『元SSSランクの最強暗殺者は再び無双する』
最上階にて――――再開の再会
話は終わった。
結局、正攻法はダメ。ならば、第五迷宮が開かれる儀式の日に忍び込むという流れだ。
ひとまず解散。 ベルトたちは宿所ホテルに向かい、ソルは仮設テントで休む事になった。
ベルトたちの宿所はオリガスの中では地味な方……とは言え、城をモチーフにして全体をピンク色に塗りたくった建物だった。
なりやら、いかがわしい雰囲気を醸し出しているのは気のせいだろうか?
しかし、流石は貴族と言うべきか。マリアが手配していた部屋は最上階。
さらに言えば最上階の全ての部屋を借りていた。ワンフロア貸切というやつだ。
「というわけで、私とベルトは同じ部屋です。あっ!そうでしたわ。伝え忘れていましたが、メイルさんは下の階に部屋をとっていますのであしからず」とマリア。
「なっ! 何を考えているのですか! よりにもよって嫁入り前の貴族さまが男性と同衾なんて許されませんよ!」とメイルはそのまま胸に手を当てながら――――
「義兄さんは私と家族水入らず、同室で過ごすのが自然の流れてと言うものでしょう」
「あら? そんな健やかな顔して内面は色ボケ聖女なのがバレバレでしてよ」
今日、何度目か視殺戦。
バチバチと不可視のなにかが反発し合う幻聴が聞こえる。
「ベルトは私とメイルのどちらを選ぶの? 考えるまでもないわよね?」
「義兄さん!」
ベルトは脳裏に選択肢が浮かんだ。
彼が選んだのは――――
「マリアの部屋だな」
「え?」とマリアとメイルは同時に驚きを声にした。
「……義兄さん」
「え? ちょっと本気なの? まだ本当は心の準備が……」
「いや、マリアにも護衛が必要だろ? 最上階を貸しきってる3人とも近くにいた方が……」
そう言いかけたベルトだったが、女性2人から特別な意味を込められた視線に言葉を止めた。
「義兄さん! メイルは義兄さんの事を信じてました」
「お、おう、よくわからんが……そうか」
「ベルト、よくも踏みにじってくれたわね」
「お、おう。よくわからんが……すまない」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
半透明の箱。おそらく、人間が15人は立ったまま入れるようになっている。
箱に入ると内臓されている魔石から魔力が噴出し、最上階まで押し昇っていく。
その最中、半透明ということもあってオリガスの風景が――――日も沈み、魔石のよる光が奇妙な美しさを生み出している。
「……すごい」とため息混じりに呟いたのはメイルとマリアのどちらだろうか?
自然の美しさとも、芸術品の美しさとも違う。
人の英知が生み出した結晶が風景として美しさを付加させているかもしれない。
チンとベル音が鳴り響き、箱が開いた。
最上階に到着した。
旅の疲れもあってか、自然と部屋に向う足取りが速まっている。
そんな2人はベルトは止めた。
「誰かいる」
殺気も敵愾心もない。
宿舎の従業員が待機していると言われれば信じていたであろう。
だが、ソイツは気配を隠していない。
好意的だが、好戦的でもある。そんな気配だ。
ベルトはソイツがいる部屋のドアは開いた。
ソイツは部屋の奥。窓際に立ち星空を見上げていた。
「時々、俺は思うんだ。無限に広がる広大な宇宙の星空は……なんて小さいんだと。俺様と比べれば、宇宙に輝く星々なんぞ砂粒程度の大きさでしかない」
スラリと伸びた手足。
ベルトよりも頭1つ分は身長が高い。
一見すると細身であるがベルトは知っていた。
その内側には研磨された筋肉が収納されているという事を……
なぜなら、その男はかつてベルトに敗北を与えた闘技者本人だったからだ。
「久しいな、ベルト。元気そうでよかった」
男は――――闘技者は柔和な笑みを浮かべていた。
結局、正攻法はダメ。ならば、第五迷宮が開かれる儀式の日に忍び込むという流れだ。
ひとまず解散。 ベルトたちは宿所ホテルに向かい、ソルは仮設テントで休む事になった。
ベルトたちの宿所はオリガスの中では地味な方……とは言え、城をモチーフにして全体をピンク色に塗りたくった建物だった。
なりやら、いかがわしい雰囲気を醸し出しているのは気のせいだろうか?
しかし、流石は貴族と言うべきか。マリアが手配していた部屋は最上階。
さらに言えば最上階の全ての部屋を借りていた。ワンフロア貸切というやつだ。
「というわけで、私とベルトは同じ部屋です。あっ!そうでしたわ。伝え忘れていましたが、メイルさんは下の階に部屋をとっていますのであしからず」とマリア。
「なっ! 何を考えているのですか! よりにもよって嫁入り前の貴族さまが男性と同衾なんて許されませんよ!」とメイルはそのまま胸に手を当てながら――――
「義兄さんは私と家族水入らず、同室で過ごすのが自然の流れてと言うものでしょう」
「あら? そんな健やかな顔して内面は色ボケ聖女なのがバレバレでしてよ」
今日、何度目か視殺戦。
バチバチと不可視のなにかが反発し合う幻聴が聞こえる。
「ベルトは私とメイルのどちらを選ぶの? 考えるまでもないわよね?」
「義兄さん!」
ベルトは脳裏に選択肢が浮かんだ。
彼が選んだのは――――
「マリアの部屋だな」
「え?」とマリアとメイルは同時に驚きを声にした。
「……義兄さん」
「え? ちょっと本気なの? まだ本当は心の準備が……」
「いや、マリアにも護衛が必要だろ? 最上階を貸しきってる3人とも近くにいた方が……」
そう言いかけたベルトだったが、女性2人から特別な意味を込められた視線に言葉を止めた。
「義兄さん! メイルは義兄さんの事を信じてました」
「お、おう、よくわからんが……そうか」
「ベルト、よくも踏みにじってくれたわね」
「お、おう。よくわからんが……すまない」
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
半透明の箱。おそらく、人間が15人は立ったまま入れるようになっている。
箱に入ると内臓されている魔石から魔力が噴出し、最上階まで押し昇っていく。
その最中、半透明ということもあってオリガスの風景が――――日も沈み、魔石のよる光が奇妙な美しさを生み出している。
「……すごい」とため息混じりに呟いたのはメイルとマリアのどちらだろうか?
自然の美しさとも、芸術品の美しさとも違う。
人の英知が生み出した結晶が風景として美しさを付加させているかもしれない。
チンとベル音が鳴り響き、箱が開いた。
最上階に到着した。
旅の疲れもあってか、自然と部屋に向う足取りが速まっている。
そんな2人はベルトは止めた。
「誰かいる」
殺気も敵愾心もない。
宿舎の従業員が待機していると言われれば信じていたであろう。
だが、ソイツは気配を隠していない。
好意的だが、好戦的でもある。そんな気配だ。
ベルトはソイツがいる部屋のドアは開いた。
ソイツは部屋の奥。窓際に立ち星空を見上げていた。
「時々、俺は思うんだ。無限に広がる広大な宇宙の星空は……なんて小さいんだと。俺様と比べれば、宇宙に輝く星々なんぞ砂粒程度の大きさでしかない」
スラリと伸びた手足。
ベルトよりも頭1つ分は身長が高い。
一見すると細身であるがベルトは知っていた。
その内側には研磨された筋肉が収納されているという事を……
なぜなら、その男はかつてベルトに敗北を与えた闘技者本人だったからだ。
「久しいな、ベルト。元気そうでよかった」
男は――――闘技者は柔和な笑みを浮かべていた。
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