R.
R. -プロローグ05-
えーっと…なになに……?
私はペラペラと流し読みながら大事な書類とやらを捲っていく。文字だけが並び続ける中に一つだけ描かれていたものがあった。人間と思われる絵が凄まじいオーラか何かを放っている。
「魂の抽出…大規模計画……?」
眉を八の字にして困惑していると手に持っていた書類が一瞬にして姿を消した。後ろを振り向くと博士が書類を手にする姿が見えた。読むのに必死で博士の目を気にするのを忘れていた。
「あっ博士…ご、ごめんなさい……」
すると博士は落ち着いた様子でその書類をダンボールの中に詰めて再び椅子に座る。
「いやいいんだ。この書類は今まで研究してきたまとめみたいな物なんだ。とても大切にしていてね。引越し先でも大切に扱わなければいけないんだ。」
博士も自分の机の上の物を座りながらダンボールに荷物を詰める。私は好奇心だったからと言って悪いことをしてしまったと思った。
博士と会話をしながら丁寧に作業をしていく。ある程度荷物を詰み終わると博士が「よしっ!」と手を打った。
「ありがとう夜羽!お陰で大分片付いたよ。私はもう少し仕事をしていくから夜羽は帰って構わないよ。おにぎりもありがとうね。」
「ふぅーちょっと疲れちゃった。お疲れ様。白雲博士。」
私は博士を背にし顔に滴る汗を拭いていると博士が「夜羽、見て見て」と声をかけた。振り向くとそこには博士は製作途中のチェルシーの顔部分を持ちコンピューターを繋いで言葉を発せさせた。
「アリガトウ  ヨハネ  アリガトウ」
まるで小動物のような動物を見たかのように微笑ましく思えて私は堪らなかった。
「可愛い!まだ製作途中なのに話せるんだね〜早く完成するんだよ〜!白雲博士ありがとう!チェルシーもありがとうね。またなにかあったら連絡してね!」
「あははっ 分かったよ。今日は本当にありがとうね。」
「うん!」と手を振り私は部屋を出た。
待ち受ける天音島で起こる事件の真相をこの時の私はまだ知る由もなかった。
そして
---私自身のことも。
続
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