この空の下で時計を握り君を待っている

ニキ

8話 三束と僕の苦くて不味い出来事

僕はホッとした。
今日返されたテストがなかなかいい結果だった。

時間は戻っても記憶はそのままのため、2年前のテストなんて簡単だった。
中学の復習と高校の内容が少し入っているテストだったため、もっとできる人が多いと思ったが結果は良好。学年で三本の指に入った。



今日も部活に行こうとした。いつもの視聴覚室だ。

「水鏡くーん!」

パッと振り返るとそこには三束が居た。

「や、やあ。こんにちは。」
「こんにちは!テストすごかったんだってね!今度勉強教えてよ!英語とか苦手で...。」
「ああ。良いよ、でも部活とバイトで忙しいから時間が合わないかもしれない。」

バイトはやるつもりだが今はやっていない。部活は週に2日休みがある。
僕は言い訳を作り、断ろうとしていた。

「そっか。じゃあ今週の日曜は?」
「ごめん。バイトなんだ。」
「じゃあ来週の日曜はどうかな?」
「ごめんその日もバイトなんだ。」
「じゃあ再来週の日曜はどう?」
「ごめん。日曜は基本バイトなんだ。」

なんだ、このやりとりは。

「そっか。じゃあ土曜は空いているんだね!」

しまった。しくじった。

「あ、ああ。まあ空いているよ。」
「じゃあ今週の土曜日!私の家の近くに図書館があるからそこでどうかな...?」
「了解。大丈夫だよ。」
「そっか!じゃあ時間とかはメールするね。アドレス教えて貰ってもいい?」

こうなったら教えるしかない。最低な理由だと分かっているがあまり関わりたくなった。

「うん。いいよ。」

アドレスを交換して僕は三束と分かれ部室に向かった。
OKしてしまった。こればっかりは仕方がない。

僕は部活を終え、家に帰ることにした。




〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

家に帰りご飯を食べ風呂に入る。

ポチャン。

「はぁ。何やってんだか。前と一緒じゃないか。」

本当に前と同じだった。
でも考えは違う。付き合うつもりはない。1人の人間を傷つけるのは勿論良い気持ちではない。

でも僕は高校生活をやり直せるならやりたい事がある。

せっかくこの手に掴んだチャンスなんだ。
やりたい事がある。やり直したいこともある。伝えたいことも、聞きたいことも。




湯船に浸かりながら、僕は1人で考えていた。

その日は何もせずそのまま布団に倒れ込んだ。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
土曜日

三束との集合場所に集合時間ピッタリに来た。
三束は僕より先に待っていた。

「水鏡くん!おはよう!」
「うん。おはよう。」


さて。勉強だけ教えよう。


コメント

コメントを書く

「恋愛」の人気作品

書籍化作品