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じゃくまる

スピカとココノツ。二人の修行


「【召喚符:九尾天狐ココノツ】」

 ゴリアテさんたちが一時的に屋敷に間借りをすることになり、少しずつだがゴブリンアーミー討伐の準備を進めていく。
 そんな中、ボクは自分の弱点克服のために、屋敷から離れた森の中でお婆ちゃんを呼び出し、力を借りることにした。
 天狐の戦い方は天狐に聞け。
 ボクの低い能力でも上手く戦う方法が必要なのだ。

「久しぶりによばれたのぅ。元気にしておったか? スピカや」
「元気にはしてました。でも、敵は強くなるのにボクは弱いまま……」

 紅い瞳に金色の髪の毛と耳と尻尾を持つ女性。
 腰まで伸びた金髪が美しいその女性は、ボクの祖母だ。
 ゲーム内に何故お婆ちゃんがいるのかというと、お婆ちゃんはこのゲームでは神獣召喚の召喚対象として登録されている。
 このシステムを仕組んだのはボクのお母さんで、神獣契約は一人一体という制限が設けられている。
 なので、必然的にお婆ちゃんはボクだけにしか呼び出せないようになっている。
 当然、ボクが他の神獣と契約出来ないというデメリットもあるのだが、それは他の道士の子に任せればいい。
 いずれ彼らとパーティーが組める日が来るといいんだけどな。

「妾はちょくちょく見ているのじゃが、まだまだスピカは弱いひよっこじゃな。なにゆえゴブリンごときに後れを取っておるのか」

 お婆ちゃんはボクの頭をなでながらもやや呆れ気味に言ってくる。
 お婆ちゃんの孫としては、たしかにこのままではいけないと思っているんだよ。

「友が増え、協力体制を整えるのは大切なことじゃ。じゃが、今のスピカはおんぶに抱っこといった様子。これでは勝てるものも勝てぬ。妾が稽古をつけるとしようかのぅ。まずは刀術じゃ」
「ありがとうございます。お婆ちゃん」

 お婆ちゃんに言われるがままに、ボクは刀を構える。
 打刀だからといって弱いわけではない。
 弱いのはボク自身なのだ。

「刀術は必ず型が決まっておる。そなたの体はまだ出来上がってはおらぬから力が出ないのは当たり前じゃが、妖力でカバーすることは可能。まずは妖力を体に纏うようにしながら刀術の訓練を行うのじゃ」

 お婆ちゃんの言う妖力とは、妖狐族などの妖種であれば扱うことの出来る特殊な力のことだ。
 人間には妖力はないものの、代わりにアルケニア世界では人間種は霊力と呼ばれる特殊な力を使うことができる。
 魔力が魔術などを使うために消費するエネルギーなら、霊力や妖力は特殊な技を使うためのエネルギーとなる。
 

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 名前:スピカ
 年齢:13歳
 種族:妖狐族
 性別:
 職業:道士見習い
 所属パーティ:ケモミミでもふもふ
 所属クラン:
 登録ギルド:メルヴェイユ冒険者ギルド
 冒険者ランク:E

 レベル:18
 HP:250
 MP:400
 SP:200

 筋力:20
 耐久:25
 俊敏:30
 魔力:40

 所持スキル:
 ■武器マスタリー
 【短剣マスタリー:ランク8】【スタッフマスタリー:ランク7】【刀マスタリー:ランク8】 【錫杖マスタリー:ランク4】
 ■防具マスタリー
 【ローブマスタリー:ランク8】
 ■知識
 【薬師の知識:ランク5】【彫金の知識:ランク5】【鍛治の知識:ランク6】【木工の知識:ランク4】
 ■生産
 【調理:ランク4】
 ■攻撃術
   ■符術
  【全属性符術:ランク3】
   ※【炎符:ランク6】【雷符:ランク6】【氷符:ランク6】【水符:ランク5】【風符:ランク5】【土符:ランク4】は統合されました。以降、全属性符術のランクが上がるごとに自動的に属性符の効果も上昇します。
  ■刀術
  【基礎刀術:ランク3】
  ■道術
  【五行刻印:ランク3】【属性攻撃陣:ランク3】【属性防御陣:ランク2】【陣構築スキル:ランク4】
  ■神獣召喚
  【召喚符:九尾天狐ココノツ】
 ■術合成
  【符術合成:ランク5】
 ■種族スキル
  【妖術(天狐):ランク4】【神通力:ランク3】【人化】【陽天変化】【天雷:ランク4】【月天狐の神才:ランク4】

 ■変化術
  【人化:ランクMAX】
 ■所持中の加護・権能
  ■加護
  【女神の加護】
  ■権能
  【妖狐の権能】
  ■恩寵・恩恵
  【月の恩寵】
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 ※種族進化に伴い、希少種族の妖狐族なりました。
 ※月天狐になったため、夜間の能力が20%向上します。
 ※月天狐になったため、夜間の自然回復率が上昇します。
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 現在のボクのステータスはこんな感じになっている。
 他と比較はしていないからわからないけど、全体的にちょっとずつしか伸びていない。
 魔力の数値はMPに直結し、SPの数値は霊力や妖力に依存している。
 そのため、魔力を使うと精神的に疲労し、霊力や妖力を使うと肉体的に疲労するようになる。
 霊力や妖力はレベルが上がることでのみ上昇し、公式掲示板でもたびたび議論になっている、個人の才能による個人差によって上昇する幅が決まってしまう。
 この『ランダムステータス』と呼ばれるステータスシステムは結構もめ事の原因になっているようだ。

 簡単に言うと、同じようにボーナスポイントを振ったからといって、全員が全員同じ数値にはならないということになるのだ。
 上昇幅は3~5だとして、人によって3だったり5だったりという風に育ってしまう。
 ただし公式の説明では、1レベルごとに抽選されているそうなので、必ず同じ数値を引き続けるというわけではないらしい。
 なので、ボクと同じ職業の人がいたとして、ボクと同じ数値になるかといえば、答えはNOということになる。
 技術の要塞が開放されると、そこにボーナスポイントシステムが入り込んでくるため、なおのこと差が開く可能性もあるのだ。

 でも、そこで終わらないのがこのゲームの特徴だ。
 今ボクがやっている修行のように、スキルや特技を極めることによってステータスが補強されていく。
 例えば、筋力:20のとき、筋力+5を追加できるスキルを手に入れたとして、そのスキルを極めれば筋力:20(+5)となるのだ。
 
 努力すればその分強くなる。
 それがこのアルケニアオンラインのシステムなのだ。
 そういう事情だからボクはお婆ちゃんに指導してもらっているというわけだ。
 まぁ、ぐだぐだとながく説明してはみたものの、やはり修行というのは厳しいということを思い知る。
 妖力を体に纏いながらの刀術の練習はボクの体力を大きく奪っていくのだ。

「はぁっはぁっはぁっ……」
「これ、へたばるでない。妖力というのは常に使い続けなければ大きくは伸びぬ。レベルという魂の強度が上がるシステムがあるからといって、ぼんやりしていては強くなどなれぬぞ!」
「はぁっはぁっはぁっ……。が、がんばります」

 もう一度妖力を体に纏い、刀を構えて天狐流刀術の型の練習をする。
 天狐流刀術は、ココノツお婆ちゃんが編み出した刀術で、かれこれ二千年以上の歴史があるのだという。
 ボクは今、その長い研鑽の中で培われた技術の一部を学び取っているのだ。
 最強の武器、最強の呪文、最強の防具だけでは最強にはなれないこのゲーム。
 でも、そういう苦労があるからこそやりがいがあるのかもしれない。
 ボクはこの修行の中で少しずつ強くなり、やがてはみんなに認められるくらいに成長したいと思っている。
 いつまでもドジっ子だの足手まといだの、軟弱だの言わせたくないんだ!

「一朝一夕ではすぐに強くなることはできぬが、少しずつ練習することで色々な能力が伸びていくじゃろう。行動することで手に入れられるスキルもあると聞く。ならばそれ次第で、今のスピカよりももっと強いスピカになる可能性もあるのぅ」

 必死になって刀を振るボクの横で、お婆ちゃんは機嫌良さそうにそう言った。
 アーク兄たちに追いつくためにも、ボクは頑張らなきゃいけないよね。

「戦闘では今は力を貸すことはできぬ。じゃが話し相手だったり稽古の指導だったりは妾でも可能じゃ。遠慮せずもっと呼び出すがよい」

 お婆ちゃんによるボクの指導は、コノハちゃんたちがやってくるまで続いたのだ。

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