俺の許嫁は幼女!?

白狼

93話 家に帰ったあとも

 美優と別れたあと、家に帰り麗華に美優のことは誤魔化して友人の家に泊まってきたとだけ告げた。麗華は、俺にもう少し連絡は早くしてと注意するとどこか安心したような表情をして家事に戻っていった。
 俺は、自分の部屋に戻り昨日よく眠れなかったので少し眠ることにした。タイマーを昼ご飯の前にセットして瞼を落としてぐっすりと眠る。


「…………ん…………ちゃん…………」
「………ん………」
「お兄ちゃん!」
「っ!」


 俺は、麗華の呼び掛けとともに目を覚ます。


「ど、どうしたんだ、麗華?」
「どうしたんだ、じゃないよ。もう、夜の七時だよ?」
「え!?う、嘘!?タイマー、セットしたはずなのに!」


 俺は、タイマーをセットしておいた時計を見る。するとタイマーが止められていた形跡があった。


「…………麗華、止めた?」
「止めてないよ。お兄ちゃんが止めた後にまた寝たんじゃない?」
「ん〜、そうなのか?」
「私は、知らないよ。ところでお兄ちゃん、ご飯食べる?」
「あ、ああ、食べる……けど、その前に風呂に入ってくる。」
「分かった、じゃあ早く入ってきてね。せっかくのご飯が冷めちゃうから。」
「は〜い。」


 俺は、すぐに起き上がり風呂場へと行きパパっと入ってすぐに上がった。
 風呂から出たあと、リビングへと向かうと麗華がわざわざ夜ご飯を温め直していた。


「お兄ちゃん、ちょっと待っててね。あと、もう少しで終わるから。」


 麗華は、そう言って火を止め皿に盛り付けた。


「ごめんな、麗華。わざわざ温め直してくれて。」
「いいよ、お兄ちゃん。どうせ私も食べるんだから。あ、お兄ちゃん、箸と飲み物持ってきて。」
「分かった。」


 俺は、麗華に言われたとおり箸と飲み物、それとコップを持ってくる。
 そして、麗華と一緒に席に着き、合掌をしてから食べ始める。


「そういえば母さんは?」
「今日は遅くなるって。もしかしたら帰ってくるの明日の朝になるかもって。」
「へぇ、母さんが遅いのは珍しいな。」
「そうだね、まぁ、でも、このごろ忙しそうだったからね。」


 そんな雑談をしながら俺たちは、食事をしていく。
 そして、食事をし終わったら皿洗いを2人でする。


「別に手伝わなくてもよかったんだよ?」
「いつも麗華にだけさせてるからな。偶には手伝わないといけないからな。」
「そっか。ありがとう、お兄ちゃん。」
「俺の方こそ、いつもありがとな。」
「…………今日のお兄ちゃん、ちょっと変だね。」
「そうか?」
「うん、いつもならお礼なんてあんまり言わないから。何かあったの?」
「何も無かった……って言えば嘘になるな。」
「……そっか。」


 麗華は、それ以上詳しいことは聞いてこなかった。
 おそらく無意識のうちにだろうがお義父さんと話した後、少しずつ自分の今を変えなきゃいけないと思い始めたから俺は今、こうやって行動に移しているんだろう。
 食器を洗い終わったあと、俺たちはリビングでテレビを見たりしてゴロゴロとしてから10時半くらいに自分の部屋に戻って眠ることにした。


「………眠くないな。」


 俺は、ベットに横になったものの夜ご飯の前までずっと眠っていたので全く眠くないのだ。
 すると枕元に置いてあったスマホの画面が通知の音と共に明るくなった。
 アプリなどの報告の通知は全てオフにしているので通知が来たということは誰からか連絡が来たということだ。


「誰だろう?」


 俺は、そう呟きスマホ画面を見てみる。するとそこには何十件という通知が来ていた。


「な、なんだ、これ!?」


 俺は、驚きの声を上げ誰からの連絡か確かめる。
 その連絡の主の名前の欄には「美優」と書かれていた。


「なんだよ……美優か。」


 美優は、俺と別れたあとずっとラインで連絡してきていた。


「………これ、もしかして俺、美優からの連絡を無視してることになるのか……」


 俺は、ヤバいと思いすぐに既読をつける。
 美優のラインは、最初は楽しげな雰囲気が伝わってくるような連絡だったのだが今じゃもう「お兄ちゃん」の一言しか来てなかった。
 俺は、急いで「ごめん、美優と別れたあとずっと寝てて今さっきまでリビングにいたから気づかなかった」と打って送信した。
 すると美優からすぐに「そうだったんですね!お兄ちゃんから無視されていたんじゃなくて良かったです!」と嬉しそうな文面が返ってきた。
 俺ものその返事に「本当にごめんね。すぐにスマホを見るべきだったね。」と打って送信した。
 そして、そこから約1時間ほどラインを打ち続けた後に美優から「明日から学校があるので私はもう寝ますね。また、明日も連絡していいですか?」と来た。
 俺は「ああ、もちろんいいよ。おやすみ」と返した。
 最後に美優から「はい、おやすみなさい」と返ってきてそれを見てからラインを閉じて俺も眠ることにした。
 少しは、眠気も来たのでこれならきっと眠れるだろうと思いつつまぶたを閉じたのだった。

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