R.
R. -第一章 全ての始まり03-
〜♪♪
授業の終わりわ知らせる聞きなれない音色が校内を響く。ガタガタと椅子を引きずりクラスにいる皆が席を立つ。すると女の子がゾロゾロと私の方に近づくのが分かった。
「ヤっほ〜夜羽ちゃん」
「夜羽ちゃんどこに住んでたのー?」
「制服ちょー似合ってて可愛い〜」
色んな方面から疑問の声を聞き私は少し言葉が詰まる。
「えっと……私は…」
すると横からハルが心配そうに顔を覗く。
「ごめん皆。夜羽ちゃん私が校内案内しなきゃ行けなくてさ。だよね委員長?」
と片手で謝る素振りをして委員長とやらの人に顔をむける。どうやらこのクラスの委員長はAIの子らしい。
「ソうですね。ハルさん、アりがとう。ヨろしくお願いしますね。」
そうなんだと席の前に居た複数人の女の子たちは言い私から離れた。感謝を言おうと少し離れた席にいる委員長と目を合わすとすぐに目を背けられてしまった。それと引き換えに委員長の奥にいた男と目が合う。目が吊っていて睨むように見てくる。委員長とは違く私から目を離さなかった。私は咄嗟に目を離すと助けてくれた横にいるハルに礼を言うことにした。
「ハ、ハルさんありがとう。私少し人見知りするから…」
人差し指で頬を撫で目を合わせず感謝の言葉を述べる私の姿を見てハルは笑いながら話した。
「ハルさん?あははっ、ハルでいいよ。その代わり私も夜羽って呼んでいい?」
「ごめんって、そんなにいつまでも笑わないでよ。分かったよハルよろしくね。」
ハルは私が敬称をつけて呼ぶことにとても面白がっていたがこうして短い間私はハルと笑いあった。
「そんで、ここが3-Aっと……」
そう言うとハルは歩き疲れたのか窓の外の桜吹雪を見る。
私はハルに一通り校内を案内され改めて教室へと戻ってきた。思ってた以上にこの学校は広かった。
「ハル、ありがとう。後でジュース奢るね」
ハルに並び私もピンク色に染った窓の外を眺める。朝にはあんなに不安になっていたが案外心配する程でも無かったのかも知れない。あの時寄ってきた子達も私に気軽に接してきてくれたし…。何よりハルが気にかけてくれてくれたのがとても嬉しかった。廊下は新学期を迎えた子達が溢れかえっていてとてもガヤガヤしていて私にはとても聞いていられなかった。教室に戻ろうとハルに声を掛け足を進めると視界が真っ暗になった。
…
あれ……私は何をしていたんだっけ…
周りは光はなく暗闇だった。自分の体すら見る事は出来ずにいて置かれている状況を理解できない。見渡すことも音を聞くことも出来ないし声を発する事も出来ない。
…すると前から誰かが来るのが分かった。音も聞こえないのに何故か、私には分かった。足元から少しずつ姿が顕になる。どこかの制服を着ていて性別は男…10代後半の様で体格は男とか思えない程弱々しい。私が少し手を上げればすぐに倒せそうだ……って、私は何を分析しているのだ?
顔が見えるようになって気づく。こいつは…
……お前は…
「…」
何を言っている?口を開き何かを言っているように見えるが私は聞こえない、せめてハッキリ口を動かしてくれ。
…
もど……れ…?
私がここに来てはいけなかったというのか?知り合いでもないのになぜそんな事が言えるのだ?…
お前……何故笑っているのだ?
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