俺の許嫁は幼女!?

白狼

90話 そろそろ進路のことも考えようかな

「ぜひともうちの娘を幸せにしてくれ!」
「……………………え?」


 あれ?俺の予想していた答えと違うような………


「って、ちょ、それ、本気で言ってるんですか!?」


 俺は、慌てて問い質す。


「ああ、もちろん。そもそも私たちが反対するわけないだろ?君のことは昔からよく知ってるんだ。今のところ、私が一番いいと思う男は陽一くんだよ。」


 毎回思うのだがみんな、俺のことを過大評価しすぎなんじゃないだろうか。昔の俺、そんなにすごいやつだったのだろうか。


「ちゃ、ちゃんと考えてみてください。まず俺と美優との年の差。すごい離れてますよね?」
「ん?そうか?離れてると言ってもたかが7歳差だろ?それくらい大丈夫だろ。」


 和博さんも美優のお父さんもなんでそんなに年の差を気にしてないのだろうか。確かに歳が低い方はまだいいかもしれない。でも、7歳も離れている女の子と婚約したなんてしれたら俺の世間体は………


「まぁ、確かに陽一くんが気にしてることも分からないことは無いけど……でも、7歳差くらい少し珍しいだけで結構の数いるよ?」
「え、ええ、確かにそれは分かっているのですが……なんと言いますか、今の時点で婚約をすると学校での生活が少し面倒になると思いまして……」


 俺がそこまで言うと美優のお父さんは、何かを思い出したかのように「あっ」と口からこぼして俺にまた話を振ってきた。


「そういえば陽一くん、高校を出たあとの進路考えてる?」
「進路……ですか……」


 その手の話は正直すごい辛い。俺、勉強ができないから進学しようか就職しようか悩んでいるのだ。進学するなら今のうちに勉強を始めておかないといけない。そして、俺たちの代は運が悪いことにセンター試験が変わってしまい前まで全てマークシートだったのが今回から記述もあるのだと言ってきた。英語に関してはその試験の前に検定を取っておかないといけないという。
 ………………今から勉強して間に合うのだろうか。


「その様子だとあまり考えてないようだね。」


 美優のお父さんは、苦笑しながら俺の本心を見抜いてきた。


「まぁ、自分の進路を簡単に決めようなんてする方がおかしいんだ。それで陽一くん、もし、美優と本当に結婚する気があるのなら進学は無理だと考えてくれ。」


 美優のお父さんは、突如真面目な表情でそんなことを言ってきた。


「何かあるんですか?」
「まぁ、私もこれで色々と立場のある人間だからね。君が美優と結婚するなら私の跡継ぎを頼みたいのだ。というよりも跡を継いでもらわないといけない。それだけはちゃんと分かっていてくれ。」
「は、はぁ………」


 なんか、今言われても全く実感湧かないな。
 というよりもまだ美優と結婚するなんて決めてないからな。


「まぁ、美優との結婚を考えるときにこういうこともあるから、結婚のことだけを考えないで進路のこともちゃんと分かった上で考えてね。」


 お義母さんは、微笑んでそう言ってくれた。
 確かに結婚だけを考えてちゃダメってことなんだ。なるほど。


「分かりました。ちゃんとそういうことも考えた上で答えを出そうと思います。」
「うん、なるべくいい返事を期待してるから。」


 話が一段落するとリビングの扉が開き美優が入ってきた。


「あら、美優。話が終わるまで待っててくれたの?」
「はい、大切なお話のようでしたので。」
「そっか、ありがとね、美優。」
「お礼はいいのでお兄ちゃんをもう返してもらってもいいですか?」


 美優は、そう言うと俺の手を握り引っ張ってきた。


「おいおい、美優。お父さんが相手してもいいんだぞ?」
「大丈夫です。ほら、お兄ちゃん、もう行きましょ。」
「わ、分かったから引っ張るなって。」


 美優のお父さんは、娘に完全に相手にされなくてすごくしょぼくれていた。
 俺は、美優に腕を引っ張られ続けて美優の部屋まで来た。


「全く、お父さんもお母さんも勝手にお兄ちゃんを連れて行って。」


 美優は、俺を部屋に座らせるとまだ少し濡れている髪を乾かすためにドライヤー取ってきた。その際、だいぶ愚痴をこぼしていたが。


「お兄ちゃん、すいません。少しうるさくなりますね。」
「ああ、別に構わない……あ、俺が乾かしてあげよっか?」
「え?お兄ちゃんが?いいんですか?」
「もちろん。ほら、ドライヤー貸して。」


 俺は、美優からドライヤーを借りるとあぐらをかいて座りそこへ美優を呼ぶ。


「ほら、ここに座って。」
「あ………は、はい。それでは……失礼します。」


 美優は、少し恥ずかしそうに頬を染めて俺の膝の上に座った。
 俺は、それからドライヤーの電源を入れてまずは暖かい風ではなく冷たい風を送る。そうしないと髪が傷んでしまうから。
 そして、ドライヤーをしながら近くにあった櫛を取り美優の髪を整える。


「お兄ちゃん、上手ですね。」
「まぁ、一応妹にもよくしてやっていたからな。結構慣れてるんだよ。」
「むぅ〜、妹さんが羨ましいです。」


 美優は、頬を膨らませている。
 俺は、そんな美優に苦笑しながらドライヤーをかけていく。


「よし、これくらいでいいかな。」
「………完璧です!お兄ちゃん!」


 美優は、自分の髪の毛に触れて全然水気がないことが分かり目をキラキラとさせた。


「さてと、そろそろもういい時間だし寝ようか。」


 時計を見てみるともう、11時を過ぎていた。


「もう寝ちゃうんですか〜。」


 美優は、明らかに嫌そうだった。
 俺は、そんな美優をなだめるように手を握った。


「ほら、美優が寝るまでこうやって離れないようにしてたらいいんだっけ?」
「あぅ……確かにお願いしたのは私ですからね。少し恥ずかしいけどそれ以上に嬉しいのでこのままでお願いします。」
「はいよ。それじゃ、ベットまで行くぞ。」


 俺は、そう言って美優をベットまで促した。
 それから美優は、色々と話を掛けてきたが11時半になる頃にはもうぐっすりと眠っていた。
 俺は、そっと美優の手を離した。


「あ………」


 すると美優は、少し寂しそうな声を出した。
 俺は、それに少し引きずられてしまったのか最後に美優の頭を優しく撫でた。


「…………………そういえば俺、どこに寝たらいいんだろ……」


 俺は、今日の寝床の場所を聞いてなくてどこで寝ればいいのか分からない。しかも、それを聞こうにも廊下に出てみたら今さっきまで明るかったリビングが真っ暗になっていて恐らくお義父さんもお義母さんも寝たのだろう。
 …………………美優の部屋で寝るのか。


「……………ははっ」


 俺は、苦笑いを浮かべて美優の頭を撫でるのであった。

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