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じゃくまる

第6話 メルヴェイユの街の紹介


 今日はアーク兄と午後から待ち合わせをしているので、それまでの間にメルヴェイユの街の店を見て回ることにした。
 現実では宿題を早めに予定分だけ進めているので、結構早い時間だけど、ゲームをしても怒られたりはしない。

「アーク兄が来るまでの間に、製作系の熟練度を上げておきたいなぁ」
 熟練度はそれぞれ最大ランクが10までとなっている。
 最大ランクまで上がったスキルはお金を払うことで次のランクのスキルのランク1になる。
 製作系の職業は熟練度を上げやすく、経験値の入りがすごくいいらしく、そのほかの職業では製作系の職業より熟練度の上りが遅いらしい。
 その上、高品質を作るために特殊な材料が必要になることや、大成功確率が低いなど、さまざまなデメリットがある。
 製作系の職業は素材を使用する際に効率化を行うことが出来るらしく、少な目の素材での製作や特殊な素材を別の素材で代用するなど、製作面においてかなりの優遇がされているのだ。

「おう、スピカ! 今日も鍛治してくかい? 製作系じゃないってのに頑張り屋だよなぁ」
 今話しかけてきたのは『スレイブ』という鍛冶屋のNPCさんだ。
 彼は職業教官の資格もあるらしく、鍛治系スキルの熟練度上げや上位スキル習得の場を提供している。
 彼自身も高レベルの職人ということで、色々な製作を頼むことが出来る。

「今日はまだやりませんよ? ちょっと色々と街を見て回ろうかと思いまして」
 鍛冶屋のある地区は南門にほど近い、南西側の商店街にある。
 この辺りは商店や工房が立ち並んでいるのだ。
 逆に、南東側には酒場や宿屋が多く存在している。
 ここでは商業地区はすみ分けされているのだ。

 と、ここで簡単に街の紹介をしておこうと思う。
 
 この街は、中央北側に王城が存在している。
 元神聖国の王城が今は3国の王が一堂に会し滞在している共有の王城となっている。
 玉座も3つなら王様も3人いるのが特徴だ。
 自国には家族が住んでいるが、国や連邦としての行政はここで行っている。

 王城のやや下には行政区と呼ばれる地区があり、登録や納税などの対応が行われている。
 行政の中枢といえる場所だ。

 そしてその下、街の中央には世界門が設置された大広場が存在している。
 その周りには露店が立ち並び、色々な品物が売られている。

 その世界門のある大広場から南に進むと、大きな南大正門がある。
 通称大通りはここに至る道にある。
 その脇にも屋台が立ち並び、市場としても機能しているのが特徴だろうか?
 冒険者ギルドはこの南大通りの西側に存在している。
 つまり、商店街と大通りの間にあるのだ。

 北西側には貴族街があり、貴族の邸宅が立ち並んでいる。
 警備兵が最も多いのがこの場所だ。
 なお、西大通は西正門に繋がっている。
 一番大きい大通りは南大通りで、東西にある大通りはやや小さめだ。
 荷馬車が通るわけでもなく、一部の馬車のみが通るので小さめらしい。

 東側に行くと、東門と東大通が存在するが、この近辺は平民街となっていて、一般市民の住居が立ち並んでいる。
 
 南東側には宿屋や酒場などの飲食関係のお店が立ち並んでいる。
 お昼によく賑わう場所もこの辺りだ。
 アニスさんといったカフェは商店街側なのだけどね。

 そして最後、北東側には、クラン街が存在する。
 ここは現在所持している人はいないが、クランの拠点となる建物が立ち並んでいる場所になる。
 いつかここに拠点を持ちたいクランも多いことだろう。
 
 このメルヴェイユの街はとても大きく、街の配置はこのようになっている。
 それが始まりの街メルヴェイユの全体図だ。

 おそらくプレイヤー達が良く利用する場所は宿屋とギルド、そして商店街となるだろう。
 スキルを覚える場所に関してもほとんどが商店街にある。
 ちなみに図書館は行政区にある。

「おう、スピカちゃん! 裁縫やってくかい?」
「ごめんなさい、今は街の散策中なんです!」
「あいよ~! またおいで」
 今ボクに声を掛けてきたのは裁縫について教えてくれるNPCで、『マイケル』という人だ。
 個人でも布製防具商店を営んでいる商人でもある。

「木工、どうだ?」
「こんにちは、ガンツさん。今日は散策中なんです」
「そうか、いつでも、こい」
 木工職人の『ガンツ』さんだ。
 簡単な大工仕事から複雑なドレッサーまで色々な木製製品を作っている木工マスターでもある。
 当然スキルも教えてくれるし、嫁入り道具の相談にも乗ってくれる。
 口数は少ないけど、温かみのある優しい人だ。
 でも、身長は2mくらいあるんだよね。

「スピカ、彫金はやっていくかい?」
「こんにちは、マーサさん。今日は散策してるんです。また今度行きますね?」
「いつでもおいで、孫みたいで来てくれるだけでも嬉しいからね」
 彫金師でもあり、貴金属アクセサリーのデザイナー、魔道具作成も得意な魔女という側面を持っている『マーサ』さんだ。
 お婆ちゃんだけど、その経験に裏打ちされた知識と授業の分かりやすさから、街の子供の先生もしている。
 お店も営んでいるので、彫金や魔道具関係の素材はここで大体手に入る。
 魔道具のスキルも教えてくれるので、学ぶ人が集まりやすいと思う。

「スピカ、来た。錬金術の道を究めよう」
「あはは……。フィルさん、こんにちは。今日は散策してまして、次回来ますね」
「薬師学んだら次は錬金術。覚えて?」
 薬関係や錬金術を教えてくれる『フィル』さんだ。
 マーサさんのお孫さんで、天才錬金術師でもある。
 年齢は13歳とボクとあまり変わらない。
 美少女で物静か、でも言うことはきっぱり言う性格で男性に人気がある。
 ハァハァする男性プレイヤーのほか、妹可愛いと騒ぐ女性プレイヤーにも人気がある、ある意味アイドルのような子だったりする。

「今日も色んな人に会うなぁ。もう少し回りたかったけど、そろそろ時間かぁ。ギルドいこっと」
 ボクはお昼を回り始めたので、ギルドへ向かうことにした。
 ギルドに着いたら一度ログアウトしてお昼を食べる予定だ。


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 カランカラン

 冒険者ギルドの扉を開けると、ベルの音が鳴り響いた。
 高すぎないこのベルの音は聞いてて落ち着く気がする。

「ん? おいおい、チビちゃんが来るところじゃないぜ?」
 入り口付近にたむろしていた男性冒険者がこっちにやってきた。
 この人はNPCのようで、頭上に緑色の文字で名前が表示されている。

「すでに登録した冒険者です。貴方方で言うところの異世界人ってところですね」
 この世界にやってきたプレイヤーは、総じて異世界人と認識され呼ばれている。
 一応ここはゲーム内なのだが、ゲームの中にも住んでいる人がいるということだろう。
 もしかしたら、ボク達も誰かのゲームのAIだったりするのかもしれないけどね。

「あぁ、なるほどな。なら手出し無用か。でもいいか? 無茶だけはするな。お前らは簡単に死ぬことはないと聞くが、それとこれとは別だ。痛みは誰にでも平等だからな。いいな?」
 男性冒険者はボクの頭を一撫ですると、懐から何かの瓶を取り出して手渡してきた。

「これは?」
「中級ポーションだ。まぁ、詫びだと思ってもらってくれ。こう見えてもBランク冒険者なんだ。悪かったな」
 どうやらお詫びの品のようだ。

「ありがとうございます! がんばります!」
「おう! 異世界人でもいいから、強くなれ! そしたらどこかで一緒できるかもな」
 そう言うと、男性冒険者はギルドから出ていった。
 とてもいい人だった。

「あっ、スピカちゃん、いらっしゃい」
 行列を捌きながらアニスさんが声を掛けてきた。
 いつもボクを見つけるなぁ、アニスさん。

「アーク兄と待ち合わせなんです。ここ借りますね?」
 ボクはそう言うと、ベンチの一角を借用した。
 ログアウト前に端末を操作すると、公式攻略ウィキと公式掲示板の案内が見えた。
 こういうゲームには必ずといっていいほどあるよね、掲示板。

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