R.
R. -第一章 全ての始まり02-
「さあみんな席について!」
神栖先生がクラスに入るとざわざわと声がした。
「神栖先生が担任だ!」「神栖先生とかラッキー!」「最後の年で神栖先生は良いなぁ」…神栖先生はどうやら人気者らしい。確かに容姿はとても綺麗で可愛らしいので人気があるのもよく分かる。静かになった教室に柔らかい声が通る。
「おはようございます。3-A担任の神栖那世です。まずは新しいクラスに新しい仲間、とても楽しみな事が沢山あると思うわ。」
先生はカツカツと黒板に文字を書き新年について話し始めた。
少し時間が経ってから気づく……私、忘れられてる?話が終わらないので切り出すタイミングがなく教室の扉をノックする。
コンコン
「あら?何かしら、少し待ってね」
というと再び教室がざわめく。先生が扉を開けて私を確認すると大きな声で「あっ!!」と言い扉を閉じた。少し隙間が空いていたので覗くと先生は教卓に戻り掌をおでこに当て俯いて話す。
「はぁ……、話に夢中ですっかり忘れてしまっていたことがあるんだけれど…」
「ナんだなんだ?」「まだ話し続くのー?」私は勿体ぶられてる気がしてとても恥ずかしくなった。……帰りたい。博士助けてぇ…。
下らないことを考えていると急に目の前の扉がガラッと空いて1番前に座っていた女の子と目が合う。
「こんな時期で大変ですが転校生が来ました〜!拍手〜!」
…最悪の初日だ。こんな派手に拍手までされて出迎えられるなんて。恥ずかしさで顔が火傷しそうになりながら教卓の横へ立つ。先生が黒板に名前を書いてくれている間私は教室を見渡した。全員が私に注目している姿をみて更に顔が熱くなった。
「双葉夜羽さんです!皆高3で周りは友達ばかりでしょうけど夜羽さんとも仲良くするのよー!」
ほらと背中を叩かれる。これは挨拶しろという事だろうか……。
「あ、えと双葉夜羽です。と、都会から来ました。よろしくお願いします…。」
自分でも驚くほど震えていて思うように声が出なかった。
「よろしくねー!」「カわいい!」「こんな時期に転校?」色んな声が混じり困惑していると
「夜羽さんの席はあそこね。」
と肩に手を当て指をさして教えてくれた。私はその席へゆっくりと向かう。
「ハルちゃん夜羽さんに色々教えてあげてね!」
どうやら私の隣の席の女の子はハルと言うらしい。見るからに怖そうな容姿だったので私は出来るだけ関わらないようにしようと思った。
カタンとイスを引き席へ座ると
「双葉…夜羽さん、よろしくね」
と笑顔になり小声で手を添えて話しかけてきた。
それを見て案外人を見かけで判断するのは良くないのかもと思った。……私って結構単純?
続
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