異世界生活は突然に〜いきなりチートになりました〜

カズヤ

ゴールドルーキーは突然に17

「流石はワタルさん、ご推察の通りかと。」

やはりな。
先程国王に言われた言葉、彼女を知る者なら疑って当然である。

「今回の件、イリス様が絡んでるのか?」

思えば最初からおかしかったのだ。

アリシアがあのクエストがある事をしていた事。

あんな無茶苦茶な内容にも関わらず、躊躇なく申し出た事。

どう考えても事情を知っていないと出来ない事ばかりだ。

「イリス様はどういうつもりなんだ?」

単刀直入に聞く。
彼女が何を考え、どんな狙いがあってこんな事をしたのか。

「ワタルさんの卒業試験だそうです。」

「は?」

「だから、卒業試験です。」

いやいや、卒業試験にしては手が混みすぎだろう。あのお子様女神が何を考えているのか益々理解に苦しむ。

「あなたをこちらへ送り出す直前、ガリアの街が魔族によって占拠されました。この1年で更に勢いを増し続ける魔族に対しそろそろ此方からも打って出る必要がある。そう考えたイリス様はあなたにガリアを奪還させようとご計画されました。
そしてどうせ奪還させるならその領地そのものを任せてみようと思われたのです。
好都合な事にガリアがあるセレナ王国の国王はイリス様の敬虔な信者でした。
そこで今回のクエストによる卒業試験を思いつかれたのです。
王家からクエストを出させる事で報酬、名声そして領地が同時に手に入る素晴らしい作戦だと自信満々で仰ってました。」

アリシアは自分の子供を自慢する親のように微笑みながらそう語った。

「全くあの教官も、困ったものだな。」

呆れて物も言えない。しかしあの人の事だ。俺に何かを送りたくて考えた末に出た方法なのだろう。

「ええ、まったくです。」

アリシアも同じ様に困った元上司を思い浮かべて笑っている。

「仕方ない。恩師からのプレゼントだ。心行くまで堪能してやろうじゃないか!」

そう言って俺は再び覚悟を決めた。

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