『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
技とは、それ即ち愛である
 ≪致命的な一撃≫
衝撃を相手の体内へ直接打ち込む一撃必殺。
例えるなら、むき出しの脳を直接殴るのに等しい攻撃だ。
だから――――
「勝った!」
そう勝利を確信した魔王。
それを、その無防備になった一瞬を油断だと責めるのは、あまりにも不憫だ。
ベルトの強烈な踏み込みと共に放たれた上段回し蹴り。
膝から崩れ落ち、それでも戦おうと魔王は顔を上げる。
そこに強烈な膝蹴りが叩き込まれた。
2発ともに攻撃は≪致命的な一撃≫。
通常なら戦い続ける事は不可能。それでも、魔王は立ち上がった。
「――――なぜ?」
そう問う魔王の口からは一筋の血がこぼれ落ち、そして吐血。
「あの一撃を受けて、なぜ、動ける?」
「≪致命的な一撃≫は衝撃で攻撃するスキル……だから、別の衝撃を体内に打ち込んで相殺した」
「いつ、そんな! ……いや、蹴りを放つ前の踏み込み。あれか? あれだけの動作で破れる技だったのか?」
「いや、身につけたのは最近だ。 お前の部下……ラインハルトが俺と同じ技を使うから、対策に身につけた」
「あぁ、やはりアレか。隠し玉と隠さず使ってしまったツケが回ってきたのか……」
「なぁ、暗殺者」と魔王。
「なんだ? 魔王」とベルト。
「どうしてだ? お前よりも高いスペックの肉体。それに加えて同等の技術を身につけている。それなのに、どうしてお前の方が強い?」
「なんだ、そんな簡単な事か。 それはお前が他者から奪った物であってお前が築きあげてきた物ではないからだ」
「……それは、どういう事だ?」
「肉体が技を覚えている。記憶が技と覚えている。それだけじゃ生きている技と言えない。死んだ技だ」
「死んだ……死んだ技?」
「鍛錬を積み、血肉のように身につけた技。 それは自信と信頼となり、技のキレに変化を生み出す。すなわち……」
「すなわち?」
「技とは愛だ」
「……」と魔王は言葉を止めた。
その表情は「何言っているんだ? コイツ?」と言っているように見える。
向かい合う両者に微妙な空気感が生まれ――――
魔王は笑った。
いつものような笑いではなく、不思議と楽しげで――――
楽しくてたまらないというように――――
腹を抱えて涙を見せてるくらいの大爆笑だった。
「わらった。わらった。 ここまで純粋に笑えたの数千年ぶりだ。
……ん? どうした? あぁ、言っていなかった。 私の年齢はそんなもんだよ。 数千年間、魔王のふりをして生きてきた。だから――――
万が一、ここで私が死んだら、今度はお前の子供に生まれ変わりたいな」
「……」と驚いた表情のベルトは次の言葉が思いつかなかった。
「何を呆けている? 負けたらの話よ。まだまだ勝負はこれから……ってやつでしょ?
私の技が所詮は他人からの借り物で……愛を知らないというなら……
来世では、お前の子供に転生するから……愛を教えてくれ」
その言葉は真摯のものであり、嘘偽りがないと伝わってくる。
そして、魔王はこう続ける。
私は失われた愛という感情を知りたい……お前とカレンの子供……いや、聖女の子供でも、あの貴族との子供で別に構わないが……いやいや、誤魔化すな。 いまさら、送られている好意に気づかぬほど……え? 気づいてないの? マジで?」
衝撃を相手の体内へ直接打ち込む一撃必殺。
例えるなら、むき出しの脳を直接殴るのに等しい攻撃だ。
だから――――
「勝った!」
そう勝利を確信した魔王。
それを、その無防備になった一瞬を油断だと責めるのは、あまりにも不憫だ。
ベルトの強烈な踏み込みと共に放たれた上段回し蹴り。
膝から崩れ落ち、それでも戦おうと魔王は顔を上げる。
そこに強烈な膝蹴りが叩き込まれた。
2発ともに攻撃は≪致命的な一撃≫。
通常なら戦い続ける事は不可能。それでも、魔王は立ち上がった。
「――――なぜ?」
そう問う魔王の口からは一筋の血がこぼれ落ち、そして吐血。
「あの一撃を受けて、なぜ、動ける?」
「≪致命的な一撃≫は衝撃で攻撃するスキル……だから、別の衝撃を体内に打ち込んで相殺した」
「いつ、そんな! ……いや、蹴りを放つ前の踏み込み。あれか? あれだけの動作で破れる技だったのか?」
「いや、身につけたのは最近だ。 お前の部下……ラインハルトが俺と同じ技を使うから、対策に身につけた」
「あぁ、やはりアレか。隠し玉と隠さず使ってしまったツケが回ってきたのか……」
「なぁ、暗殺者」と魔王。
「なんだ? 魔王」とベルト。
「どうしてだ? お前よりも高いスペックの肉体。それに加えて同等の技術を身につけている。それなのに、どうしてお前の方が強い?」
「なんだ、そんな簡単な事か。 それはお前が他者から奪った物であってお前が築きあげてきた物ではないからだ」
「……それは、どういう事だ?」
「肉体が技を覚えている。記憶が技と覚えている。それだけじゃ生きている技と言えない。死んだ技だ」
「死んだ……死んだ技?」
「鍛錬を積み、血肉のように身につけた技。 それは自信と信頼となり、技のキレに変化を生み出す。すなわち……」
「すなわち?」
「技とは愛だ」
「……」と魔王は言葉を止めた。
その表情は「何言っているんだ? コイツ?」と言っているように見える。
向かい合う両者に微妙な空気感が生まれ――――
魔王は笑った。
いつものような笑いではなく、不思議と楽しげで――――
楽しくてたまらないというように――――
腹を抱えて涙を見せてるくらいの大爆笑だった。
「わらった。わらった。 ここまで純粋に笑えたの数千年ぶりだ。
……ん? どうした? あぁ、言っていなかった。 私の年齢はそんなもんだよ。 数千年間、魔王のふりをして生きてきた。だから――――
万が一、ここで私が死んだら、今度はお前の子供に生まれ変わりたいな」
「……」と驚いた表情のベルトは次の言葉が思いつかなかった。
「何を呆けている? 負けたらの話よ。まだまだ勝負はこれから……ってやつでしょ?
私の技が所詮は他人からの借り物で……愛を知らないというなら……
来世では、お前の子供に転生するから……愛を教えてくれ」
その言葉は真摯のものであり、嘘偽りがないと伝わってくる。
そして、魔王はこう続ける。
私は失われた愛という感情を知りたい……お前とカレンの子供……いや、聖女の子供でも、あの貴族との子供で別に構わないが……いやいや、誤魔化すな。 いまさら、送られている好意に気づかぬほど……え? 気づいてないの? マジで?」
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