シンリーは龍族の子に呪われた

千夜ニイ

プロローグ

「はっ、はぁ、はぁ」
 私は逃げる、走る、逃げる。
 息が続く限り、いや、息が切れようとも、できなくても、逃げないといけない。


 ――食べられた。


 目の前にいた仲良しの友達は、大きな口と鋭い牙でその体を食いちぎられた。
 隣に座っていた年下の友達は足を食いつかれて、狂ったように悲鳴を上げていた。
 背中を向けて逃げようとした男の子は、硬そうな爪で肉を引き裂かれた。


 町の周りはフェンスで囲われていて、畑仕事をする大人だって何人も居たのに、町の近くに居るはずのない、大型の肉食獣が群れで現れて、無防備に遊んでいた私達を狩り始めたのだ。


 そう、町から見えるなだらかな丘の上で、私達子供はいつものように遊んでいた――。


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