『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』

チョーカー

―――ここではないどこか―――


  ―――ここではないどこか――――


 フェリックスが姿を現し「ルークが先に逝きました」と報告がおこわなれた。

 「……」と魔王は無言で報告を受けた。その表情からは内面は窺い知れない。


 「不死身が一番に逝く……か」


 やがて誰に聞かせるわけでもなく、ポツリと呟いた。


 「なぁ、フェリックス。アイツは死にたがっていたんじゃないのか?」

 「わかりかねます。常人なら兎も角、武人の心情なんぞ私には遠いものなので……」


 「それと」とフェリックスは付け加える。


 「ルークの魂がダンジョンに定着しました」


 その言葉は魔王に取っても想定外だったらしく「なに!」と勢いよく椅子から立ち上がった。


 「ままならぬものだな。ここに来て計画が成功するとは……」

 「おそらく、ルークの忠義心ゆえの成功かと」


 「はっはっは……」を魔王は力なく笑う。


 「遊戯で立てた計画が忠臣の死によって完成させたか。……ならばよし。フェリックスよ。ルークの計画を引き継げ――――」


  「直ちに……残された竜王アンデッド化計画・・・・・・・・・・。必ず、やり遂げてみせましょうぞ」

  

 『竜王アンデッド化計画』


 ルークの本体を心臓代わりにして、地下資源である化石燃料を汲み上げ、竜王の死骸に血液に見立て循環させる。

 死骸となり、ダンジョンに成り果てた竜王の擬似的な復活劇。

 それが魔王たちの思惑の1つだった……

 そして、もう1つの思惑は――――

 
 「それで首尾はどうだ?」


 「気づかれてはいないかと……」というフェリックスは一度、姿を消した。

 それも一瞬の事。再び姿を現したフェリックスの肉体は変化していた。

 その姿は――――

 不死騎手アンデッドライダー


 「うむ……まるで別人だな」

 「はい、人格そのものを新たに作り直した。ベルトの≪致命的な一撃クリティカルストライク≫でも、正体を掴めることはないでしょう」

 「しかし……その結果、ルークを倒すための武器を与えることになりましたが……」とフェリックスは続けた。
 それに対して魔王は――――

 「それは結果論にすぎぬ。それに……」

 「それに?」

 「先ほども言ったが、ワシにはルークが死に場所を探していたように見えた。不死身ゆえに死へ憧れていたのかもしれぬ……そんなあやつが、存在を滅ぼされ、あらたな竜王として蘇ろうとしているのは……皮肉と言うものだな」

 小さく笑う魔王の心情を読めず、フェリックスは「……」と沈黙を続けた。

 
 
 
 
 
 

 

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