異世界生活は突然に〜いきなりチートになりました〜

カズヤ

プロローグ③

一也は一見女の子と見間違う程の優男である。
しかしその見た目からは想像もつかない、勇猛果敢、猪突猛進タイプの性格をしている。

俺達には親がいない。

俺は物心着く前に捨てられ、一也は6歳の時に死別した。

2人とも18歳まで施設で育ち、その後は奨学金やバイトを掛け持ちするなどして大学を出た。

俺達が最初に会ったのは内定者の懇親会だ。ひょんな事からその事実を互いに知り意気投合。
休みの日はほぼ毎日会っている内に互いを親友と呼ぶ仲になった。

そんな親友が今にも殺されそうになっている。
目の前のその状況が自分でも信じられない行動に俺を突き動かす。

「やめろーーーっ!!」

男の振りかざした刃が届くよりほんの少しだけ早く俺の身体が親友を突き飛ばす。

突然の俺の体当たりに意表を突かれた親友はバランスを崩し転倒する。
その時の親友の顔は驚いた様な、これから起こる惨劇を既に分かっているかの様なそんな顔だった。

当然俺にもこれから何が起きるかは想像がつく。

でも俺は唯一の親友を助けられた満足感でいっぱいだった。

(そんな顔すんなよ。いつもみたいに笑ってろよ。)

俺は常にヘラヘラしてる一也の笑顔が好きだった。
どこか冷めていてあまり笑う事が得意でなかった俺にとって、俺の横でいつも笑っているその顔がとにかく眩しかったから。

そう思った刹那、男の刃は俺の身体を切り裂いた。

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