チートじみた転生ボーナスを全て相棒に捧げた召喚士の俺は、この異世界を全力で無双する。

ジェス64

第19話、うるせぇ、行こう!(ズドドドドドド

前回の絶楽異転移絶対に楽しい!異世界転移の略だが、無理があるだろう。とてもじゃないが人に見せられる略し方では無い……出て行ってくれ。フッ…そいつはどうかな?なにィ…?まさか貴様、まだ奥の手や切り札があると言うのか!?あぁそうさ!また三日後にここに来てみな、最高の略し方を披露するぜ!じゃあなオッサン!(敗走

リっちゃん「処刑されてしまうぞ!!」

 以上!




「えーっと……何で処刑されるの?この国特有のギルティがあるの?それともこの世界全土が、異世界出身の僕を許さないの?」
 リサさんは慌てふためいてたけど流石に、異世界人イコール処刑、って感じではないと思う。
 そうだな、例えば…異世界から未知のウイルスに感染した人間が突然来たら、そりゃあ間引くだろうけど…。
 僕は清潔だよ!…でも現状、1日中動きっぱなしでシャワーも浴びてないから匂いが気になるのも事実……。
「この国特有と言うか…ほぼ全ての国に存在する教会の、あー、宗教協会…だったかな…?の、元老の神父様が、えと…身寄りの無い異世界人を……えぇい!詳しくは知らん!つまりは、異世界人を教会側に引き渡さなかったら重罪なのだ!」
「ほぇー、そうなんだ」
 !…おぉ、なるほどね。その神父様って人、結構やるね。
 異世界人のためって、体裁は良いけど、要は別世界の知恵や叡智を独り占めする為に、全国を探し回ってるって訳か。
 教会が引き取る事に対して、何のアテも無いであろう異世界に飛ばされた人から文句が出ることも無く、教会と言う立場で、周囲がその行動を疑うことも無い。加えて、周囲の人間にとっては異世界人への慈善、奉仕活動に見えるから、無理なく自然に信頼、信仰を集めるのにも……。
 元老って立場に登りつめたって事からも、その神父様、相当頭キレるね。個人的警戒リストに入れておこう。
「重罪って、具体的にはどうなるの?」
 でも、疑問も残る。牢屋に入れられる…或いは処刑?どちらにせよ、異世界人を引き渡さなかった罪としては重すぎる。一体どうやって……世間体と言う隠れ蓑にその正体を隠してるんだろう。
「あぁ、罰としては翻訳魔法が100日ほど解かれ、封印される。各国に最低1人は居るはずの神官の手によってな。外出も自由で、拘束される訳でも無い。他者の言葉が翻訳されない、本当にそれだけだ…それだけだが……」
 リサさんが困った顔で俯いた。
 ……あれ?重罪って言う割に、捕まる訳でも無くて、それだけなん……あぁーっ!!
 うわぁ……そうか…この法を考えた人は間違いなく天才だ。僕の頭の中でやっと、翻訳魔法と言う名前のパズルのピースが繋がった。
 これは、凄い…完璧な作戦だ。身体に直接傷を与える訳でもなく、長期間牢屋で拘束する訳でも無い。でも、確実にその人がやられたくないこと。それは、その人の当たり前を消すこと…人同士の会話を封印すること…!
 他国の人は勿論、友人関係、貿易先、仕事相手、魔物相手、ありとあらゆる面で支障が発生する可能性を孕んで起きながら、同じ国の人同士なら、言語が同じだから問題ないと言うのが、罪が致命的では無いと言う、偽りの安心感を担ってる!だから…無理なく、異世界人を独り占めして、その知恵で無尽蔵に教会の規模を大きく出来る!しかも、引き取った異世界人は教会の手足として働かせることも出来て、無駄が何処にも無い…!
 僕が騙されかけるなんて…!久し振りだ…!凄い…!凄い!

「…会いたい」ボソッ
「え……優?今、なんと……」
「会いたい!その教会の、一番凄い人に!」
 やっと…この世界での目標が出来た。その人の狡猾な知恵、盗み取ろう。これを達成したら、元の世界に帰ろう。
 本当は化学部の皆と会いたいけど、それよりも気になることが出来た。もしかしたら何ヶ月も掛かるかも知れないけど。それでも件の天才と、知り合いになりたい。
「お、おぉ…?」
 リサさんは不思議そうな顔をしてるけど、僕は決めた。よし、行こう。
「次の目的ち」

 ビーッ!!ビーッ!!ビーッ!!

「ぃうゃっ!?はぁ…び、びっくりした」
 突然リサさんの部屋の、玄関の上部についてるサイレンがけたたましく鳴り響いた。濃いオレンジ色のランプが光っている。
 大音量が…本当に何の前触れも無く来たから、めちゃくちゃびっくりした。
「っ…な、何の音だ…?ってこれは、警報だ!こんな時間に…!?」
 リサさんが身構えて、壁に掛けてある剣を手に取った。瞬時に武器を確保する辺り、リサさんもしっかりしてるね。
 しかし、びっくりしたなぁ…まるで緊急事態が起きたみたいじゃないか……。
 ……あっ犯人僕だったね。ヤベ。

「さて、リサさん。時間も無いから自白するけど、君の上司のレオン司令官を意識不明にしたの僕だから、僕達このままじゃ確実に捕まるよ。どうする?」
「えぇぇぇぇぇぇ!!?」
 今までで一番リサさんが驚いてる。そりゃそうか。
「ついでに言うと僕は犯罪者として禁固刑は免れないだろうし、リサさんは共犯者で軍をクビになるよ、たぶん。やれやれ、まいったね」
「えぇぇぇ!?は!?優が、優で!?犯人って、犯人って!は…はぁん………」クラッ
 不味いここでリサさんに気絶されたら詰む。会話にユーモアを織り交ぜてる場合じゃなかった。

 バァン!!

 マジか…勢い良く部屋の扉が開いた。幾ら何でもバレるにしたって、随分と早い気がする。
 バレたorもしくはバレてる、という事はつまり……僕の冒険はここで終わりになる可能性があるね。

コメント

コメントを書く

「ファンタジー」の人気作品

書籍化作品