この空の下で時計を握り君を待っている
12話 ライブに終止符を
ライブが始まった。
みんな真剣に練習に取り組んだのか、酷いバンドは少なかった。
集客もまあまあで友達や生徒や先生、保護者などたくさんの人が来ている。
「よし、次だ。みんな準備はOK?」
「はは。とっくに出来とるよ。」
渋沢は笑顔で余裕を見せた口調だった。
どうやら他の2人は緊張してるらしい。
「おいおい、大丈夫か?」
僕は揶揄うように声をかけた。
「まあ、多分、平気。」
竹崎、お前はロボか。
「まあ一発勝負だ。力抜いて本気で行こう。」
「次は1年生の最高なバンド、SUPERSです!ボーイズバンドならではの空気感とテクニカルな演奏をお楽しみください!」
MCが喋った。ハードルを上げすぎだ。
僕はドラムの方向を向いた。
「みんな。準備は良い?」
全員で顔を合わせ、合図をした。
「よし、行こうか。」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
1曲目が終わった。
「どうも、SUPERSです。よろしくお願いします。」
会場は予想以上に大盛り上がり。
ハメを外した男子生徒が踊って叫んでいた。
ドラムにビートを刻んでもらって、メンバー紹介をした。
ちょっと楽しい話をした。
MCには自信がある方だ。曲だけでは伝えきれないことは沢山あるので、それを伝える時間だと思うとワクワクする。
「それでは最後の曲聴いてください!」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「ありがとうございました!!SUPERSでした!!」
数え切れない拍手をかき分け、汗を振り落としお辞儀をした。
ステージを降りメンバーとハイタッチをした。
「なかなか良いじゃないか。」
「いや、良かった。楽しかったわ。」
「じゃあ最後のバンド見るか。」
最後のバンドは唯一の男の先輩、小野さんの所属するバンドだ。
「うん、いいね。」
普通にいいと思う。リズム隊に合わせようとしている感じが伝わってくる。
渋沢はコソコソと僕に話しかけてきた。
「ワンチャン俺らこのバンド超えてね?」
「まあ相性がいいのか、息があってるからな。無理に合わせている感じが全く無い。」
渋沢は少しにやけた。
自分の顔は見えないが、多分僕もにやけてる。
「今日はありがとう!!!またライブ来てください!!」
僕達のライブは幕を閉じた。
大盛り上がりだった良いライブだった。
僕は片付けをしようとした。
その時一人の女性が話しかけてきた。
「こんにちは。凄くかっこよかったです。」
僕は目を疑った。この人はついこの前、世界から消えているからだ。
そう、篠崎志音さんだった。
「あ、ありがとうございます。またライブ来てください。お名前聞いてもよろしいですか?」
「はい。私は篠崎志音と言います。1年5組です。」
彼女は少しはにかんで可愛らしく自己紹介した。
「そうなのですね。僕も1年です。」
「そうなんですか。良かったらタメで話しませんか?」
「そうだね。バンドとか好きなの?」
「うん、音楽が好きで軽音にも入ろうと思ったんだけど楽器出来ないからやめたんだ。」
「そうなんだ。また良かったらライブに来てよ。」
「うん!ありがとう。連絡先聞いても良い?」
僕達は連絡先を交換した。
顔には出さないが、心の中はハッピーだ。やばい。
「ありがとう。また連絡するね。」
「うん!バイバイ!」
「おいおい、俺に断りもなしにナンパしてんじゃねーよ。」
「うるせえ、ナンパじゃねーよ。」
渋沢がからかってきた。冷やかしかい。
「捕まることはするなよー。」
「うるせえ!」
今日はやり切った。片付けをして、家に帰ることにした。
帰る途中に1つの事が脳裏を過った。
「あれ...?確か今日、三束に告白されるんじゃなかったっけ...?」
前の学校生活では確か今日、三束と付き合う事になっていた。
「あっ。」
頭の中で仮定を作り上げた。
もしかしたら僕の反応を見てやめとこうと思ったのかもしれない。
普通に考えて、反応があんなに微妙だったら告白しようなんて思わない。
というか僕だってその立場だったらしようと思わない。
その仮定から僕はひとつ思った。
「未来って思ったより簡単に変えられるのはかも知れない。」
少しだけ前向きになったかもしれない。
自分のコンプレックスを直した時のような感じがした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そんな考え事をしている内に家に着いた。
辺りは少し暗くなっていた。家の前の水たまりが曇り空を映していた。
「ただいまー。」
「おかえり。ライブどうだった?」
母親が笑顔で僕に話しかけてきた。
「まあ良かったよ。いつも通りできて良かったし楽しかった。」
「そう。晩御飯にするから荷物置いてきたら降りてきてね。」
晩御飯を食べ終えた僕は1人で寝転がっていた。
「2度目の高校生活、捨てたもんじゃないなぁ。」
そんな誰も考えようもしない事を考えていた。
ピピピ
携帯の着信音がなった。
普段携帯を使わない僕には珍しい事だった。
「誰だ...?怪しい人...?」
そう思って携帯を開いたら知らないメアドからだった。
「ますます怖いな。」
メールを開いたら気分が一転するくらいに心臓が跳ね上がった。
メールの相手は篠崎さんだった。
「どわっ!まじか!」
驚きのあまり携帯を落とした。
from 篠崎 志音
To 水鏡 透さん
今日はとてもすごく良いステージでした。
全く楽器をやった事ないけど、水鏡くんがギターと歌とても上手いってことがとても伝わってきました。
またライブがあったら行きたいです。良かったら誘ってください。
丁寧な文章だった。
篠崎さんの人柄や容姿が滲み出てきているようだった。
僕はとても嬉しかった反面、少し複雑な気持ちになった。
僕からすると半年ほど前までは気軽な口調で、沢山話していたからだ。
それが今では全く親しげのない、しょっぱさを感じさせる文章だからだ。
まあ仕方ないことだよな。
僕はすかさず返信をした。
from 水鏡 透
To 篠崎志音さん
来てくれて本当にありがとう。
感想もくれてすごく嬉しいです。
またライブに来てください。待ってます。
今後も仲良くしたいからまた何かあったら気軽に言ってください。
最後にはまた会えるように付け足しをした。
今日はこの幸せの気分のまま寝る事にした。
みんな真剣に練習に取り組んだのか、酷いバンドは少なかった。
集客もまあまあで友達や生徒や先生、保護者などたくさんの人が来ている。
「よし、次だ。みんな準備はOK?」
「はは。とっくに出来とるよ。」
渋沢は笑顔で余裕を見せた口調だった。
どうやら他の2人は緊張してるらしい。
「おいおい、大丈夫か?」
僕は揶揄うように声をかけた。
「まあ、多分、平気。」
竹崎、お前はロボか。
「まあ一発勝負だ。力抜いて本気で行こう。」
「次は1年生の最高なバンド、SUPERSです!ボーイズバンドならではの空気感とテクニカルな演奏をお楽しみください!」
MCが喋った。ハードルを上げすぎだ。
僕はドラムの方向を向いた。
「みんな。準備は良い?」
全員で顔を合わせ、合図をした。
「よし、行こうか。」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
1曲目が終わった。
「どうも、SUPERSです。よろしくお願いします。」
会場は予想以上に大盛り上がり。
ハメを外した男子生徒が踊って叫んでいた。
ドラムにビートを刻んでもらって、メンバー紹介をした。
ちょっと楽しい話をした。
MCには自信がある方だ。曲だけでは伝えきれないことは沢山あるので、それを伝える時間だと思うとワクワクする。
「それでは最後の曲聴いてください!」
♪♪♪♪♪♪♪♪♪
「ありがとうございました!!SUPERSでした!!」
数え切れない拍手をかき分け、汗を振り落としお辞儀をした。
ステージを降りメンバーとハイタッチをした。
「なかなか良いじゃないか。」
「いや、良かった。楽しかったわ。」
「じゃあ最後のバンド見るか。」
最後のバンドは唯一の男の先輩、小野さんの所属するバンドだ。
「うん、いいね。」
普通にいいと思う。リズム隊に合わせようとしている感じが伝わってくる。
渋沢はコソコソと僕に話しかけてきた。
「ワンチャン俺らこのバンド超えてね?」
「まあ相性がいいのか、息があってるからな。無理に合わせている感じが全く無い。」
渋沢は少しにやけた。
自分の顔は見えないが、多分僕もにやけてる。
「今日はありがとう!!!またライブ来てください!!」
僕達のライブは幕を閉じた。
大盛り上がりだった良いライブだった。
僕は片付けをしようとした。
その時一人の女性が話しかけてきた。
「こんにちは。凄くかっこよかったです。」
僕は目を疑った。この人はついこの前、世界から消えているからだ。
そう、篠崎志音さんだった。
「あ、ありがとうございます。またライブ来てください。お名前聞いてもよろしいですか?」
「はい。私は篠崎志音と言います。1年5組です。」
彼女は少しはにかんで可愛らしく自己紹介した。
「そうなのですね。僕も1年です。」
「そうなんですか。良かったらタメで話しませんか?」
「そうだね。バンドとか好きなの?」
「うん、音楽が好きで軽音にも入ろうと思ったんだけど楽器出来ないからやめたんだ。」
「そうなんだ。また良かったらライブに来てよ。」
「うん!ありがとう。連絡先聞いても良い?」
僕達は連絡先を交換した。
顔には出さないが、心の中はハッピーだ。やばい。
「ありがとう。また連絡するね。」
「うん!バイバイ!」
「おいおい、俺に断りもなしにナンパしてんじゃねーよ。」
「うるせえ、ナンパじゃねーよ。」
渋沢がからかってきた。冷やかしかい。
「捕まることはするなよー。」
「うるせえ!」
今日はやり切った。片付けをして、家に帰ることにした。
帰る途中に1つの事が脳裏を過った。
「あれ...?確か今日、三束に告白されるんじゃなかったっけ...?」
前の学校生活では確か今日、三束と付き合う事になっていた。
「あっ。」
頭の中で仮定を作り上げた。
もしかしたら僕の反応を見てやめとこうと思ったのかもしれない。
普通に考えて、反応があんなに微妙だったら告白しようなんて思わない。
というか僕だってその立場だったらしようと思わない。
その仮定から僕はひとつ思った。
「未来って思ったより簡単に変えられるのはかも知れない。」
少しだけ前向きになったかもしれない。
自分のコンプレックスを直した時のような感じがした。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
そんな考え事をしている内に家に着いた。
辺りは少し暗くなっていた。家の前の水たまりが曇り空を映していた。
「ただいまー。」
「おかえり。ライブどうだった?」
母親が笑顔で僕に話しかけてきた。
「まあ良かったよ。いつも通りできて良かったし楽しかった。」
「そう。晩御飯にするから荷物置いてきたら降りてきてね。」
晩御飯を食べ終えた僕は1人で寝転がっていた。
「2度目の高校生活、捨てたもんじゃないなぁ。」
そんな誰も考えようもしない事を考えていた。
ピピピ
携帯の着信音がなった。
普段携帯を使わない僕には珍しい事だった。
「誰だ...?怪しい人...?」
そう思って携帯を開いたら知らないメアドからだった。
「ますます怖いな。」
メールを開いたら気分が一転するくらいに心臓が跳ね上がった。
メールの相手は篠崎さんだった。
「どわっ!まじか!」
驚きのあまり携帯を落とした。
from 篠崎 志音
To 水鏡 透さん
今日はとてもすごく良いステージでした。
全く楽器をやった事ないけど、水鏡くんがギターと歌とても上手いってことがとても伝わってきました。
またライブがあったら行きたいです。良かったら誘ってください。
丁寧な文章だった。
篠崎さんの人柄や容姿が滲み出てきているようだった。
僕はとても嬉しかった反面、少し複雑な気持ちになった。
僕からすると半年ほど前までは気軽な口調で、沢山話していたからだ。
それが今では全く親しげのない、しょっぱさを感じさせる文章だからだ。
まあ仕方ないことだよな。
僕はすかさず返信をした。
from 水鏡 透
To 篠崎志音さん
来てくれて本当にありがとう。
感想もくれてすごく嬉しいです。
またライブに来てください。待ってます。
今後も仲良くしたいからまた何かあったら気軽に言ってください。
最後にはまた会えるように付け足しをした。
今日はこの幸せの気分のまま寝る事にした。
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