『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
幕間③ 謎の少年
村の入り口。その小さな柵にもたれていたの少年だった。
メイルよりも年齢は幼そうで冒険者風の装備。
まだ体に馴染み切っていない大きめの鎧。きっと新米冒険者なのだろう。
しかし、様子を見るために近づいたメイルは「――――ッ!?」と絶句した。
少年の顔は酷く汚れていた。 しかも、それはただの汚れではなく血がこびりついたもの……
そして、その足元の広がっている黒い影。 そう見えていたのは血液だった。
その小さな体のどこにそれほどの血が詰まっていたのだろうか?
血でできた水たまりに溺れているようにも見えて……
そこでメイルは気がついた。少年の胸が僅かだが、確かに上下しているのを。
「まだ、息があります!」
正気を取り戻したメイルは自身が汚れるのも構わず、少年を抱きかかえると回復呪文をかける。
傷口は見る見る内に塞がっていく。しかし、大量に紛失した血液までは呪文で元には戻らない。
大量出血。 その危険性が脳裏に過ぎる。
「誰か、手を貸してください。 この村の医者さまを、あるいは回復魔法の使える神父さまを呼んでください!」
ここは村であり、遠くからメイルと少年の様子を窺う村人たちは少なくはなかった。
しかし、メイルの声を聴いた途端に家に入り、ピシャリと窓と扉を閉めた。
「そんな……」とメイルは信じられなかった。
心に黒い靄がかかり、ヒタヒタと絶望の足跡が聞こえてくるようだった。
しかし、少年からは弱っていても強く生きようとする感情が呪文を通じてメイルにも伝わってくる。
「まだ……まだ諦めません!」
メイルの魔力が増していく。
魔法とは強い精神力によるもの。感情の振れ幅によっては、同じ魔法でも別種のように効果や威力が変わる事もある。
まだ未熟と言ってもいいメイルの魔法は、感情によって効果の上昇は激しい。
……無論、その代償は大きい。
薄れていく意識を反比例して膨張していく魔法。あるいは魔力の暴走に等しいそれは適切に少年の命を繋いだ。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
メイルは目覚める。
そこはベッドの上。知らない天井と知らない部屋。
「ここは……教会ですかね?」
しかし、聖水によって清められた空気は彼女のよく知るものだった。
意識を失った自分を誰かが教会へ運んだのだろうとメイルは判断した。
そうなってくると――――
「その少年はどうなったのでしょうか?」
確かに手応えはあった。零れ落ちていく命をすくいあげた感覚が残っている。
メイルはベッドから抜け出すとフラフラと教会内を歩き始めた。
すると――――
「あ、あの大丈夫ですか?」と声をかけらた。
この教会の修道女なのだろう。妙齢の女性だった。
メイルよりも年齢は幼そうで冒険者風の装備。
まだ体に馴染み切っていない大きめの鎧。きっと新米冒険者なのだろう。
しかし、様子を見るために近づいたメイルは「――――ッ!?」と絶句した。
少年の顔は酷く汚れていた。 しかも、それはただの汚れではなく血がこびりついたもの……
そして、その足元の広がっている黒い影。 そう見えていたのは血液だった。
その小さな体のどこにそれほどの血が詰まっていたのだろうか?
血でできた水たまりに溺れているようにも見えて……
そこでメイルは気がついた。少年の胸が僅かだが、確かに上下しているのを。
「まだ、息があります!」
正気を取り戻したメイルは自身が汚れるのも構わず、少年を抱きかかえると回復呪文をかける。
傷口は見る見る内に塞がっていく。しかし、大量に紛失した血液までは呪文で元には戻らない。
大量出血。 その危険性が脳裏に過ぎる。
「誰か、手を貸してください。 この村の医者さまを、あるいは回復魔法の使える神父さまを呼んでください!」
ここは村であり、遠くからメイルと少年の様子を窺う村人たちは少なくはなかった。
しかし、メイルの声を聴いた途端に家に入り、ピシャリと窓と扉を閉めた。
「そんな……」とメイルは信じられなかった。
心に黒い靄がかかり、ヒタヒタと絶望の足跡が聞こえてくるようだった。
しかし、少年からは弱っていても強く生きようとする感情が呪文を通じてメイルにも伝わってくる。
「まだ……まだ諦めません!」
メイルの魔力が増していく。
魔法とは強い精神力によるもの。感情の振れ幅によっては、同じ魔法でも別種のように効果や威力が変わる事もある。
まだ未熟と言ってもいいメイルの魔法は、感情によって効果の上昇は激しい。
……無論、その代償は大きい。
薄れていく意識を反比例して膨張していく魔法。あるいは魔力の暴走に等しいそれは適切に少年の命を繋いだ。
・・・
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メイルは目覚める。
そこはベッドの上。知らない天井と知らない部屋。
「ここは……教会ですかね?」
しかし、聖水によって清められた空気は彼女のよく知るものだった。
意識を失った自分を誰かが教会へ運んだのだろうとメイルは判断した。
そうなってくると――――
「その少年はどうなったのでしょうか?」
確かに手応えはあった。零れ落ちていく命をすくいあげた感覚が残っている。
メイルはベッドから抜け出すとフラフラと教会内を歩き始めた。
すると――――
「あ、あの大丈夫ですか?」と声をかけらた。
この教会の修道女なのだろう。妙齢の女性だった。
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