この空の下で時計を握り君を待っている

ニキ

11話 濡れた路面と、僕達のライブは。

「おっはよー!」

三束が朝の挨拶をしてきた。
まるで朝を知らせるように朝の日課になってきた。

「うん、おはよう。」

気が抜けた挨拶をした。

「あはは。相変わらずだね。1時間目英語だよ!頑張ろう!」


朝はいつもこんな感じだ。
ただ僕は今やらなくてはいけないことなある。


〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
部室

「よう、ライブまであとすこしだな。」
「そうだなー。透はライブなんて慣れてるだろうけど、俺らは初めてだから緊張しそうだな。」
「お、正直だね。潔い。」

渋沢にしては随分と正直だった。いつもこういう事は隠すのに。

「オリジナル曲のベースはだいたい決まった?」
「ああ。ほとんどな。一人でやってると違和感あるけど合わせたらマッチすると思う、多分。」
「たまにあるよな、それ。」


3日後にライブがある。
新入生もライブをやる、新入生歓迎会のようなものだ。

「まあ何にしろ頑張ろう。練習しておけば何とかなるはずだ。」
「おうよ。」


おそらく今日がライブ前最後の練習だ。
気を引き締めないと。

♪♪♪♪♪♪♪♪


「うん。いい感じじゃないか?」
「俺もそう思うよ。」

演奏する曲は3曲。オリジナルを1曲と有名なバンドのカバーを1曲。

「この調子で全然大丈夫だ。本番頑張ろう。」
「おう!頑張ろう!」

僕らは軽く円陣を組んで声を合わせた。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
ライブ本番当日



僕はいつもより朝早く起きた。いつもは6時だが今は5時半だ。

「よし。引き締まっていこう。」

心を熱くさせながらリビングへ降りた。

「おはよう。」
「おはよう。今日ライブだよね?」

母親と朝の挨拶を交わした。

「そうだよ。まあ視聴覚室で軽くやる感じだけどね。」
「そうなの。頑張って。」

朝ごはんを食べて僕は家を出た。

いつもの通学路を通る。今日は勉強のために行くのではない、と考えて歩いていると少し違う道を通ってるようだった。

「夜は少し雨が降っていたのかな。」

路面が濡れている。雨は嫌いだ。なんか縁起が悪い気がする。



そうこうしている内に学校に着いた。
いつもは学校に来ると教室に向かうが、今日は違う。視聴覚室に行くんだ。


「おはようございます。」

視聴覚に着くと早く来た何人かの部員が機材の用意をしていた。

「朝早いですね。僕も手伝います。」
「あ!ありがとうね!助かっちゃうよ。」

少し笑って僕の方を向いた。
こういうのは良い。気分が良くなる。


機材の設置は終わった。ライブの開始時間は10時頃。今は9時半。
僕達のバンド「SUPERS」は最後から2番目、12時からだ。

少し時間があるから学校を抜けてタバコを吸うことにした。

「ちょっと自分朝飯まだなので食べてきますね。」
「了解!開始時間には戻ってきてね!」


近くのコンビニに来た。
「ふぅ。」
今日1本目のタバコだ。美味い。
ついでに飲み物でも買おう。


コンビニに入るとそこには三束がいた。


「あ!水鏡君!おはよう!今日確か軽音部のライブだよね!見に来たよ!」
「おはよう。あ、そうなんだ。楽しんで帰ってね。」

僕は何も買わずそのままコンビニを出た。変に思われないように少し商品を見てから。


僕はある日のことを思い出した。前の学校生活の思い出だ。

確か、三束にライブに終わったあとに告白されるんだ。

「はぁ。そうか。今思い出してしまった。」

僕はいつもより遅い足取りで学校へ向かった。

「お、水鏡くん!来たね。みんな揃ってるよ!」
「そうなんですか。お待たせしてすみません。」
「いいんだよ全然。じゃあライブ頑張ろうね!」


軽音部員で円陣を組んだ。

「ライブ成功させましょう!おー!」

「「「おー!!」」」



さあ。ライブ楽しみますか。


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