれるのだが、その前に薬を手に入れてきてほしい。エルフどもが作る『森の雫』と呼ばれる妖精種に良く効く薬が一番いいのだが、エルフどもは薬に関しては非協力的でな。簡単に手に入るとは思えんのだが。もしだめであっても何かしら彼の薬が得られればそれでも構わぬ。頼めないか?」
ズィークさんの依頼は少し難しいかもしれない。
出来れば、一番効果のある『森の雫』を手に入れてきたいところだけど、エルフの知り合いと言われてすぐに思いつかないのが現状だ。
代わりになる薬についてマーサさんに尋ねるかミアに尋ねるかした方がいいだろう。
「わかりました。たぶん代わりの物になると思いますけど、聞きそうなものを探してみます」
「頼む。体力と傷、魔力がそれぞれ回復すればそれでいい」
ハイゴブリンジェネラルのズィークさんに依頼され、ボクたちは薬を求めて街に行くことになった。
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