異世界転移して魔王を倒す命運を背負わされたけど、山田太郎は平凡になりたい。
第1話 山田太郎は異世界転生をした
暑い陽射しに僕は目を覚ました。
今までのことを考える余裕もなかった。
と言うよりも、理解する方が難しかった。
「ここは、どこだ……」
目が覚めたら森の中にいた。
森をかき分けて僕に当たる眩しい朝日は、地球のそれと大差はなかった。
今自分は夢を見ているのか、そんなことだけをただ漠然と考えていた。
近くに水の音がして、僕は適当に足を進めた。
「僕だ…変わりのない僕だ」
川に映る僕はいつもの鏡に映る僕だった。
冷たい水で顔を洗い、僕は今までのことを思い出すことにした。
花坂里菜に屋上に呼び出されて、いきなり拳銃を向けられて、気付いたらここ…。
非凡なことに慣れた僕でも、非現実的なことは流石に受け入れがたいものがある。
「やーっと目を覚ましたな?」
後ろから急に声がした。
この声には聞き覚えがあった。
そう、死ぬ前に聞いた最後の声。
そこにいたのは紛れも無い、僕を殺したであろう張本人、花坂里菜であった。
「やあやあ、おはよう」
屋上で会った時の凛々しさとは別人のようにヘラヘラしていて、浮いた話し方。
しかし、顔はあの可愛い花坂さんだった。
「花坂さん、あの、どうなってるの?」
花坂さんは後ろめたそうに話し始めた。
「落ち着いて聞いてね。まず君が今いるここは異世界です。さっきいた地球とは別次元に存在する世界」
「別次元に存在する世界…?」
「そう。そして君を殺したのは紛れもなく私です。まあ殺したと言うには語弊があるんだけどね」
殺人犯が何を冷静に語っているのかと、僕は恐怖してしまった。
「あのね、怖い気持ちも分かるんだけど、よく聞いてね。私は人間じゃありません。花坂里菜は人間の姿。本当の私は女神です」
「女神が僕を殺したの…?」
ますます理解ができなかった。
女神ってワードにいちいち驚かないほどに僕の頭は真っ白になっていたようだ。
「だから殺してはないんだよ。君の身体機能を一時的に静止させて、魂を今こっちの世界に飛ばしてるだけなんだ。私たちは今こうして会話をして時間を感じているけれど、向こうの世界は一秒たりとも経ってはいない。君が私のお願いを聞き届けてくれたら、君は向こうの世界に帰れる」
なんにせよ僕は一度死んでいるのか…。
じゃあこれが俗に言う異世界転生ってやつか。
「それで、そのお願いって?」
「お、話が早いね」
「非凡なことには慣れてるんだ。まあ8割型まだ順応は出来てないけど…」
「ふふ」
花坂里菜は少しはにかんで話し始めた。
「君へのお願いはズバリ魔王討伐です。私たち神の領域でも驚かされるほどの非凡体質の君をずっと見てきました。この世界にはもう今の魔王を倒せるほどの勇者はいない。私たち神が手を掛けることも出来ない。でも見過ごしたら一つの世界がなくなってしまう。そこで、非凡な君のミラクルな魔王討伐に乗り切ったのだ!」
「神レベルで最早運任せかい!!!」
僕は思わずツッコンでしまったが、事の重大さはなんとなく理解した。
「じゃあ僕はどうしたら?」
「まず勇者の称号を手に入れよう!」
「勇者か……」
目立ちそうな肩書き。願いが叶うのなら僕は村人Bくらいになりたい。
異世界でも僕の非凡体質は続きそうです。
今までのことを考える余裕もなかった。
と言うよりも、理解する方が難しかった。
「ここは、どこだ……」
目が覚めたら森の中にいた。
森をかき分けて僕に当たる眩しい朝日は、地球のそれと大差はなかった。
今自分は夢を見ているのか、そんなことだけをただ漠然と考えていた。
近くに水の音がして、僕は適当に足を進めた。
「僕だ…変わりのない僕だ」
川に映る僕はいつもの鏡に映る僕だった。
冷たい水で顔を洗い、僕は今までのことを思い出すことにした。
花坂里菜に屋上に呼び出されて、いきなり拳銃を向けられて、気付いたらここ…。
非凡なことに慣れた僕でも、非現実的なことは流石に受け入れがたいものがある。
「やーっと目を覚ましたな?」
後ろから急に声がした。
この声には聞き覚えがあった。
そう、死ぬ前に聞いた最後の声。
そこにいたのは紛れも無い、僕を殺したであろう張本人、花坂里菜であった。
「やあやあ、おはよう」
屋上で会った時の凛々しさとは別人のようにヘラヘラしていて、浮いた話し方。
しかし、顔はあの可愛い花坂さんだった。
「花坂さん、あの、どうなってるの?」
花坂さんは後ろめたそうに話し始めた。
「落ち着いて聞いてね。まず君が今いるここは異世界です。さっきいた地球とは別次元に存在する世界」
「別次元に存在する世界…?」
「そう。そして君を殺したのは紛れもなく私です。まあ殺したと言うには語弊があるんだけどね」
殺人犯が何を冷静に語っているのかと、僕は恐怖してしまった。
「あのね、怖い気持ちも分かるんだけど、よく聞いてね。私は人間じゃありません。花坂里菜は人間の姿。本当の私は女神です」
「女神が僕を殺したの…?」
ますます理解ができなかった。
女神ってワードにいちいち驚かないほどに僕の頭は真っ白になっていたようだ。
「だから殺してはないんだよ。君の身体機能を一時的に静止させて、魂を今こっちの世界に飛ばしてるだけなんだ。私たちは今こうして会話をして時間を感じているけれど、向こうの世界は一秒たりとも経ってはいない。君が私のお願いを聞き届けてくれたら、君は向こうの世界に帰れる」
なんにせよ僕は一度死んでいるのか…。
じゃあこれが俗に言う異世界転生ってやつか。
「それで、そのお願いって?」
「お、話が早いね」
「非凡なことには慣れてるんだ。まあ8割型まだ順応は出来てないけど…」
「ふふ」
花坂里菜は少しはにかんで話し始めた。
「君へのお願いはズバリ魔王討伐です。私たち神の領域でも驚かされるほどの非凡体質の君をずっと見てきました。この世界にはもう今の魔王を倒せるほどの勇者はいない。私たち神が手を掛けることも出来ない。でも見過ごしたら一つの世界がなくなってしまう。そこで、非凡な君のミラクルな魔王討伐に乗り切ったのだ!」
「神レベルで最早運任せかい!!!」
僕は思わずツッコンでしまったが、事の重大さはなんとなく理解した。
「じゃあ僕はどうしたら?」
「まず勇者の称号を手に入れよう!」
「勇者か……」
目立ちそうな肩書き。願いが叶うのなら僕は村人Bくらいになりたい。
異世界でも僕の非凡体質は続きそうです。
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