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じゃくまる

第38話 ドジっ子少女はハイオークに出会う


 ウルフ達との戦いを終えたボクは、そのままゆっくり森の中を進んでいく。
 この森はそこまで強い敵は出てこない。
 とは言えど、弱くても数が出てくるので、油断しているとあっという間に食い殺されてしまうから要注意だ。

「森の奥なんて言っても、全体から見ると結構手前らしいんだよね。ダンジョン付近までは魔物の分布は変わらないみたいだし」
 進んでいくにつれ、コボルトやらゴブリンの数が目に見えて増えていく。
 ウルフやワイルドボアの生息域はもう少し手前なのだろうか?
 そう言えば、一角ウサギも見ていないな。

「この森ってどこまで続いてるんだろ? あっ、採集ポイントみっけ」
 森の中は道が伸びているので、今は道に迷わずに済んでいる。
 ダンジョンに向かう人や森を通り抜けた人がこの道を作ったんだろうと予想する。

「う~ん? ヒールリーフ? へぇ。傷薬や体力回復ポーションの素材なんだ?」
 鑑定した結果、生えていた草は『ヒールリーフ』という薬草だったことが分かった。
 結構な数の同じ草が辺りに生えているので、採集すればそれなりの稼ぎになるだろう。

「いや~、幸先良いね~。まだ森に入って1時間も経ってないのに、採集素材に魔物素材がたっぷりだよ」
 スキルのおかげで製薬の知識はあるので、傷薬などの薬は作ることが出来る。
 ただ、錬金術の知識はまだ覚えていない為、ポーションを作ることが出来ないのが残念なところだ。

「中級ポーションはまだ残ってるから、いざという時はどうにかなると思うけど、早めに錬金術覚えておこうかな」
 錬金術はポーションを作ることが出来る唯一のスキルだ。
 ポーションの製造だけで結構な稼ぎになると言われるくらい需要のあるスキルだったりする。
 
 とはいえ、錬金術を教えてくれる場所はそんなに多くはない。
 冒険者ギルド内のギルド所属錬金術師か、街の魔法薬屋さんに行くしかないのだ。
 街の魔法薬屋といえば、言わずと知れたエルフのロリ娘、フィルさんだ。

 淡々とした口調、その幼い外見からファンが多いことで有名だ。
 未だに仲良くなったという人を見たことがなかった。
 ボクを除いて。

「でも、フィルさんってたまに怖いんだよなぁ」
 フィルさんはボクのことを見ると、必ずと言っていいほど近寄ってくる。
 その上過度にスキンシップしてくるのだ。

「うぅ……、気に入られてうれしいんだか怖いんだか。複雑だよ」
 フィルさんは見た目で言えば超絶美少女である。
 それはもうエルフとはこうあるべきと言ってもいいくらいの可憐さがあるのだ。
 ボクを見るときの眼を除いて。

「でも、教えてもらわないとだよね。ギルドの人に教えてって言ったら、『ひぇぇぇぇ、私に教える実力はないんです! すみません!』とか言って逃げちゃったし……。絶対フィルさんが絡んでるよ」
 錬金術関連のことでフィルさん以外から教えてもらうことは不可能そうだった。
 出来るだけ二人きりの状況は避けて教えてもらおう。

「よし、採集終わり。30株か、すごい採れた」
 予想以上の大収穫だった。
 普段であれば5株も採れればいい方で、それでも値段はそれなりにしていたの結構いい収入だったのだが、ここにあるものはどれも良質で、輝きが違っていた。

「こういう採集作業って楽しいよね。この後物作りとかして、製品が出来上がっていくんだからね」
 実のところ、ボクは物作りが大好きだった。
 なので、器用貧乏になるとは知りつつも、製作スキルをたくさん取ることにしたのだ。

「もう少しいろいろ集めたら帰ろうかな。まだHPもMPも大丈夫だし」
 ボクがステータスを確認し、HPなどの残量を確認していると、近くからうめき声が聞こえた。

「うぅ……、誰か……」
 耳を澄ましてみると、付近の大木の洞の中から聞こえているようだ。

「誰ですか? うわっ、ひどい怪我」
 恐る恐る中を覗いてみると、お腹から血を流して寄りかかっている子供の姿が見えた。
 茶色い肌の色をした、部族のような入れ墨をしている。

「と、とりあえずポーション使います。たぶん効くと思いますけど」
 恐る恐る中級ポーションの蓋を開け、中の薬液を子供に振りかける。

 すると、みるみる傷は塞がり出血も治まっていった。
 まさに魔法薬だ。
 ポーションすごい!!

「ありがとう、お姉さん。ボクはハイオーク族の『ケイアン』って言います。助けてください! 村が! 村が!!」
 ハイオークの子供に縋りつかれ、必死に懇願されていると、持っている端末が震えだし、告知を告げる音が鳴り響いた。

≪プレイヤー:『スピカ』によって緊急クエストが発動されました。クエスト名『ハイオーク集落救援要請』位置情報を表示しますので、受注される方は『受注』ボタンを押下してください≫
 それは、ボクが引き起こした緊急クエストの始まりを告げる告知だった。

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