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じゃくまる

いざゴブリンアーミーの野営地へ!

 メルヴェイユ北街道にある農村、マルセ村は徒歩で四時間ほどかかる場所にある。
 北街道方面は山と森が多い土地で、普通に利用できる平地は少なめらしい。
 マルセ村はそんな森を切り拓いた場所にあり、林業と農業で生計を立てているそうだ。
 冬場は薪を作り炭を作る。
 それ以外の季節は、切り拓いて作った農地で農作物を育てるという生活を送っているようだ。

「や、森多いね~。話には聞いていたけど本当に北街道は森と山ばかりなんだね。あそこに似てるなぁ~」
 山林の間を道が走る。
 中型馬車が二台並んで通れるほどの街道が、ずっと奥まで続いているのが見える。

 この街道は北の方にある『アニエス』へと続いている。
 南門以外の各門はそれぞれの国へと続いており、東門が『カーライル』、西門が『ガーランド』に通じている。
 アニエスは女性の王が治めている森林と山岳に囲まれた国で、主にエルフ族が住んでいるところだそうだ。
 農業と林業が盛んで、人間よりもその方面の研究に力を入れているとか。
 カーライルは人間の王が治めている国で人間と獣人が多く、商業と軍事に力を入れているらしい。
 ガーランドはドワーフの王が治めている国で人間とドワーフが多く、鍛治と酒造に力を入れているそうだ。

 それぞれに得意な分野が違う三国だが、その技術はメルヴェイユに集約されているらしい。
 それもそのはずで、メルヴェイユ以南の土地には遠くだが汚染地帯が存在している場所がある。
 そこから先は完全に汚染された土地なようで、絆の要塞が奪われて以降、しばらくは調査隊の派遣すら行われていないらしい。
 それらすべてを打開するべく、三国はメルヴェイユを起点にして汚染の浄化と要塞の奪還を試みているのだ。

 急がなければいけないものの、走ったからといってすぐ着くわけでもなく、ついでに街に寄らずに来たので馬車乗り場について調べてはいなかった。
 要するに徒歩でとぼとぼ歩いているというわけ。
 それも人間に変化した姿でね。
 ただ、旅の道連れといいますか、リーンさんたちが集落にいたのでちょっとお声かけをさせてもらって、今は四人旅なのです。

「でさ~、そこのお店の新作アイスがさ~」

「えっ? それいいじゃん! 今度一緒に行こうよ」

 通りすがりの二人組プレイヤーは何やらアイスの話で盛り上がっているようだ。
 片方は犬の獣人でもう片方はエルフの獣人、どちらも女性だ。

「ん~? なになに? アイスの話が気になるの?」

「あぁ~、今の子達の話、聞き覚えあるな~って思ってたんだけど、あの子たちもしかすると地元の子かも」

「ブルーメリーのアイスと似た特徴のアイスの話してた」

「えっ? みんな知ってるの!?」

 みんなどうやら先ほどの二人が話していたアイスについて知っているようだった。
 ちなみにボクは知らないわけで……。

「ふふん、なら今度みんなで一緒に行こうか? ショッピングモールの一階にお店があるんだけど、夏休みの時期だからこんでると思うんだよね」

「でももう後半になってきたし、帰省してる人もいると思うから前半ほどじゃないんじゃ?」

「その時おすすめのアイスをスピカちゃんにすすめる」

 ボクたち四人はしばらくアイスの話題で盛り上がり、そこから遅くなったけど海にはいついくのか? などの話に発展して、気が付けば二時間ほどが過ぎていた。

「それにしても、四時間ってやっぱり遠いわよね。馬車どこにあるんだっけ?」

「各門に停車場があるはずだけど、今日寄ってこなかったからね~」

「マイ馬車がほしい」

「でも、馬車の権利書って高いでしょ? ボクだってお金コツコツ貯めてるけど、まだ十万クレディしかないよ?」

「うちらも似たようなものだね。でも税金引かれない分まだましかも。全員合わせて八十万クレディにはなってるかな」

 カレンさんは仲良し三人組の資金総額をボクに教えてくれる。
 ボクのも合わせて九十万かぁ……。

「馬車一台いくらだっけ?」

「素材持ち込みで値引きできるみたいだけど、最低でも四人乗り五等級馬車は百万クレディからだよ~?」

 カレンさんの質問に対して、リーンさんが答える。
 五等級馬車というのは徒歩よりそれなりに速い馬が付いた馬車だ。
 それなりという時点で察してほしいのだけど、実際そんなに速くはない。
 それに馬車本体も五等級をそのまま買うと、車体の耐久性に難があるのでおすすめはされないみたいだ。
 
「ということは持ち込み必須かぁ。木材伐採しないとかなぁ」

「馬車に使う木材は、魔術で切れないものが良いと思う。斧とかでこーんって切る」

「むぐぐ。そうだよねぇ」

 馬車の車体自体は素材が選べるので質のいいものを用意すれば耐久性が上がる。
 その際重要なのは防刃防魔であり、要するに攻撃受けて壊れない素材が求められているのだけど、この近隣にそんなものはない。

「にしても、人通り多いけど大丈夫なの? それにやたらと馬車が通ってるけど、村付近に野営地あるんでしょ?」

 カレンさんが今回の討伐について質問してくる。
 もちろんボクもしっかりと聞いているわけではないものの、文面からすると問題ない位置にありそうだ。

「街道からは外れてるっぽいから大丈夫なんじゃないかな? 規模はわからないけど、多すぎたりレイドが出るなら緊急クエストが発行されるんじゃないかな?」

「ふぅん。そもそもゴブリンアーミーってなんなの?」

「そうそう、それ気になってたんだよね~」

 カレンさんとリーンさんの疑問はもっともだ。
 ボクも聞きかじったことしか知らないので、簡単にしか説明できないけどね。

「ゴブリンアーミーってのは、ゴブリンの軍人の集まりみたいなもので、強めの山賊ゴブリンって感じらしいです。統制執れていて無闇には襲ってこないとか。ただ面倒な特性があって……」

 ゴブリンアーミーだけがいる場合は問題ないそうなんだけど、ゴブリン召喚術師と呼ばれるゴブリンがいると一気に面倒になるんだとか。

「ゴブリンの召喚術師がいなければ野営地潰しだけで終わるそうなんで、数パーティーあればいいそうです。もし召喚術師がいる場合、真っ先に倒さないといつまでも呼び出し続けるそうです」

 その上ゴブリンアーミーの召喚術師は防御力もありタフらしい。
 言ってみればレイドのようなものなんだそうだ。

「ふぅん、大変そうだね。おっと、村が見えて来たね。森に隣接してるのかと思ったけど、結構広い平原にあるのね」

「聞いた話だと、農耕の為に切り拓いたらしいよ? 周囲の地形は把握しなきゃ」

「プレイヤーが集まってる。なにかある」

 コノハちゃんの指さす先を見ると、たくさんのプレイヤーが集まっていた。
 もしかして討伐パーティーってこと?

 ボクたちは集団を迂回し、合流予定の村入り口に辿りついた。

「よ、まさか四人で来るとはな。さっきエレクトラちゃんとケラエノちゃんが来てたぞ? 何でも烏天狗は飛べるから速いんだってさ」

「にひひ~、狐おっそい!」

「エレクトラ、だめでしょ? ごめんねスピカ。メッセージは貰ってたんだけど返事できなかったの」

「はぁぁぁぁ~!? 飛べるとかどういうこと!? ボク聞いてないんだけど!」

 これだから烏は……!
 大事なことを黙ってるのは烏の悪い癖だと思う。

「こんにちわ!」

「こんにちわ~」

「こんにちわ」

「こんにちわ~! もうお姉ちゃん、そんなに睨まなくたって。烏天狗はいつものことでしょ?」

 元気よく挨拶するマイア。
 ついでにボクの機嫌についても宥め始めてくれるので良い妹だと思っている。

「んで、この人数なんなの?」

 ボクは周りを見渡しながらアーク兄に尋ねる。
 アーク兄は頬を掻き、ばつが悪そうしながら「ゴブリン召喚術師が見つかったんだ。それも三つの野営地で」と言った。
 どうやら簡単に終わりそうにはなかった。
 だからこの人数がいたんだね?
 ふと端末のクエスト情報を確認すると、緊急クエストが発行されているのに気が付いた。
 だからあんなに馬車が通っていたのか……。

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