鬼の魔法使いは秘密主義

瀬戸暁斗

プロローグ

 世界には2種類の人間がいる。力を持つ者とそうでない者だ。

 2800年代半ばに起こった第三次世界大戦。
 主に核兵器が攻撃手段となっていたのだが、大戦を終結に導いたのは、各国が秘密裏に研究を進めていた「魔法」であった。

 魔法は、超能力や超常現象などからそのメカニズムの解明、そしてその有効活用を目的に研究されていた。
 しかし戦争が始まると、そのような目的はすぐに変化してしまう。
 戦争という状況から必然的に、敵国へ打撃を与えること、魔法を使って戦争に勝つ事へと魔法研究の目的は変わっていった。
 この事実から、魔法は力であり脅威となり得るものとなっていったのである。






 西暦3000年。
 戦争が終わった社会では、魔法は攻撃だけでなく、日々の生活をより良くするためにも使われるようになっていた。

 過去の大戦では中立の立場をとっていた日本だったが、現在では世界屈指の魔法技術大国となっていた。
 日本では超能力の研究だけでなく、古来から存在したとされていた妖怪も魔法の1つとして研究されていた。
 日本独自の妖怪という概念から派生した技術で、魔法でも世界に遅れをとることがなかったのである。
 しかし、日本が世界のトップに立った訳ではない。

 政府は他国からの魔法による攻撃を恐れ、優秀な魔法使いを育成するため、各地に国立の魔法高校、大学を作り素質のある人材の確保を図った。
 また、火、水、風、土、雷、光、闇の7つの魔法属性を名前に持つ、それぞれの属性で最も力のある7つの家系を「七元素エレメンツ」と呼び、日本魔法界の頂点とした。
 こうして、国外に対して優秀な魔法使いを育て、国内の魔法使いの反乱を抑えるための社会を作り上げた。






  そんな魔法が重視される風潮の中、個性豊かな新入生達が魔法高校へ入学しようとしていたのであった。

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