シンリーは龍族の子に呪われた

千夜ニイ

惨劇

 それ・・は、何の前触れもなく突然、私達の身に起こった。


 水筒からコップにお茶を注いで、お盆に乗せた時、『グルゥ』と低いうなり声が聞こえてきた。
 お盆の上に赤いものが飛び散り、目の前に座っていたサラは声を出すこともなく、お腹に大きな獣をくっつけて血の泡を吐いていた。


 大きな牙を赤く濡らした、灰色の毛と鬣を持った獣と目が合った。


『やあーーっ!』


 絶叫を聞いて跳ねるように隣を見ると、大きな獣がローラの足にかじりついて、何度も噛みながら体までを飲み込んでいく。
 ばきばきっと骨の折れる音がした。


『いやーー!』
 耳をつんざくローラの悲鳴。


『ッアーーーー!!』


 私は言葉にならない叫びをあげて、座っていたシートの上から駆け出した。
 同じように悲鳴をあげて、町に向かって逃げ出す友達の背中を、鋭い爪が突き刺し、ひっかき、柔らかな体に牙が突き立てられる。
 瞬く間に緑の丘が赤い液体に侵食されていったーー。


「シンリーは龍族の子に呪われた」を読んでいる人はこの作品も読んでいます

「恋愛」の人気作品

コメント

コメントを書く