異世界生活は突然に〜いきなりチートになりました〜

カズヤ

ゴールドルーキーは突然に32

男の名はブラン。あまり身長は高くなく、筋骨隆々といった感じではないが何となく威圧感の様なものを感じる。
佇まいが普通でないとか武道の達人が醸し出す雰囲気と言えば分かりやすいだろうか。
気を抜くと一気にやられてしまいそうなそんな雰囲気を持っている。

それもそのはず。このブランこそ、数多の冒険者の頂点にして、このギルドの長。
つまり金等級冒険者にしてギルドマスターなのである。

「いやー、さっきから噂で持ちきりだよー、ゴールドルーキー君。」

噂?さっき国王へ報告したばかりなのに、もう街中へ噂が流れているのか?
そのスピードに驚きながらも、俺にはもっと気になる事がある。

「ゴールドルーキーって俺の事ですか?」

さっきからこの人は俺の事をそう呼んで来る。しかし、今までの人生では勿論、此方の世界でもそんな呼ばれ方などされた覚えがない。

「あぁ、失礼。初対面なのに馴れ馴れし過ぎたかな?
ゴールドルーキーとは今巷で呼ばれている君の通称だよ。
君達は今回の功績によって全員金等級へ昇格される。特に君は登録して間も無いのに金等級への昇格を果たした訳だ。
そういう訳でゴールドルーキー!と皆呼んでいるのさ!」

何だそのこっぱずかしい呼び名は。
こんなに止めて欲しいと心底思ったあだ名は初めてだ。
この呼び名が噂と共に街中に拡散していると思うとゾッとする。

「君達は今や国中の英雄だよ。
ガリアをたった1日、それも4人だけで取り戻すなんて人間業じゃ無い!
いったいどんな手品を使ったんだい?」

目の前の男は笑いながらそう聞いて来る。
しかし男の目は笑っていない。

「手品なんて使ってません。まぁ運が良かったってのはありますけどね。後はここにいるみんなの頑張りのおかげですよ。」

なんかこの人苦手だなぁ。
そうも思いながら当たり障りの無い回答をする。

「運ねぇ。まぁいいさ。ゴメンね、変な質問をして。
それでは本題に入ろうか。
君達の希望はそこのキール君の引き抜きとガリアへのギルド設立だったかな?」

聞いてねぇぞ。
まずキールって何者だ?この厳ついオッサンの事なのは何となく想像がつくが、ギルド設立?どういう事だ?
そう思いアリシアを見る。

一瞬目が合ったが猛烈な勢いで目を逸らされた。
後で問い質すからな!

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