異世界案内人
異世界案内人
あんたは死んだ。
「そう」
随分と軽い返事だな。
「何も覚えてないし」
あーそうか、あんた頭が吹き飛んで脳みそぶちまけて死んだから、記憶がないのか。
「へえ、そんなものなのね」
そんなもんだが、自分の頭が吹き飛ばされたって聞いてもえらく冷静だな。
「だって覚えてないし、他人事みたいなものでしょ?」
他人事だと思っていたとしても冷たい反応だよ。
「さあ? そうなのかしら? だとしたら記憶をなくす前の私は冷たい人間だったんじゃない?」
まあ、本質はそうなんだろうな。ただ、生前のあんたが周りに冷たく振る舞っていたかと言えばそうとは限らない。
「そうなの?」
そうなの。
「へえ」
理由聞かないのか?
「言いたければ言えばいいじゃない?」
いや、あんたが聞きたい訳じゃないならいいよ。
「そっ」
…………。
「…………」
…………。
「…………」
…………。
「…………」
わかった、僕が大人気なかった。
「大人気ないって……私はいくつなのよ? あなたも偉そうだけど子供とは見えないまでも、そこまで年を取っているようにも見えないのだけど」
あんたの正確な年齢は僕にはわからない。でも、見た目は15~20歳ってところかな?
「曖昧ね」
あんたくらいの年頃の女の子は正確な年齢はわからないもんだよ。
「あなたは見た目は……まあ、20歳は超えているようだから私よりは年上のようね」
と言っても僕の方の年齢は見た目通りではないんだけど。あんたより年上なのは間違いない。
「不思議な存在なのね」
あんたにとってはな。
「それで?」
ん?
「まだ話の途中だったでしょ?」
あーあんたが生前どう振る舞っていたのかは今のあんたの性格通りではないって話か? なんだあんた? やっぱり聞きたかったんじゃないか。
「やっぱりいいわ」
怒るなよ、冗談だろ? まあ、わざわざ蒸し返す程の話じゃないんだけど……
「じゃあ、話さなくてもいいわ」
意地っ張りだなー。わかった、お願いだから説明させてください。
「ふんっ、そこまで言うなら話してくれてもいいわ」
今から生前のあんたと今のあんたの振る舞いは違うって話するけどあんたは間違いなく今も生前も同じく性悪だな。
「うっさい」
おー怖っ…………まあ、簡単に説明すると、性格なんてその人の人生経験に大きく左右されるって話
「ふーん、そう言うこと」
おっ理解したのか?
「バカにしないで。要は記憶がないから、人生経験が0で素の私、本質的な自分しかいないって事でしょ」
そう。本質的に優しい子だって酷い裏切りにあえば人のことを信じられなくなるだろ?逆にあんたのように本質が冷徹な奴でも優しくされた経験が他人に優しくしよう思うきっかけになるかもしれないって話だな。
「冷徹は言い過ぎよ」
それは傷つくんだな。
「それにしても、わざわざ改めてさせる程の説明じゃなかったわね」
やっぱ冷徹だよあんた……だから言っただろ、蒸し返してまでする話じゃないって。
「でも、その話でいくと記憶を亡くして初めて接する相手があなたなのか私……」
そんな嬉しそうにするなよ。
「……間違いなく卑屈になるわね」
安心しろよ。あんた元々かなり卑屈な女の子だからさ。
「………………」
睨むな睨むな。
「私が卑屈なのは初めに喋ったのがあなただったからよ」
人のせいにするな。そんな訳がない事わかって言ってるだろ。一言二言会話を交わしただけで人間の本質が変わるか。
「分からないわよ? 子鴨が最初に見た親鴨の後ろについて行くように私の本質も初めて会ったあなたの本質につられたのかもしれないじゃない?」
それとこれとは話が違うだろ。
「でしょうね。言ってみただけよ」
あんたホントに何なんだよ……
「そんなの私にもわからないわよ」
……まあ、いい。で、あんたはこれからどうしたい?
「どうしたいって言われてもね……どうなっているのよ私は」
死んでる。
「知ってる。この場所に対する5W1Hよ」
Howって何だよ?
「あら、ごめんなさい英語は苦手でして?」
意味は知ってる。というか何で口調が貴婦人?
「あら、ごめんあそばせ」
腹が立つ。
「じゃあ5Wだけでいいから説明しなさい」
おっと、急に口調と話が戻ったな。というか、まだ説明もしてなかったのか。普通は雑談の前に聞かれるもの何だけど
「アーリー」
今度は外人だな……ハイハイ、わかったよ。じゃあ、まずここが何処どこなのか。簡単に言えばここは、あんたみたいな死人に次の転生先を案内している場所だよ。
「転生の案内? 仏教の話かしら? じゃあ、生前は仏教徒だったのね私は」
君の言う仏教については詳しい知識はないけど、宗教は関係ない。死んだら誰もがここへ来る。誰でもは少し言い過ぎだけど。
「そっ、残念。生前とても徳を積んでいたんだと思ったわ」
徳を積んでなくとも頭を吹き飛ばされて死んだら憐れみで転生させてくれそうなものだけどな。ほら、流行っていただろ?悲劇的に死んだら異世界に転生する物語。
「……………?」
いや、知らないならいい。ライトノベルは嗜まないみたいだな。
「さぁ?」
一番初めに思いつく作者は?
「……夢野久作?」
……知らないなあ。一応、君の世界の作者うぃ少し知っているんだけど。意外とあんた読書家だったのかもな。その人どんな話を書いてたんだ?
「話が逸れてるわ。もう戻りましょう」
おっと、そうだな。えっと……つまりここは死んだ君の次の人生を決める場所なんだよ。
「あなたが決めてくるの?」
いや? 決めるのはあんただ。
「わたしが?」
そう。
「ふうん、で、私は何を決められばいいの? また人間になりたいとか今度は鳥になって空を飛びだいとか?」
いや、あんたが決めるのは世界だ。
「世界?」
元々あんたがいた世界は科学が発達した世界だっただろ? まぁ地域にも寄るだろうけど。
「だから記憶がないって」
記憶がなくても知識はあるだろ? さっきから、僕と話している時に生前の世界の話をしてただろ?
「……そうね、私がいた世界は科学が発達しているわね……特に私がいた国は……それじゃあ、他に選べる世界は魔法が発達してるとか?」
その発想はいいな、あんた達の世界らしい。科学の反対は魔法か。確かにそれも正しいな。ラノベを読んでなくたってその発想になるのが普通だよな。
「何? 馬鹿にしてるの?」
すぐに突っかかるなよ。普通に感心したんだよ。まあ科学世界の相反はファンタジーだよな。科学で解明出来ないものの代表だもんな。
「科学の反対って魔法の世界の他にもあるの?」
そりゃ、科学の発達してない世界だろ?
「…………」
別におかしな事は言ってないぜ? 武士とか侍とか騎手とかいた時代だって立派に科学とは逆の世界だろ。遠くまでの移動にわざわざ車があるのに馬を使う人もいないだろ?
「まあ……そうね」
だろ?
「でも、私達が魔法の発達した世界に行きたいって言うのは分かるけど、科学の発達してない世界に転生したい人っているの?」
転生出来るのは、あんたらの世界の特権じゃない。あんたから見れば行きたくない、もとい、生きたくない世界かもしれないけど他の世界の転生者からしたら魅力的に見える事もある。
「なるほど……そりゃ他の世界も転生するか。確かに世界が違えば価値観も違ってくるわよね」
まあそう言うこと。
「でも、色々な世界があるようだけどその中に破滅した世界だってあるでしょ?」
もちろん。
「誰か選ぶ人がいるの?」
少ないけどいる。転生するって言っても記憶を引き継げる訳じゃないからね。来世に興味がない人がたまに選んだりするよ。
「それでも、その世界の人類の転生者が少なくて完全に滅びちゃうんじゃない?」
元々、滅びに向かってる世界だからね。子供が少なくても当たり前なんだよ。それに何も生まれる子供全てが転生者って訳じゃないのさ。
「それでいいの?」
さあ?
「適当ね……」
僕には関係ない事だからね。僕はただ死んだ人間の次の転生先を案内するだけだから。
「そう」
じゃ、そろそろ決めようか。あんたの転生先を。どこがいい? 魔法が使える世界? それともまた科学の発達した世界か? まあ、あんた来世とか興味なさそうだしくじ引きで決めてやろうか?
「私の自由でいいのね?」
自由さ。あんたの好きにすればいい。
「じゃあ、しばらくここにいるわ」
へ?
「あなたの仕事を見てるわ。他の世界の人間にも興味あるし……駄目なの?」
いや、駄目っていうか……
「自由なんでしょ?」
…………そんなに楽しい所じゃないぞ?
「飽きたらすぐに転生するわ」
冷めてるなあ……。
「私は生前の記憶がないから、どんな世界に行きたいのかも分からない。平凡に平和な前の世界を選んでもいいけど、頭を割って死んだ世界にもう一度行くってのはちょっとね……だからあなたが誰かに案内してるのを聞きながら来世を決めるわ」
…………そうか、次はあんたか
「え?」
次の世界をじっくり決めたいなら、もっといい方法があるぜ?
「もっといい方法?」
あんたも案内人をすればいい。
「……出来るの?」
まあね、望むなら。僕でも出来てるんだし。
「じゃあ……あなたは元転生者なの?」
元じゃない。今でも僕は転生者だよ。あんたと一緒。次を決めかねてるんだよ。
「でもあなた案内人でしょ? 自分が行きたい世界は自分で探せるでしょ?」
行きたい世界があったら、僕がここに来た時に担当だった案内人に案内してもらってるさ。
「確かに……というか、あなた以外にも案内人っていたのね」
いるんじゃないの? 僕が知っているのは僕の担当だった人と僕だけだからハッキリ言えないけどね。
「ふうん……そのあなたを担当したって人は今どこにいるの?」
もう転生したよ。一人の転生者と気が合って来世で再開しようって言ってね。ここに居ればずっと話していられるのにね。ロマンチックな人だったよ。
「あなたは……」
ん?
「あなたは何で転生しないの? 担当だった人みたいに誰かを待っているの?」
いや、僕の場合はたちが悪いし、意地が悪いんだよ。
「オマケに性格も悪いわよね」
茶々をいれるなよ……
「どうして転生しないかを早く言わないからよ」
あんたって奴は……まあいい、そうだな、つまらないんだよ、どの世界も。たくさんの世界や人間を案内しながら見てきたけど、どこも駄目だ。面白くない。
「無数に世界があるのに? その中あなたが満足する世界がなかったの?」
ない。
「一つも?」
一つも
「面倒な人ね。どうせ記憶は失うのよ? どこでもいいじゃない」
あんたが言うなよ。
「私はそこまで悩むつもりはないわ。何となくここがいいと思ったとこに転生するわよ」
気楽だね。
「むしろ、あなたが気負い過ぎよ」
まあね、そうかもしれない。でも、僕はそう楽観的にはいかない理由があるんだよ。
「何よ? まだ何かあるの?」
さっき人の本質の話をしただろ?
「そうね」
転生した時に記憶も能力も引き継ぐ事が出来ないけど自分の本質は引き継ぐ事が出来るんだよ。魂は同じだからね。
「へえ、それで?」
僕の前世は勇者だったんだよ。
「ダウト!!」
嘘じゃない。証拠に勇者の刻印がある。ほら。
「…………刺青?」
違う。生まれつきだ。
「仮にそれが本当だとして、それが何で転生しない理由になるのよ?」
仮じゃねえよ……まあ、要するに僕の本質ってのが勇者体質ってものらしい。
「ふっ」
鼻で笑ってんじゃねえよ。これでも魔王を倒して世界を救ってるんだぞ?
「いや、でも何なの?勇者体質(笑)って」
取り敢えず、あんたが僕を馬鹿にしてるのはわかった。
「悪かったわよ。説明して、ね?」
……よくあるだろ? 魔王が誕生する時に一緒に勇者が誕生する。歴史は巡る! みたいな。その歴史と一緒に巡っている魂が俺みたいな勇者体質の魂らしい。
「へえ、じゃあ、もし私が死ぬ前にいた世界に転生したらどうなるのよ?」
さあ?世界征服を企む悪の組織と戦うんじゃないか?
「普通に悪い人は世界征服とか企まないと思うわ。無難に優秀な警察官かしら?」
勇者っぽくはないな。どっちかと言うと戦士だな。
「馬鹿にしないで? 警察官は立派な職業よ?」
馬鹿にしてないさ。戦士も立派な職業だ。僕の仲間にもいた。
「そっ。で、あなたは次に救う世界を迷ってるって事でいいのね?」
ま、そう言うこと。でも、どの世界も面白くない。この世界で勇者をしたいってならないんだよ。
「……贅沢な悩みね」
下らなくもあるけどね。
「はあ……何かムカつくわね……」
な、何でだよ?
「あんたが前世でどれほどの事をしたかは私は知らないけど、その世界の思い出を後生どころか死後まで大事にしてんじゃないわよ? 何が面白くないよ、何が勇者体質(笑)よ?」
え? え?
「本当に私の世界に転生してみなさい? そんな勇者体質(笑)のヤツが正義振りかざして見なさい。一瞬で虐められて引き籠もりニート確定よ。本質は出会った人によって変わるってあなたが言ったのよ? 偶々、前世で上手く行ったからって、勇者体質だからって次の人生も上手く行くと思うなよ!」
何でいきなりキレてんだよ?
「何時までも過去の栄光に酔ってるあなたが気に食わないのよ! 私は記憶が無いって言うのに! よし決めた、もう決めた。いろんな世界をみてから本当は決めようと思ってたけど来世の世界も決めたわ」
…………。
「喜びなさい、ついでにあなたの世界も決めてあげたわ」
勝手に決め……
「うるさい、聞きなさい」
っ!
「いい? あんたは私と同じ世界に転生しなさい? それでまた勇者でも何でも成ればいいわ」
それで何があるって言うんだよ? あんたはどうするんだ?
「私は魔王になるわ」
はあ?
「魔王になってあなたをコテンパンにして世界をボロボロに滅ぼしてやるわ。それであなたのその勇者体質(笑)を勇者体質(哀)に変えてやるわよ」
変わるか! そもそも(笑)でもねえ! 大体、魔王になるって、やろうとして出来る事じゃないだろ?
「出来るわよ。私を誰だと思ってるの?」
知らねえよ。お前も知らねえだろ。
「魔王になるくらい私なら雑作もないわよ。それとも何? ビビっちゃった?」
安い挑発……
「バーカ、バーカ、お前の母ちゃんでーべそ!」
子供か。
「うるさい、このチャンスを逃したらもうあんたは最強で最悪の魔王と戦えないのよ? 私が面白い世界をあんたの為に作ってあげるって言ってやってんの!」
何であんたがそこまで?
「私が転生するいい理由になったからよ。どこでもいいのよ私は。ムカつくあなたの勇者体質とか馬鹿みたいな名前したその本質をあたしが介入してメチャクチャにしたいって思っただけよ」
本質だけがその人を決める訳じゃないとは確かに言ったけどな……
「あなたは勇者体質っていう才能みたいな物があるけど私は1から魔王になるって言ってんのよ? どっちが大変だと思ってるのよ?」
いや、あんたのその性格……と言うか本質は十分魔王になる素質は有りそうだけどな。
「あら? じゃあ、いいでしょ?」
いやでも……
「イエスかノーかで答えなさい? もしノーなら意気地なしのあなたは指をくわえて私が世界を滅ぼすところを見ていなさい?」
どんどんセリフが魔王っぽく…………くそ、分かったよ。
「何がわかったのかしら?」
やってやるって事だよ! どんな世界より本当に魔王になった来世のあんたを倒せる世界が一番面白そうだからな!
「やっと、やる気になったわね。吠え面かかせてやるわ」
僕も記憶があるわけじゃないけど魂は何度も勇者をやってんだ。お前みたいなアマチュア魔王に負けるわけねえよ。
「それは来世に転生した後で聞くわ。力は言葉ではなく結果で示すものよ? それじゃあ早く転生しましょうか……ん、じゃあ適当に……この魔法と剣の世界でいいかしら?」
どこでもいいさ。
「じゃあ、ここにしましょ。ふふっ、来世で会った時は敵同士ね?」
今も割と近い感じだろ?
「もっと別の形で出逢っても私達は敵同士だったみたいね」
魔王になるって言うんだから、その位じゃないとな。
「確かにそうね。じゃあ無駄話はここまでにしましょ、後は来世で」
勇者と魔王がそんな気兼ねなく話せないだろ?
「なら最後のバトルで語り合いましょーーさて、じゃあ、もう本当に行きましょうか。どうすればいいの?」
行きたい世界を僕に言ってくれればいいよ。
「じゃあ、この世界ね?」
ん……
「それじゃあ魔王の玉座であなたを待ってるわ」
逃げんなよ? それじゃあ……て、あっ。
「なに?」
あ、いや、あの、盛り上がったとこ悪いんだけど……
「嫌な前置きね……」
今は一緒に転生出来ないんだった。
「何でよ! 2人で転生しないと意味ないでしょ!?」
今はだから! 今は!
「どういうこと?」
案内人は1人はここにいる必要があるんだよ。一度、案内人を引き受けたら次の誰かに引き継ぐまで転生が出来ないんだよ?
「あなた一度もそんな事を言ってなかったわよね?」
さっきまで雰囲気に流されて忘れてたんだよ。あんたが転送する前に思い出せて良かったよ。
「良くないでしょ! カッコつけて決め台詞を言ってたのが馬鹿みたいじゃない!」
それは僕も同じだ……
「元々あなたのミスでしょうが!」
悪かった……
「はあ……まあいいわ、言っても仕方ないし」
いいのか?
「駄目って言っても何か出来る訳じゃないでしょ? ま、ゆっくり次の引き継ぎを探しましょ? まあ、もし悪いと思うなら……」
思うなら?
「あなたの生きてた時の話を聞かせて頂戴? 勇者だったのなら小説が書ける程エピソードがあるでしょ?」
それ位ならいくらでも。
「その話からあなたの弱点を見つけてやるわ」
どうせ記憶を亡くすから無駄だって……
「冗談よ」
あんたは本当に…………じゃあ、魔王を倒す時の話だけど……
「何で最初の話からクライマックスなのよ!」
冗談だよ。
「ちっ」
舌打ちするなよ女の子が……ちょっと仕返ししただけだろ?
「来世まで呪ってやるわ」
転生する前から魔王みたいな事するなよ。
「私が魔王ならそんな甘っちょろい事しないわよ。じゃ、次は真面目に話しなさいよ?」
さらっと怖い事を言うなよ……それじゃあ、まず僕がいた世界がどんな世界だったかっと……おっ?
「どうしたの? ……て、あっ!」
仕事だな。転生者が来たぞ。話の続きはまた後で。
「私の異世界案内人としても初仕事ね」
そうだな。そんじゃあ、あん……
「あ、待って私が言うわ」
え? いや、構わないけど。
「それじゃ……」
「あなたは死んだわ!」
「そう」
随分と軽い返事だな。
「何も覚えてないし」
あーそうか、あんた頭が吹き飛んで脳みそぶちまけて死んだから、記憶がないのか。
「へえ、そんなものなのね」
そんなもんだが、自分の頭が吹き飛ばされたって聞いてもえらく冷静だな。
「だって覚えてないし、他人事みたいなものでしょ?」
他人事だと思っていたとしても冷たい反応だよ。
「さあ? そうなのかしら? だとしたら記憶をなくす前の私は冷たい人間だったんじゃない?」
まあ、本質はそうなんだろうな。ただ、生前のあんたが周りに冷たく振る舞っていたかと言えばそうとは限らない。
「そうなの?」
そうなの。
「へえ」
理由聞かないのか?
「言いたければ言えばいいじゃない?」
いや、あんたが聞きたい訳じゃないならいいよ。
「そっ」
…………。
「…………」
…………。
「…………」
…………。
「…………」
わかった、僕が大人気なかった。
「大人気ないって……私はいくつなのよ? あなたも偉そうだけど子供とは見えないまでも、そこまで年を取っているようにも見えないのだけど」
あんたの正確な年齢は僕にはわからない。でも、見た目は15~20歳ってところかな?
「曖昧ね」
あんたくらいの年頃の女の子は正確な年齢はわからないもんだよ。
「あなたは見た目は……まあ、20歳は超えているようだから私よりは年上のようね」
と言っても僕の方の年齢は見た目通りではないんだけど。あんたより年上なのは間違いない。
「不思議な存在なのね」
あんたにとってはな。
「それで?」
ん?
「まだ話の途中だったでしょ?」
あーあんたが生前どう振る舞っていたのかは今のあんたの性格通りではないって話か? なんだあんた? やっぱり聞きたかったんじゃないか。
「やっぱりいいわ」
怒るなよ、冗談だろ? まあ、わざわざ蒸し返す程の話じゃないんだけど……
「じゃあ、話さなくてもいいわ」
意地っ張りだなー。わかった、お願いだから説明させてください。
「ふんっ、そこまで言うなら話してくれてもいいわ」
今から生前のあんたと今のあんたの振る舞いは違うって話するけどあんたは間違いなく今も生前も同じく性悪だな。
「うっさい」
おー怖っ…………まあ、簡単に説明すると、性格なんてその人の人生経験に大きく左右されるって話
「ふーん、そう言うこと」
おっ理解したのか?
「バカにしないで。要は記憶がないから、人生経験が0で素の私、本質的な自分しかいないって事でしょ」
そう。本質的に優しい子だって酷い裏切りにあえば人のことを信じられなくなるだろ?逆にあんたのように本質が冷徹な奴でも優しくされた経験が他人に優しくしよう思うきっかけになるかもしれないって話だな。
「冷徹は言い過ぎよ」
それは傷つくんだな。
「それにしても、わざわざ改めてさせる程の説明じゃなかったわね」
やっぱ冷徹だよあんた……だから言っただろ、蒸し返してまでする話じゃないって。
「でも、その話でいくと記憶を亡くして初めて接する相手があなたなのか私……」
そんな嬉しそうにするなよ。
「……間違いなく卑屈になるわね」
安心しろよ。あんた元々かなり卑屈な女の子だからさ。
「………………」
睨むな睨むな。
「私が卑屈なのは初めに喋ったのがあなただったからよ」
人のせいにするな。そんな訳がない事わかって言ってるだろ。一言二言会話を交わしただけで人間の本質が変わるか。
「分からないわよ? 子鴨が最初に見た親鴨の後ろについて行くように私の本質も初めて会ったあなたの本質につられたのかもしれないじゃない?」
それとこれとは話が違うだろ。
「でしょうね。言ってみただけよ」
あんたホントに何なんだよ……
「そんなの私にもわからないわよ」
……まあ、いい。で、あんたはこれからどうしたい?
「どうしたいって言われてもね……どうなっているのよ私は」
死んでる。
「知ってる。この場所に対する5W1Hよ」
Howって何だよ?
「あら、ごめんなさい英語は苦手でして?」
意味は知ってる。というか何で口調が貴婦人?
「あら、ごめんあそばせ」
腹が立つ。
「じゃあ5Wだけでいいから説明しなさい」
おっと、急に口調と話が戻ったな。というか、まだ説明もしてなかったのか。普通は雑談の前に聞かれるもの何だけど
「アーリー」
今度は外人だな……ハイハイ、わかったよ。じゃあ、まずここが何処どこなのか。簡単に言えばここは、あんたみたいな死人に次の転生先を案内している場所だよ。
「転生の案内? 仏教の話かしら? じゃあ、生前は仏教徒だったのね私は」
君の言う仏教については詳しい知識はないけど、宗教は関係ない。死んだら誰もがここへ来る。誰でもは少し言い過ぎだけど。
「そっ、残念。生前とても徳を積んでいたんだと思ったわ」
徳を積んでなくとも頭を吹き飛ばされて死んだら憐れみで転生させてくれそうなものだけどな。ほら、流行っていただろ?悲劇的に死んだら異世界に転生する物語。
「……………?」
いや、知らないならいい。ライトノベルは嗜まないみたいだな。
「さぁ?」
一番初めに思いつく作者は?
「……夢野久作?」
……知らないなあ。一応、君の世界の作者うぃ少し知っているんだけど。意外とあんた読書家だったのかもな。その人どんな話を書いてたんだ?
「話が逸れてるわ。もう戻りましょう」
おっと、そうだな。えっと……つまりここは死んだ君の次の人生を決める場所なんだよ。
「あなたが決めてくるの?」
いや? 決めるのはあんただ。
「わたしが?」
そう。
「ふうん、で、私は何を決められばいいの? また人間になりたいとか今度は鳥になって空を飛びだいとか?」
いや、あんたが決めるのは世界だ。
「世界?」
元々あんたがいた世界は科学が発達した世界だっただろ? まぁ地域にも寄るだろうけど。
「だから記憶がないって」
記憶がなくても知識はあるだろ? さっきから、僕と話している時に生前の世界の話をしてただろ?
「……そうね、私がいた世界は科学が発達しているわね……特に私がいた国は……それじゃあ、他に選べる世界は魔法が発達してるとか?」
その発想はいいな、あんた達の世界らしい。科学の反対は魔法か。確かにそれも正しいな。ラノベを読んでなくたってその発想になるのが普通だよな。
「何? 馬鹿にしてるの?」
すぐに突っかかるなよ。普通に感心したんだよ。まあ科学世界の相反はファンタジーだよな。科学で解明出来ないものの代表だもんな。
「科学の反対って魔法の世界の他にもあるの?」
そりゃ、科学の発達してない世界だろ?
「…………」
別におかしな事は言ってないぜ? 武士とか侍とか騎手とかいた時代だって立派に科学とは逆の世界だろ。遠くまでの移動にわざわざ車があるのに馬を使う人もいないだろ?
「まあ……そうね」
だろ?
「でも、私達が魔法の発達した世界に行きたいって言うのは分かるけど、科学の発達してない世界に転生したい人っているの?」
転生出来るのは、あんたらの世界の特権じゃない。あんたから見れば行きたくない、もとい、生きたくない世界かもしれないけど他の世界の転生者からしたら魅力的に見える事もある。
「なるほど……そりゃ他の世界も転生するか。確かに世界が違えば価値観も違ってくるわよね」
まあそう言うこと。
「でも、色々な世界があるようだけどその中に破滅した世界だってあるでしょ?」
もちろん。
「誰か選ぶ人がいるの?」
少ないけどいる。転生するって言っても記憶を引き継げる訳じゃないからね。来世に興味がない人がたまに選んだりするよ。
「それでも、その世界の人類の転生者が少なくて完全に滅びちゃうんじゃない?」
元々、滅びに向かってる世界だからね。子供が少なくても当たり前なんだよ。それに何も生まれる子供全てが転生者って訳じゃないのさ。
「それでいいの?」
さあ?
「適当ね……」
僕には関係ない事だからね。僕はただ死んだ人間の次の転生先を案内するだけだから。
「そう」
じゃ、そろそろ決めようか。あんたの転生先を。どこがいい? 魔法が使える世界? それともまた科学の発達した世界か? まあ、あんた来世とか興味なさそうだしくじ引きで決めてやろうか?
「私の自由でいいのね?」
自由さ。あんたの好きにすればいい。
「じゃあ、しばらくここにいるわ」
へ?
「あなたの仕事を見てるわ。他の世界の人間にも興味あるし……駄目なの?」
いや、駄目っていうか……
「自由なんでしょ?」
…………そんなに楽しい所じゃないぞ?
「飽きたらすぐに転生するわ」
冷めてるなあ……。
「私は生前の記憶がないから、どんな世界に行きたいのかも分からない。平凡に平和な前の世界を選んでもいいけど、頭を割って死んだ世界にもう一度行くってのはちょっとね……だからあなたが誰かに案内してるのを聞きながら来世を決めるわ」
…………そうか、次はあんたか
「え?」
次の世界をじっくり決めたいなら、もっといい方法があるぜ?
「もっといい方法?」
あんたも案内人をすればいい。
「……出来るの?」
まあね、望むなら。僕でも出来てるんだし。
「じゃあ……あなたは元転生者なの?」
元じゃない。今でも僕は転生者だよ。あんたと一緒。次を決めかねてるんだよ。
「でもあなた案内人でしょ? 自分が行きたい世界は自分で探せるでしょ?」
行きたい世界があったら、僕がここに来た時に担当だった案内人に案内してもらってるさ。
「確かに……というか、あなた以外にも案内人っていたのね」
いるんじゃないの? 僕が知っているのは僕の担当だった人と僕だけだからハッキリ言えないけどね。
「ふうん……そのあなたを担当したって人は今どこにいるの?」
もう転生したよ。一人の転生者と気が合って来世で再開しようって言ってね。ここに居ればずっと話していられるのにね。ロマンチックな人だったよ。
「あなたは……」
ん?
「あなたは何で転生しないの? 担当だった人みたいに誰かを待っているの?」
いや、僕の場合はたちが悪いし、意地が悪いんだよ。
「オマケに性格も悪いわよね」
茶々をいれるなよ……
「どうして転生しないかを早く言わないからよ」
あんたって奴は……まあいい、そうだな、つまらないんだよ、どの世界も。たくさんの世界や人間を案内しながら見てきたけど、どこも駄目だ。面白くない。
「無数に世界があるのに? その中あなたが満足する世界がなかったの?」
ない。
「一つも?」
一つも
「面倒な人ね。どうせ記憶は失うのよ? どこでもいいじゃない」
あんたが言うなよ。
「私はそこまで悩むつもりはないわ。何となくここがいいと思ったとこに転生するわよ」
気楽だね。
「むしろ、あなたが気負い過ぎよ」
まあね、そうかもしれない。でも、僕はそう楽観的にはいかない理由があるんだよ。
「何よ? まだ何かあるの?」
さっき人の本質の話をしただろ?
「そうね」
転生した時に記憶も能力も引き継ぐ事が出来ないけど自分の本質は引き継ぐ事が出来るんだよ。魂は同じだからね。
「へえ、それで?」
僕の前世は勇者だったんだよ。
「ダウト!!」
嘘じゃない。証拠に勇者の刻印がある。ほら。
「…………刺青?」
違う。生まれつきだ。
「仮にそれが本当だとして、それが何で転生しない理由になるのよ?」
仮じゃねえよ……まあ、要するに僕の本質ってのが勇者体質ってものらしい。
「ふっ」
鼻で笑ってんじゃねえよ。これでも魔王を倒して世界を救ってるんだぞ?
「いや、でも何なの?勇者体質(笑)って」
取り敢えず、あんたが僕を馬鹿にしてるのはわかった。
「悪かったわよ。説明して、ね?」
……よくあるだろ? 魔王が誕生する時に一緒に勇者が誕生する。歴史は巡る! みたいな。その歴史と一緒に巡っている魂が俺みたいな勇者体質の魂らしい。
「へえ、じゃあ、もし私が死ぬ前にいた世界に転生したらどうなるのよ?」
さあ?世界征服を企む悪の組織と戦うんじゃないか?
「普通に悪い人は世界征服とか企まないと思うわ。無難に優秀な警察官かしら?」
勇者っぽくはないな。どっちかと言うと戦士だな。
「馬鹿にしないで? 警察官は立派な職業よ?」
馬鹿にしてないさ。戦士も立派な職業だ。僕の仲間にもいた。
「そっ。で、あなたは次に救う世界を迷ってるって事でいいのね?」
ま、そう言うこと。でも、どの世界も面白くない。この世界で勇者をしたいってならないんだよ。
「……贅沢な悩みね」
下らなくもあるけどね。
「はあ……何かムカつくわね……」
な、何でだよ?
「あんたが前世でどれほどの事をしたかは私は知らないけど、その世界の思い出を後生どころか死後まで大事にしてんじゃないわよ? 何が面白くないよ、何が勇者体質(笑)よ?」
え? え?
「本当に私の世界に転生してみなさい? そんな勇者体質(笑)のヤツが正義振りかざして見なさい。一瞬で虐められて引き籠もりニート確定よ。本質は出会った人によって変わるってあなたが言ったのよ? 偶々、前世で上手く行ったからって、勇者体質だからって次の人生も上手く行くと思うなよ!」
何でいきなりキレてんだよ?
「何時までも過去の栄光に酔ってるあなたが気に食わないのよ! 私は記憶が無いって言うのに! よし決めた、もう決めた。いろんな世界をみてから本当は決めようと思ってたけど来世の世界も決めたわ」
…………。
「喜びなさい、ついでにあなたの世界も決めてあげたわ」
勝手に決め……
「うるさい、聞きなさい」
っ!
「いい? あんたは私と同じ世界に転生しなさい? それでまた勇者でも何でも成ればいいわ」
それで何があるって言うんだよ? あんたはどうするんだ?
「私は魔王になるわ」
はあ?
「魔王になってあなたをコテンパンにして世界をボロボロに滅ぼしてやるわ。それであなたのその勇者体質(笑)を勇者体質(哀)に変えてやるわよ」
変わるか! そもそも(笑)でもねえ! 大体、魔王になるって、やろうとして出来る事じゃないだろ?
「出来るわよ。私を誰だと思ってるの?」
知らねえよ。お前も知らねえだろ。
「魔王になるくらい私なら雑作もないわよ。それとも何? ビビっちゃった?」
安い挑発……
「バーカ、バーカ、お前の母ちゃんでーべそ!」
子供か。
「うるさい、このチャンスを逃したらもうあんたは最強で最悪の魔王と戦えないのよ? 私が面白い世界をあんたの為に作ってあげるって言ってやってんの!」
何であんたがそこまで?
「私が転生するいい理由になったからよ。どこでもいいのよ私は。ムカつくあなたの勇者体質とか馬鹿みたいな名前したその本質をあたしが介入してメチャクチャにしたいって思っただけよ」
本質だけがその人を決める訳じゃないとは確かに言ったけどな……
「あなたは勇者体質っていう才能みたいな物があるけど私は1から魔王になるって言ってんのよ? どっちが大変だと思ってるのよ?」
いや、あんたのその性格……と言うか本質は十分魔王になる素質は有りそうだけどな。
「あら? じゃあ、いいでしょ?」
いやでも……
「イエスかノーかで答えなさい? もしノーなら意気地なしのあなたは指をくわえて私が世界を滅ぼすところを見ていなさい?」
どんどんセリフが魔王っぽく…………くそ、分かったよ。
「何がわかったのかしら?」
やってやるって事だよ! どんな世界より本当に魔王になった来世のあんたを倒せる世界が一番面白そうだからな!
「やっと、やる気になったわね。吠え面かかせてやるわ」
僕も記憶があるわけじゃないけど魂は何度も勇者をやってんだ。お前みたいなアマチュア魔王に負けるわけねえよ。
「それは来世に転生した後で聞くわ。力は言葉ではなく結果で示すものよ? それじゃあ早く転生しましょうか……ん、じゃあ適当に……この魔法と剣の世界でいいかしら?」
どこでもいいさ。
「じゃあ、ここにしましょ。ふふっ、来世で会った時は敵同士ね?」
今も割と近い感じだろ?
「もっと別の形で出逢っても私達は敵同士だったみたいね」
魔王になるって言うんだから、その位じゃないとな。
「確かにそうね。じゃあ無駄話はここまでにしましょ、後は来世で」
勇者と魔王がそんな気兼ねなく話せないだろ?
「なら最後のバトルで語り合いましょーーさて、じゃあ、もう本当に行きましょうか。どうすればいいの?」
行きたい世界を僕に言ってくれればいいよ。
「じゃあ、この世界ね?」
ん……
「それじゃあ魔王の玉座であなたを待ってるわ」
逃げんなよ? それじゃあ……て、あっ。
「なに?」
あ、いや、あの、盛り上がったとこ悪いんだけど……
「嫌な前置きね……」
今は一緒に転生出来ないんだった。
「何でよ! 2人で転生しないと意味ないでしょ!?」
今はだから! 今は!
「どういうこと?」
案内人は1人はここにいる必要があるんだよ。一度、案内人を引き受けたら次の誰かに引き継ぐまで転生が出来ないんだよ?
「あなた一度もそんな事を言ってなかったわよね?」
さっきまで雰囲気に流されて忘れてたんだよ。あんたが転送する前に思い出せて良かったよ。
「良くないでしょ! カッコつけて決め台詞を言ってたのが馬鹿みたいじゃない!」
それは僕も同じだ……
「元々あなたのミスでしょうが!」
悪かった……
「はあ……まあいいわ、言っても仕方ないし」
いいのか?
「駄目って言っても何か出来る訳じゃないでしょ? ま、ゆっくり次の引き継ぎを探しましょ? まあ、もし悪いと思うなら……」
思うなら?
「あなたの生きてた時の話を聞かせて頂戴? 勇者だったのなら小説が書ける程エピソードがあるでしょ?」
それ位ならいくらでも。
「その話からあなたの弱点を見つけてやるわ」
どうせ記憶を亡くすから無駄だって……
「冗談よ」
あんたは本当に…………じゃあ、魔王を倒す時の話だけど……
「何で最初の話からクライマックスなのよ!」
冗談だよ。
「ちっ」
舌打ちするなよ女の子が……ちょっと仕返ししただけだろ?
「来世まで呪ってやるわ」
転生する前から魔王みたいな事するなよ。
「私が魔王ならそんな甘っちょろい事しないわよ。じゃ、次は真面目に話しなさいよ?」
さらっと怖い事を言うなよ……それじゃあ、まず僕がいた世界がどんな世界だったかっと……おっ?
「どうしたの? ……て、あっ!」
仕事だな。転生者が来たぞ。話の続きはまた後で。
「私の異世界案内人としても初仕事ね」
そうだな。そんじゃあ、あん……
「あ、待って私が言うわ」
え? いや、構わないけど。
「それじゃ……」
「あなたは死んだわ!」
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